見出し画像

久保優太「斎藤裕選手を乗り越えられる自信はあります」

斎藤裕戦決定前、久保優太は何を語っていたのか? 高橋遼伍戦後のインタビューをお届けします!(聞き手/ジャン斉藤)

渡辺華奈は「世界」とどうやって戦ってきたのか■上田貴央のコーチ論

おすすめ記事

この記事は2024年4月に掲載されたものです

――試合前のインタビューでは「高橋遼伍戦は自信がない」とのことでしたけど、久保選手のことだからブラフなんじゃないかなと思ってまして(笑)。

久保 いやあー、ジャンさんの取材を受けた時点でホント自信はなかったんですよ(笑)。

――試合までに作り上げていくという話でしたけど、当日の自信はどうだったんでしょうか?

久保 自信という部分では五分五分、6-4まで行けたのかはわからないですけど……。

――おお、上回ってはいたんですね。

久保 うーん、いや、自信はそんなに変わらないけど、開き直っていた感じですかね。前日計量のあと不安すぎてオーストラリアにいたサラちゃんに電話しちゃって。サラちゃんは本当は現地観戦しない予定だったんですけど、オーストラリアから15時間くらいかけて神戸まで来てくれたんですよ。

――呼ぶほうも呼ぶほう、来るほうも来るほうですけど、素晴らしい愛です(笑)。

久保 ホントですよね(笑)。そうなると自分も負けられないじゃないですか。ボクにとってサラちゃんは邪魔な存在だという格闘技ファンの声もあるみたいですけど、リングサイドにサラちゃんがいると、ものすごく力になったかなって。

――そのサラさんは試合後、怒ってたらしいですね。

久保 あー(笑)。それはですね、まずサラちゃんは格闘技のことはまったく知らないんですよ。誰が強いとかわかってない。でも、自分は今回、強い選手とのオファーがあったことを相談したんですよね。そうしたら「チャレンジマッチみたいな感じなんでしょ。向こうが受けてくれるんだからラッキーじゃん」って背中を押されたところがあったんですけど、サラちゃん本人はそのことをすっかり忘れちゃってて。言うたら大晦日(安保瑠輝也戦)のときみたいに楽勝できると思っていたんですよね。

――そうしたらギリギリ競った試合になって。

久保 そうなんです。それで「この相手に判定で勝っても意味がない」と怒ってたんですけど、そのあとに強い人だったことを知って「自分が恥ずかしい……」って反省した謎の展開があって(笑)。

――ハハハハハ!でも、強敵と戦うことは相談していたはずですよね?

久保 ボクがそのつもりで言ったんですけどね。相手の試合映像を見れば見るほど不安になっちゃって。

――だから試合前日にSOSを出したわけですもんね。会話が噛み合ってなかったというか。

久保 そうですね(笑)。ボクも試合前なのでちょっとボーっとした会話だったかもしれないですし。

――それでもオーストラリアから来てくれるんだから、うまく着地したのは愛の証ですね(笑)。

久保 ホントに嬉しかったです! サラちゃんは日本に1日だけ滞在して、次の日に帰っちゃいました。

――試合映像は見直しました?

久保 20回くらい見直しました。

――20回!! それは勝った試合だから、ってわけじゃないですよね。

久保 負けた試合もけっこう見ます。自分がKOで勝った試合とか、うまくいった試合はあんまり見なくて。こういう接戦のときこそ課題が出ると思ってるから何回も見直します。練習でやってきた動きや技ができたかどうか、ここが足りないとかすごく勉強になるので。今回の試合は研究材料としてもデータが取れたかなって。

――判定はスプリットでしたが、20回見直してみて、割れた理由はわかりました?

久保 うーん、割れた理由は正直、ちょっとわからないですねぇ。1ラウンドにフックをもらって腰を落としたところなのかなって。でも、あそこでボクは返してるんで「ダメージ」としては判定されてないだろうなと。

――実際に「ダメージ」は取られてないですね。RIZINの判定は「ダメージ」「アグレッシブネス」「ジェネラルシップ」の順で評価しますが、「ジェネラルシップ」で久保選手に2名、「アグレッシブネス」で高橋選手に1名。結果、2-1で久保選手の判定勝ちでした。

久保 試合後セコンドからも「勝った」と言われて、ボクもそう思ったんですけど。高橋選手に1票入ったときは「えっ?」ってドキッとしちゃいましたねぇ。

――「ジェネラルシップ」で高橋選手が評価されるのはわかるんですけど、「アグレッシブネス」は意外でした。一番の反省材料、次の課題はどこになります?

