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ぱんちゃん、木村ミノル、鈴木千裕……嵐のKNOCK OUT総括■宮田充プロデューサー

何かが起こるKNOCK OUTの宮田充プロデューサーインタビューです!(聞き手/ジャン斉藤)

鈴木千裕「中原選手は強敵! 平本蓮は頭おかしい! 今年は地獄の1年!!」

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――KNOCK OUT代々木、面白かったです!

宮田 ……斉藤さんにそう褒められると、何か裏があるんじゃないかって不安になりますよ。

――ハハハハハハハハ! Dropkickはキックぼんやり媒体ですけど、嵐を呼ぶKNOCK OUTは気になります。

宮田 斉藤さんのところは会員制ですけど、記事によってやっぱりアクセス数は違うんですよね。

――アクセス数はもう7~8年、ろくに確認していないですね。数字に引っ張られちゃうと、自分の興味と違うほうに……。

宮田 へえー。商売だけど、数字におもねるわけじゃなく。

――数字だけで判断すると「取材してもな……」ってテンションが下がってもおかしくないじゃないですか。「読者は○○インタビューとか興味ないんだろうな」と思いつつ「俺が知りたいんだよ!」精神で邁進してます(笑)。

宮田 なるほどなあ。俺もチケットのことを考えないほうがいいのかな(笑)。

――KNOCK OUT代々木は宮田さんのやりたいことと、数字のバランスがよかったんじゃないですか?

宮田 今回はいいメンバーが揃っていたので、自分のやりたいことをやらせてもらえたかなって感じですね。チケットはもっと苦戦するかなと思っていたんですけど、3800人の満員で発表させていただいて。ご存知のようにキックボクシングってプレイガイドのチケットがすべてではなくて、ジムや選手の手売りがあるので、そこも皆さんに頑張ってもらえて。あとは大会終了時間ですね。鈴木千裕くんのメインが終わったのが19時50分。あの大会の流れだと、お客さんは帰ろうにも帰れない。日曜日って次の日が仕事じゃないですか。20時過ぎると「このへんの飲み屋って何時ぐらいまでやったっけ?」とか「ご飯はどうしようかな」って考えちゃうもんですよね。ボクはそういうタイプなんですよ。

――プロレスだとメイン前に帰ることはそうないですよね。

宮田 キックはカードや展開によってはガンガン帰っていきます。

――格闘技興行の場合は選手の応援団がお目当ての試合が終わったら、頃合いを見て帰りがちという。

宮田 Dropkickにも出ているサーバルさんなんかは、どこの試合からお客が帰ったとかチェックしてますけど(笑)。そこは試合順とかちょっとテクニックで目につかないようにできるんですけどね。

――やっぱり20時前にメインだと「最後まで見ていこうか」となりますよね。

宮田 それに千裕くんはRIZINで活躍したこともあって、知名度は上がってますから、時間関係なく「見ていこうか」って最初から決められますよね。で、メインでああいう倒し方。

――また鈴木千裕の試合があったら「見ていこう」となるインパクトですね。

宮田 今回は前半戦の試合もよかったし、真ん中あたりの試合もよかった。最初から最後まで語ってもらえる感じの興行になったと思いますね。課題や反省点はいくつかあるんですけど、選手の頑張りに助けてもらったかなと。

――3月はKNOCK OUTだけではなく、K-1やRISEのビッグマッチがあってキック祭りだったんですが、KNOCK OUTが初っ端に有刺鉄線電流爆破デスマッチをやる感じで(笑)。

宮田 ギャハハハ! いちばん嬉しい評価のされ方です!

――ホントですか(笑)。マジで非キックファンの注目度はKNOCK OUTが高かったのかなと。

宮田 本当ですか。そう思っていただけるんだったらとても嬉しいです。たしかにKNOCK OUTが順番的にケツだったら、つらかったかもなって。

――K-1とRISEでそれぞれ実現した対抗戦を意識したところはあるんですか?

宮田 まったくないし、気にも留めていなかったですね。

――いや、本当のこと言ってください!(笑)。

宮田 本当ですよ(笑)。K-1さんとRISEさんが今後どう転がっていくのか、どう転がしていくのかってことは気になってますけど。今回は「ああ、こういう感じで始めるのね」っていう感じでした。ファンの人もそうじゃないですか?

