サトシ・ソウザ 人生はたまに負けるのがちょうどいい
――会見のたびに静岡から東京に来るのは大変ですよね。
サトシ あー、そうだよね。ちょっと時間かかるけど大丈夫、問題ない。
――5月6日の有明大会でカーライル戦が発表されました。まずは大晦日のAJ・マッキー戦から振り返りたいんですけど……クロスゲームでサトシ選手の勝ちだという声もありましたが、サトシ選手はジャッジに不満を漏らしてないですね。
サトシ いやあ、そこはもうしょうがない。私、いまも試合を見ることがあるけど、1ラウンド目はちょっと失敗した。グラウンドパウンドでちょっとやられてるけど、まだ極める自信があったし、「またできるな、まだできるな」と思っていてガードもしてたけど……いちばん失敗したのは1ラウンドかな。
――後半はサトシ選手が追い上げたけど、1ラウンド目にポイントを取られたから、判定負けに納得したところはあるんですね。
サトシ そうそうそう。1ラウンド目もオフェンスするけど、彼は何もやられてないから。2ラウンドからはコントロールできた。2ラウンド目はギリギリ私が勝ってると思った。3ラウンドは同じぐらいかな。1ラウンドがちょっと全然違うから……RIZINはトータルマストだからラウンドごとじゃないけど全体を通してみたら私が負けたと思いましたねぇ。
――でも、周りから「サトシが勝った!」と言われてるんじゃないですか。
サトシ あー、そこはみんながよくいろいろと言うけど、みんなの気持ちはもちろん嬉しい。でも、負けは負け。もうしょうがない!(笑)。
――潔いですね(笑)。
サトシ しょうがない。変わらないから。それ、生徒たちがもうよく言うから「もう負けは負け。しょうがない」って。自分が考えていることは変わらない。これからもトレーニングを続けて、失敗したことを直して、もっともっと強くなるから。自分が教えている柔術の子供たちにもよく教えますね。子供たちのお父さんとお母さんが「大晦日、先生が勝っていた」と言ってくれたけど、私は「もう余計なことは言わない。負けは負けでしょうがないよ」と。
――あ、キッズの親御さんたちが「先生が勝ってましたよ」とフォローしてくるわけですね(笑)。
サトシ 負けは負け、もう変わらない。でも大丈夫。なんで負けたのかおぼえたから、じゃあ、次に勝てばいい。今度は引き締めて戦えばいいから。それは柔術の大会のときだけじゃなくて、人生も同じ。もっと強くなれるから、そこは大事にね。
――柔術だけじゃなくて生き方も教えてるんですね……いい話です!
サトシ よく「私、この仕事できない」「できなかったのは私のせいじゃない」「あの人のせい」とか、たくさん言い訳が出るけど、自分が強くならないと何もできない。それでも頑張っておぼえるのが大事。子供の頃からおぼえていけば、いっぱい強くなれる。自分の強さはね、フィジカルだけじゃなくて心の中から。
――カッコいいです! そういう姿勢を子供たちに見せてあげたいわけですね。
サトシ そうね。そこがまた大事で。でも……みんな負けたくないからね(笑)。
――ハハハハハハハ! いくら経験になるとはいえ。
サトシ でも、もうたまに負けるのは大事。私の中では大事。生徒たちにもよく言うから。RIZINのトーナメントでジョニー・ケースに負けたときも……。
――2019年のRIZINライト級GP1回戦ですね。サトシ選手にとってMMA初敗北。
サトシ 勉強、すごい勉強。もうホントに格闘技だけじゃなくて人生も変わりましたね。あの負けから、たくさんおぼえました。勝ちたかったけど、あの負けがなかったら、私は強くなってないね。いまのレベルになっていない。もう本当に負けたくないけど、たまに負けることは大事。人生も同じ。できない仕事があるけど、その次の仕事ができると思う。負けてもおぼえることが大事。
――いつからそういう考えになったんですか?
サトシ 私は5歳から柔術を始めてるけど、そこからいろいろおぼえましたね。父さんがよく言ってました。始めるときにおぼえることはタップすること。負けること。負けることから強くなる。
やっぱり負けたくないけど、タップしないと首(絞め)で落ちたり、たまに顔や腕にケガをするから。もうタップしてもいいよ。ジムでたくさんタップするから強くなる。あまりタップしないと、おぼえない。強くならない。柔術を始める人も最初から強いとあまり続かない。負けたときの気持ちをコントロールできないから、そのあとやめる。続く人は弱いからたくさんタップしておぼえるし、長く続ける。タップすることが大事。
――サトシ選手もジョニー・ケース戦の負けは受け入れがたいところはありました?
サトシ いやあ、つらかった。私のMMA、初めての負けだから。柔術の負けはわかるけど、MMAは初めてだから「……全然違うなあ」って(苦笑)。
――MMAのほうが重かったりしますか?
サトシ MMAのほうがすごい重い。もう本当に気持ちが全然違う。柔術は1日で4回5回ぐらい試合をするし、誰とやるとか、誰に負けるとかわからない。MMAはだいたい3ヵ月ぐらい対戦相手のことをずっと考えるから。いろいろなプランを考える。その3ヵ月間、集中して試合でやって負けると、気持ちはホントに難しいですねぇ。
――大晦日の負けもなかなか消化は……。
サトシ 大晦日の負けも重いけど、いまの私の頭と気持ちはすごいよく治りましたね。でも、ホントに大晦日のときも重いですねぇ。
――あたりまえですけど、引きずりますよね……。
サトシ そうね。もう最初の2週間ぐらいは、もうキツイね(苦笑)。
――重い重いお正月……。
サトシ そう~(苦笑)。もうみんなが「勝ってた」と言うから、もっと気持ちが……。
――そう言ってくれるのはありがたいけど、傷口に塩を塗られるようなもんなんですね(笑)。打撃戦でAJ・マッキー相手に渡り合ったことは自信になったんじゃないですか?
・ついに海外でMMA練習
・いちばんはベラトールへのリベンジ
・あと2〜3年がピーク
・ああいう練習はやりたくない
・クレベルには休息が必要だった……などなどまだまだつづく!
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