久保 大まかな作戦は、テイクダウンさせずに打撃を効かせるものだったんですけど。2ラウンドと3ラウンドにヒザや三日月蹴りで効かせたら、相手は1ラウンドみたいに下からテイクダウンにくると思ってたんですよね。

――高橋選手の四つに対して、久保選手はヒザへのボディをガンガン決めたこともあって。

久保 それで苦し紛れのタックルとは言わないんですけど、四つでダメだって思ったら、下で来るのかなと。そうなったら、頭が内のタックルだったら左のヒザ蹴り、頭が外のタックルなら、右のハイ気味のミドルみたいなヒザ蹴りがあるんですけど、それを狙ってガチッとKOしたかったんですけど、ボクがヒザを合わせにくるのを読んでいたのか、高橋選手は下からのタックルを全然やってこなくて。それでこっちとしてはKOできる材料が少なくなっちゃって。そこは自分が狙いすぎてしまったところはあったのかなと。

――久保選手が有利に進めていたけど、そこで決め手が欠けてしまったところはあったと。

久保 そうなるとボクもパンチで攻めつつ、早く下のタックルに来てくれ……という展開だけになってしまって。もうちょっと他の撒き餌じゃないですけど、次の試合まで他の材料もどんどんアップデートしていきたいなって思いましたね。

――罠に誘い込むにはどうすればいいか、と。

久保 単純にそれだけでは相手はやってこない。それでいったら斎藤裕選手と平本蓮選手の試合も、平本選手がずっとこの待ちの状態だったけど、斎藤選手としてはポイントで勝ってるから無理しなくていいゲームになったじゃないですか。今回の試合もたとえば自分が明確にダウンしたり、ポイントが取られてる状態だったら、今度は自分から攻めに行かなくちゃいけない。カウンター待ちだと、試合自体が成立しないというか、ポイントを稼げるチャンスがほぼなくなりますよね。そういうときに自分で攻めて倒せる材料や、下からのタックルを狙いすぎないようにするとか、そのへんは課題だなって思いました。

――久保選手からすると、四つに拘った高橋選手の選択は意外だったわけですね。

久保 だから「なぜ高橋選手は下のタックルに行かなかったんだ?」って疑問に思ったりする人はけっこういるじゃないですか。でも、自分の動作からヒザを合わせようとしているのがバレてたのかもしれない。そのへんはもう自分のレベルを上げないとダメだなって思いました。

――高橋選手はONEでもスプリット判定での負けが続いていて、課題はわかってるけど今回も前に出れなかったと反省していたんですが、前に出たら出たで久保選手はチャンスだったと。

久保 きてくれたら自分としては、おいしかったんですけど(笑)。

――1ラウンドの序盤にフックを食らったときは距離設定がまだ把握できてなかったんですか?

久保 宮田(和幸)先生や上田(貴央)トレーナーと話をしていたのは「1ラウンドはとりあえず耐え凌ごう」じゃないですけど、そういう作戦でした。たぶん相手は四つでテイクダウンを狙ってきて、カーフをガンガン蹴ってくるだろうと。

――高橋選手は名うてのカーフキックの使い手ですもんねぇ。

久保 1ラウンドは絶対に凌ごうとは言っていたんですが、それでちょっと見過ぎてしまった。慎重になり過ぎたことで逆に攻めさせてしまったことで、フックをもらってしまったなって。

――打撃だけだったら久保選手が圧倒的に上なんですが、組みが混ざることでああやって打撃をもらってしまうわけですね。

久保 そういうことですね。たとえばPRIDEでミルコ・クロコップがケビン・ランデルマンにKOされたときも、ミルコが手を前に出してタックルをきろうとした動作に合わせてフックをもらっちゃいましたからね。

――1ラウンド終盤にテイクダウンされたときはどんな心境でした?

・「斎藤裕戦はまだ早いんじゃないの?」って思われるかもしれないけど…
・MMA転向1年目は打撃の練習はしていない
・カーフのカットアピールは予定どおり
・宮田代表、上田コーチの指導
・朝倉未来vs平本蓮の予想…1万字インタビューはまだまだ続く

単記事購入よりお得!【Dropkick チャンネル】

・恐怖のRIZIN焼け野原と世界戦略■笹原圭一
・扇久保博正「マコトのことは……どこまで言っていいのかわからない」
・UFCはなぜ堀口恭司との契約を見送ったのか
・ぱんちゃん璃奈論~前向きに注文を打ち間違える彼女~
・所英男46歳 ヒロヤに負けたら即引退SP
・ジョビンさんのメンバーシップ情報漏洩問題
・2022年UFCデビュー戦直後の平良達郎
・「那須川天心vsボクシング」の熱が生み出したデマ
・アイルランドで見たコーナー・マクレガー■シュウ・ヒラタ
・“奇跡の復帰戦”関原翔インタビュー 空白の726日間
・怒りの神龍誠インタビュー「あの人とは師弟関係ではないです」
・掣圏道SAプロレス、馬場元子さんの思い出■長井満也
・“日本の陽気な奴ら”JJジャックス解散の理由■AKIRAインタビュー③
・プロレススポンサー撤退騒動/新木場1stRINGの現在■事情通Z
「乱入・反則への反発」「観客動員」「カオスなGLEAT」「ダイナマイト・キッドの甥」「丸森レア」■事情通Z
・プロレス史上最大の裏切り「モントリオール事件」■斎藤文彦

このほか更新たっぷりで600円!

Dropkick チャンネル【note版】

ここから先は

8,360字
この記事のみ ¥ 200
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?