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プロレス大賞の選考は毎年難しい■小佐野景浩の「プロレス歴史発見」

プロレスラーの壮絶な生き様を語るコラムが大好評! 元『週刊ゴング』編集長小佐野景浩の「プロレス歴史発見」――。今回はプロレス大賞の選考は毎年難しいです!

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――小佐野さんも選考委員として参加された2022年の東京スポーツ新聞社制定プロレス大賞が発表されました。今回の結果から何か思うところってありますか?

小佐野 全体的な話をいうと、やはり新日本プロレスとスターダムが図抜けているということだよね。ただ、プロレス大賞の発表になると、毎年ファンからいろいろ批判が出るよね。「なんでこの選手が選ばれないんだ」とか。そういう声は出てあたりまえだと思うんだけど。

――それぞれプロレス観は違いますからねぇ。

小佐野 たとえばベストバウトになると、いい試合って数限りなくあるんですよ。

――正直、現代プロレスに「悪い試合」ってほとんどないですよね(笑)。

小佐野 めったにないよね。そんな中、どうやってMVPを選ぶのかというと、やっぱり何年か経って「2022年は……」という話になったときに、頭の中で浮かぶ試合だと思うんですよ。そうすると、50人100人しか見られていない試合は、どんなに内容が素晴らしくてもベストバウトには選びづらいと思うんですよね。

――その年の象徴として刻むなら何か?という話ですね。

小佐野 やっぱり誰かに見てもらってなんぼの仕事だから、より多くの人の目に触れるのは大事な要素のひとつだとは思うよ。多くの人から評価されないと意味がないわけで。

――この手の話題になると「忖度」という言葉が使われますけど、「忖度」ってネガティブな意味合いで捉えがちですよね。「忖度」という言葉の雑な使われ方、ホントによくないなって思ってて。

小佐野 なんか安倍(晋三)さんの件から、そんな扱いになっちゃったわけだけど。

――実生活において忖度なしで生きているのって、単なる“無敵の人”でヤバイだけですよ(笑)。みんな何かしらに配慮しながらバランスを取ってるわけですからね。

小佐野 やっぱりマスコミの立場からしたら、どの試合に反響があるのかも問われると思う。東スポで大きく記事を割ける選手や試合、週刊プロレスだったら表紙になる選手は誰か?とか。人気商売だから実際問題としてそういう評価の仕方は出てくるよ。それは忖度ではないでしょ。だって業界に利益をもたらしてくれてるってことは必要なことだもん。私の場合はいまフリーだけど、たとえば週プロの人間だったら、いかに週プロを売ってくれるかが重要になるよ。もちろんそればっかりでプロレスラーとして評価するわけじゃないんだけど。極端にいうと、プロレスは客を呼べる人がチャンピオンですよ。

――NWA世界王者の時代から。

小佐野 もちろん強さも必要ではあるけれど、客を呼べるか・呼べないかっていうのは大きなことだから。そうなると、やっぱり新日本やスターダムとか露出が多くて人気選手がいる団体が強いよね。大きな大会もやってるわけだし、それだけ多くの人の目に晒されてるわけだから。

――そうなると2022年のMVPはオカダ・カズチカだと。

小佐野 G1も連覇したし、やっぱり新日本の顔でもあるし。猪木さんが亡くなって、彼はアントニオ猪木の弟子ではないんだけど、猪木さんという存在を継承していくんだという決意を見せた。あれって、なかなか言えることではないと思うよ。本来ならば猪木さんと関わりがある人間が打ち出すところだろうし、「オマエじゃないよ」って言われたら、それまでだから。でも、彼はそのリスクを顧みずに、猪木さんがご存命中で、新日本とそこまで関係が良くない頃から、ああやって呼びかけていたから。

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