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キックボクサーのMMA転向とは何か■久保優太【キャリア2年半・3勝1敗】

RIZIN神戸で高橋遼伍と対戦する久保優太インタビュー! キックボクサーのMMA転向とは何か(聞き手/ジャン斉藤)

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――キックボクサーのMMA転向が相次いでいるんですけども、久保選手にご自身の経験を含めて、その難しさを語っていただきたいと思ってます!

久保 よろしくお願いします。

――まず久保選手は3月のRIZIN神戸大会で高橋遼伍戦が決定してます。記者会見でもおっしゃってましたけども、周囲からはこの試合を受けることに反対の声が多かったんですよね。

久保 そうですね。正直、実績や実力的なものも含めてまだ高橋選手に挑戦するのは早いんじゃないか?と。せっかくこうやって勝ち星を重ねている中で、勝つパーセンテージがかなり低い選手と試合をすることに「実力差あるけど大丈夫?」みたいな。

――反対をありながら、久保選手がオファーを受けた理由はなんですか?

久保 せっかくキックからMMAに挑戦してきたからにはトップを取りたいじゃないですか。自分はRIZINでチャンピオンになる夢を持ってるんですよね。高橋選手との試合はその目標実現のためのチャンスだなと思って。

――勝てば上に行けるチャンスだってことですね。

久保 あとは自分はいま36歳で、いつまでこのベストの状態を保てるかはわからないし、肉体的にもピークの時期に試合ができないのはもったいないというか。MMAファイターとしてはまだまだ未完成だとは思うんですけど、それを理由に断ってしまったらチャンスを逃すことになるんじゃないかと思いまして。たしかに現時点で勝率は……勝つ自信は半々ぐらいになってるのかな? 試合当日は7-3、6-4ぐらいまで持っていくことが自分の目標です。

――久保選手はなかなか本音を明かさないところがあるので、そうは言いつつも自信はしっかりあるんじゃないかなと思ったりするんですけど(笑)。

久保 いやいや!(笑)。現時点でそこまでの自信はないですね。前回、木下カラテ選手とやったときは「久保優太が天才だっていうところを見せます!」とかポジティブなことをいろいろ言えたんですけど。高橋選手の試合映像を見て、そのテンションには正直なれなかった。

――強敵だと。

久保 やっぱり打撃もできますし、組みがうまい。なんでもできるオールラウンダーというか。いまのMMAは、なんでもできなきゃ世界の舞台で戦うことはできないんですけど。そういったレベルの選手に挑戦できることはありがたいことでもありますね。

――自分の実力が測れる相手ということですよね。

久保 そうですね。ここをクリアしないとRIZINのチャンピオンという目標実現から遠のいてしまうので、乗り越えなきゃいけない試合だと思って受けたつもりではあります。

――記者会見で高橋選手は「オープンフィンガーグローブでやるとそんなに打撃の差はない」と言ってたじゃないですか。打撃の天才と称される久保選手といえども、MMAになると打撃はまた違ってくるということですか?

久保 やっぱり違いますし、良い部分と悪い部分があります。まず悪い部分から挙げさせてもらうと、K-1やキックボクシングでやっていた打撃が10だとすると、MMAではやれることが半分くらいになっちゃうのが自分の実体験としてあります。たとえばキックで有効となる複雑な伏線を張ってのフェイントだったりは、MMAだと打撃以外にも気をつけなきゃいけない幅が増えるから、そこまでやる意味がない。

――組みが混ざるわけですもんね。

久保 だからキックボクシングで10使えた技が5くらいに制限されちゃいます。逆にいい点であげると、気をつけなきゃいけない部分が増えるぶん、たとえば3行程で済んだ打撃が1~2行程で済むと。打撃以外にも気をつけなきゃいけないので、シンプルなフェイントで打撃が当たりますね。MMAとキックの打撃の違いはそういうふうに分析してます。

――久保選手の打撃もMMA以前・以後では変わってるわけですね。

久保 そうですね。ボクのパンチや蹴りのフォームもかなり変わってますし、それこそボクシンググローブは自動的にインパクトがオートで出せちゃうんです。やっぱりオープニングフィンガーグローブの場合は拳を握ったり、力を入れてインパクトを出せなきゃいけないんですけど、ボクシンググローブはその重みだけで倒せるときもありますね。

――それがオートという表現なんですね。

久保 打撃の違いはすごく分析してます。オープニングフィンガーグローブの場合はどういう風に打ったら相手に効くのか。そこはたとえば距離ですよね。MMAはキックボクシングの距離よりも遠くなるわけじゃないですか。その遠い距離間でどんな攻撃を出せるのか、どの攻撃が有効なのか、どの攻撃が使えないのか……って分析ですよね。

――打撃の分析は済んでいると。

久保 とは思うんです。ただ、実戦でどうなのかは未知数なところはありますね。転向して2年半ぐらいですけど、まだまだ時間がかかります。

――だから高橋選手も、久保選手とは打撃に差はないぐらいのことが言えると。

久保 そうなんでしょうけど、いま自分が想定しているような動きができれば、打撃で差を出せるとは思っています。でも、自分の頭の中と現実って違うじゃないですか。そこは実戦経験だったり、いわゆるキャリアという部分ですよね。

――格闘技って現実とのギャップの戦いみたいなところはありますね。高橋選手はカーフキックにものすごく自信を持っているので、久保選手がどう対処するのかも見どころなのかなと思っているんですけど。

久保 高橋選手といえばカーフキックのイメージはあると思うんですけど、全体的になんでもできる印象があるので、カーフキックだけ対策してしまうと、他のところでやられてしまう。もちろんカーフの対策をしつつ、全体的に自分自身のレベルを上げていかないと、今回の試合はクリアできないなと思っています。

――カーフキックだけじゃないってことですね。

久保 それが自分が不得意とする展開になったとしても自分自身のレベルが上がっていれば対応できるし、そこから自分自身のフィールドに持っていけますよね。残り1ヵ月ちょっと、自分自身のレベルを上げることに専念しています。

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