――フィナーレなマッチメイクではないですよね。

宮田 もちろんその選手についているファンの方々にとっては熱いカードでしょうけど。ただ、たとえばプロレスの対抗戦でも時代とともにアプローチも変わっていますよね。会見スタートなのか、乱入スタートなのか、交流戦的に始めるのか。プロレスのようにやればいいって話ではなくて、ファン心理を煽っていくやり方ってあるじゃないですか。K-1さんとRISEさんはどういう風にやっていくんだろうな?ってところは気になりましたね。

――KNOCK OUTは同じキックイベントでもカラーが違うというか。なぜかスキャンダルファイト的なカラーが……。

宮田 ち、ちょっと待ってください。スキャンダルファイトというジャンルを確立しようという気はさらさらないんですけど(笑)。

――まず木村“フィリップ”ミノル選手が1・7キロの計量オーバー。ペナルティとして減点2、10オンス使用のグローブハンデ、ファイトマネー20%減額で試合を行いましたが、秒殺KO勝ちというなかなか気まずい感じで。

宮田 ……計量オーバーだけはホントに語りたくもないですよね。マジで勘弁してくれって感じだし、誰も得しないですから。計量オーバーはみんながイヤな思いをしますよねぇ。人間のやることだから、体調やケガなんかで起きちゃうもんですけど。今回はクンタップ(・チャロンチャイ)選手側が了承してくれたから試合は成立したんですけど……。勝っても参考記録にしかならないですから。

――最近は計量オーバーがあると「試合を中止しろ!」という声があがりますよね。

宮田 計量オーバーは過去に何度もあったことなので、いろいろと規定が定められてるんですよ。まず開始時刻から2時間以内にクリアすればOKです。再々計量だろうが時間内であればクリアです。タイなんかは当日計量なんですけど、暖かい気候もあるのか、けっこうな選手数がオーバーしてくるんですよ。で、時間内に落とせばいい。あと500グラムは走って落としてきます、とか。ミノルくんはK-1の頃から計量の際にバタバタする選手なんですけど、規定時間内にクリアできなかったのはたしか今回が初めてです。だからクリアできなかったときはガックリきましたねぇ。

――KNOCK OUTは2キロ以上のオーバーだったら、問答無用で試合中止なんですよね。

宮田 そこはK-1さんと同じで、不戦敗になりますね。ボクがK-1プロデューサーだった頃、ある時期までは時間を延ばしたり、翌日に計ったこともありますね。でも、ドクターの先生と話をして、そこで無理に追い込んで万が一のことが起きてしまったら……と。

――命の危険ですね。

宮田 どこかで線を引かないといけない。もちろん対戦相手やジムからしたら「落としてくれないと不公平だ」と思うのは当然だし、いちばん悪いのはオーバーした選手です。でも、ドクターの言うことももっともなので、K-1は2時間以内の再計量。オーバーした数字によってペナルティをつけることにしたんです。そのうえで、試合を受けるかどうかは対戦相手の同意が必要です。

――KNOCK OUTもその運用でやってるわけですね。

宮田 100グラムのオーバーでも、オーバーされた側の選手には「いや、俺は試合をやらない」という権利があります。そういえば誰かが「オーバーした選手のファイトマネー20%没収は、運営が儲かるだけだから相手にあげたほうがいい」と言ってましたが、ペナルティのお金はそのまま相手選手に渡るかたちにしています。

――UFCもしょっちゅう計量オーバーがあるんですけど、コミッションの指導もあってなのか選手を追い込まないんですよ。すぐにキャッチウェイトにするかどうかの提案があって。

宮田 ああ、そうなんですか。もし試合中止になったら選手の手売りチケットをどうするとか、いろいろな問題があるんですけどね。たとえば300枚売っていたら、それはもう大変な金額ですよね。

――オーバーした選手がファイトマネーやチケット手売り分を負担すべきというルールにすると、最初から体重計に乗らないケースも出てくるでしょうねぇ。計量オーバーではなく「体調不良」という欠場理由にして。

宮田 アマチュアだったら即失格でいいんですよ。アマチュアのトーナメントだったら相手の不戦勝扱いでいいんですけど、やっぱり興行となると……。できるだけ本来発表しているものに近いかたちでお客さんに試合をお見せするのが原則ですよね。

――お目当ての選手の試合が、相手に体重オーバーしたら複雑ですよね。試合は見たいけど、キャッチウェイトになったら不公平感がある。

宮田 そういうお客さんからしたらオーバーした選手が勝っても嬉しくないですし。……だから計量オーバーはみんな困るから勘弁してくれってことなんですよね。

――たぶん選手だけじゃなくてプロモーターのせいであるというのがファンの考えでもあるんですよ。

宮田 たしかに興行の責任は主催者にありますから、そこでできるかぎりのことはやって、誠意を見せる必要はありますね。

・木村ミノルのマイクはOK、鈴木千裕のマイクはダメ!?
・「チャンピオン=メインイベンター」ではない
・ぱんちゃん璃奈にはドキドキしている
・数字の話……などなど9800字インタビューはまだまだ続く
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