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『Breaking Down』から生まれるのは堀口恭司か、山本太郎か

この記事は『Breaking Down』を語ったDropkickニコ生配信を記事にしたものですが、原型を留めていないどころか、インタビュー形式となっています(語り:ジャン斉藤)

――朝倉未来が仕掛ける1分格闘技『BreakingDown』が話題になっています。

斉藤 『BreakingDown』って『BD』って略されてるじゃないですか。我々プロレスファンからすると、BDってバックドロップ(BD)が必殺技の後藤達俊のことですからね。酔ったBDが包丁を振り回すのは怖いですよ。

――いきなり後藤達俊さんの話題から始まるとは思いませんでしたよ。後藤達俊さんじゃないほうの『BD』は相当の人気ぶりですが、格闘技として認める・認めないの議論が起きてます。

斉藤 そりゃあ仕方ないですよ。DEEPなんてつい最近まで認められてなかったですから。

――また話が横にそれてますよ。

斉藤 みんな大人だから忘れてるけど、元谷友貴がパトリック・ミックスに一本負けしたとき、修斗事務局の人間が「DEEPの選手が日本代表ヅラして負けても痛くも痒くもないから気楽に見れるのがRIZINの良さかな」という素晴らしいツイートをされてまして。

――あらためて酷いツイートだ!(笑)。

斉藤 あの元谷友貴ですら認められてないんだから『BD』なんてまだまだですよ! のちにその元谷友貴に修斗世界王者が負けたんですけどね。修斗もまだまだ!!

――早く本題に戻ってください。ボクシング世界王者の京口紘人選手はエンタメイベントとして一定の理解を示しながらも「格闘技ではない」「格闘技を志す人間はいない」「同じ括りで見てほしくない」と批判気味ですね。

斉藤 格闘技かどうかといえば、『BD』は殴ったり蹴ったりしてるわけですから格闘技ですよね。ただ『BD』を格闘技として認めたくない心理があるんじゃないかと思います。たとえばこれ、朝倉未来選手のカリスマ性がなかったら、『BD』を認めてない人はもっと多かったと思うんですよね。

――某・地獄のプロモーターがやっていたら、もっと荒れていたかもしれないですねぇ。

斉藤 そもそもUFCも初期は認められてなかったですからね。アメリカでは野蛮だと締め出しを食らっていたし、日本の名のある格闘家、武道家も「技術的に大したことはない」と見下してたんですよ。そのUFCが認められていったのは競技化されていったからです。結局プロ興行の人気や継続ってコンペティション(競技)とサーカス(見世物)、どちらの評価もされないといけないと見てるんですね。

――いまのUFCも競技と見世物のバランスが優れてるわけですね。

斉藤 RIZINがいろいろと批判されがちなのは、サーカスのバロメーターが突き抜けるときがあるからだし、そのサーカスだけの印象で語ってる人もいるからです。誤解されないようにいうと、格闘技やプロレスを貶めるときにサーカスという言葉がよく使われるんですが、サーカスも命懸けのエンターテイメント。『シルク・ドゥ・ソレイユ』とか本当にヤバイですから。この記事ではそういうニュアンスでサーカスという言葉は使ってるわけではないです。で、やっぱり格闘技はバイオレンス性が高いから、「見世物」だけを堪能してるとは表向きに言いづらいんですよ。

――思ってる以上に格闘技の偏見ってありますよね。

斉藤 かといって競技だけの追求で、耳目を集めてきたイベントってないわけです。コンペティションとサーカスはどっちも必要なんですけど、どの度合いはイベントによって変わってきます。今回修斗と『BD』が同日開催だったことで比較する声もありますが、成り立ちが違うんだからナンセンスかなって思いますし、結局、議論になってるのは言い方の問題だと思いますよ。ボクがリツイートしたジョビンさんのツイートも、言い方のせいなんじゃないかなと。

――「俺はどの格闘技も真剣に見たいし、ブレイキングダウンも真剣に見た。実際に見てめちゃくちゃ面白かったけど、見てもないくせにブレイキングダウンを下に見てる奴が多過ぎる。誰かに媚びる気なんか一切ないけど、普通に考えて今日の修斗よりはブレイキングダウンの方が見たいってなると思うけどな」

斉藤 「普通に考えて今日の修斗よりはブレイキングダウンの方が見たいってなると思うけどな」って、そんなの普通に考えたら、どっちが見たいかなんて人それぞれじゃないですか。ルールもぜんぜん違うわけだし。さっきも言いましたけど、『BD』は朝倉未来選手がやったことが成功を収めた大きな理由でしょうし、朝倉未来選手がやってるから乗ってる格闘技ファンも多いはずですね。彼の成り上がりぶりを共有することの興奮ってあると思います。

――朝倉未来がアウトサイダーという不良イベント出身という点もストーリーが繋がってる感がありますね。

斉藤 PRの手法的には関しては、かつてのTBSバラエティ番組の『ガチンコ!』だったり、UFCのTUFだったり、ABEMAの『格闘代理戦争』とか、あらゆるリアリティショー的エッセンスが詰まっているわけですよね。そしてどんな企画でもオーディションは面白く見えるんですよ。

――オーディションという魔法。

斉藤  『ガチンコ漫才道』のときの巨人師匠の名言「弟子やったらパンパンやな」もオーデイションのときでしょう。れいわ新選組の山本太郎が世に出たのは『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』ダンス甲子園のオーディションですよね。

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