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【WWEとUFCの合併】ビンス・マクマホンの幕引きはいつか■斎藤文彦INTERVIEWS
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――驚愕のニュースが発表されました。WWEがUFCの親会社エンデバーに買収され、UFCとの合併新会社が設立されることになりました。
フミ 凄く大きなニュースであることはたしかなのですが、まだまだ謎だらけの発表でもあるんです。これはエンデバーによる完全な買収なのか、あるいは吸収合併のようなものなのか、WWEとUFCの2社の合併を意味するものなのか。形としてはUFCとWWEが合併して新法人設立という報道がされていますよね。そもそも今年に入ってからWWE身売りの噂はずっとくすぶり続けていて、NBCやFOXが候補になっているとか、それこそディズニーの名前も有力候補として挙がり、サウジアラビアの政府系マネーによる買収が確定事項かのように報じられていました。
――WWEはサウジアラビアの政府ファンドから招聘されてPPVのビッグマッチを組んでいましたね。
フミ WWEの総資産は93億ドル、いまのレートで約1兆2400億円と言われていますが、日本のプロレスの市場規模から考えると想像もつかないスケールですよね。そのWWEとUFCの合併新会社の総資産価値はこれがまたとんでもなくて、210億ドル、日本円で約2兆7930億円とされている。
――あくまで紙の上の数字とはいえ、小国の国家予算クラスですねぇ。
フミ 新会社は新銘柄としてニューヨーク株式市場に上場する予定で、上場企業ですから、証券会社に行けば基本的にはだれでもその会社の株を買えるわけですね。
――ちょっと買いたくなってきましたね(笑)。
フミ 新しい法人の名称はWWEでもUFCでもなく「TKO」になるのではないかといわれていますが、エンデバーとWWEの関係は買収なのか、合併なのか、吸収合併なのか、新会社設立なのか、いまのところそのディテールがわかりにくい。
――WWEは先代のシニアの頃から個人商店としてずっとやってきたわけじゃないですか。
フミ 現在のビンス・マクマホン、ビンセント・ケネディ・マクマホンが父親のビンセント・ジェームズ・マクマホン、つまりビンス・マクマホン・シニアから興行会社を買い取ったのが現在のWWEのルーツです。父ビンス・シニアが興行会社キャピタル・スポーツ・コーポレーションのブランドとしてWWWF(ワールドワイド・レスリング・フェデレーション)を設立したのが1963年ですから、今年でちょうど60周年なんです。ビンスがそのキャピタル・スポーツを買い取り、タイタンスポーツに社名変更したのが1983年。こちらも今年で40周年という節目です。そのビンスは1945年生まれですから、今年8月の誕生日が来れば78歳。やっぱり高齢といえば高齢ですから、復帰したとはいえ、いくらなんでも現場でバリバリ働くような年齢ではないと思うんです。
――でも、今回の買収の件がきっかけかはわからないですが、引退したはずのビンスが現場で指揮を振るっているという話が出ていますね。
フミ ビンスは昨年セクハラ、パワハラのスキャンダルが明るみに出て退陣=引退することになりましたが、WWEの筆頭株主であることに変わりはなかった。今回の買収の件でエンデバーのオーナーと一緒に記者会見をしたり、最近はメディアでの露出、映像の出演シーンがまた増えていますが、久しぶりに公の場に登場してきたビンスはいままでのルックスとあまりにも変わっちゃって、それも話題になっている。
――WWEの買収よりビンスの風貌にビックリした人も多いですよね(笑)。
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フミ 顔面蒼白じゃないけど顔色がやや青白いし、珍しく口ひげを蓄えていて、それこそ顔中を整形でもしたんじゃないかっていうくらいの変わり方ですもんね。アメリカの場合はデトックスが一種の流行というか、ビンスもそうだとは断言はできませんが、セレブの人たちは顔が老けないように整形したりするケースがかなりあり、そのせいでむしろマネキン顔になっちゃったりすることがありますね。
――逆に不自然になってしまうケースですね。
フミ そのビンスが会長職を下りて退社し、表舞台から去ったのは昨年6月のことですからあれから1年も経っていないのにビジュアル的な印象はかなり変わっています。ビンスの引退後は娘のステファニーがCEOを引き継ぎましたが、ニック・カーン現社長との共同執行体制。プロレスの現場、とくに月曜のRAWと金曜のSmackDownの番組制作はトリプルHが仕切ってきましたが、その間、企業としてのWWEの運営自体はそのニック・カーンの手に移っていきました。
――つまりビジネス面や現場の役割分担が明確になっていったと。
フミ WWEは株式を公開しているとはいえ根本的には同族会社なので、ステファニーがCEOに就任しましたが、ぴったり時計で測ったように、6カ月間の冷却期間を置いてビンスが戻ってきちゃった。ビンスがWWEを売却に動いていたことは、ビンス自身の引退と直結した何かだととらえた人は多かったわけですよね。ところがエンデバーの買収が正式発表されたら、引退するものと思われていたビンスが意外にもカメラの前に出まくっている。状況の分析と整理が難しい展開になっているんです。
――前回の引退は不本意だったから、“真”の引退に向けて最後の顔出しなんですかねぇ。
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