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真夏のUFC査定試合出陣! “最後のピーズラボ戦士”内藤由良

ダナ・ホワイト・コンテンダーシリーズ出場が決まってミドル級の内藤由良インタビュー!ジャパニーズMMAの申し子でした!(聞き手/ジャン斉藤)

――UFCの契約査定試合ダナ・ホワイト・コンテンダーシリーズ出場決定ということで、大チャンスですね。

内藤 はい、もう勝つしかないです。ずっとUFCを目指してやってきたので。

――コンテンダーシリーズ出場にはどういう経緯があったんですか?

内藤 ボクは海外のマネジメントと契約してて。アーセナルというところなんですけど、ベラトールの菊入正行選手と一緒です。パンクラスの福井(幸和)代表のビジネスパートナーだったティキ・ゴーセンがやってるんですけど。そこにはアルジャメイン・スターリング、ブライアン・オルテガ、ダスティン・ポイエー、いまはちょっと外れちゃったんですけど、アーチュレッタも契約してました。アーセナルを通して海外の話が進んだんですけど、なかなか試合ができなかったんですね。

――先日のパンクラス6月大会で試合をしましたけど、前回から2年3ヵ月近く空きましたよね。

内藤 だいぶ空きましたねぇ。そのあいだ試合が飛んだりしてて。コンテンダーシリーズの話でいえば、ボクはキャリア5戦だったんで「あと1~2勝はほしい」ということだったんです。

――全勝とはいえ5試合だとやや足りないと。

内藤 だったらLFAで1試合やってからコンテンダーに行くか。もしくはLFAで複数試合やって、直でUFCとの契約を狙うかという話をしてたんですけど。LFAに出ようとしてもそもそも試合が全然組まれなくて。去年の12月15日にLFAラスベガス大会に出る話もあったんです。1ヵ月前にオファーがあったけど、契約書が送られてこなくて。2週間前になって「相手がミドル級まで落とせないからキャッチウエイトでやってくれないか」と。でも、まずLFAは渡航費が出ない。当然セコンド分の旅費もなし。

――それにLFAだとファイトマネーもそんなに……。

内藤 だから「キャッチウェイトまでして試合をする意味あんのかな……?」と思って。ショートノーティスだし、勝ってもUFCが確定するわけじゃない。だからやめたんです。

――それは正解ですねぇ。

内藤 2年前にもLFAの話があったんですけど、3人ぐらい候補を挙げられて、こっちは全員オッケーで返してたんですけど、それもなしになっちゃって。

――LFAで試合をするのも、なかなか大変だってことですね。

内藤 フィーダーだからちゃんとやってくれるのかなと思ったんですけど、よっぽどパンクラスのほうがしっかりしてるなと(苦笑)。

――拠点がアメリカならLFAでもいいと思うんですけど、日本から試合をするにしてはなかなか厳しい場なのかもですね。

内藤 LFAからしても日本から選手と呼ぶ需要があまりないですよね。だってアメリカには選手がゴロゴロいるわけじゃないですか。そこからUFCに選手を出すほうがコスパがいいですし。そういう話を聞いて自分の中でもわりかし納得はいくんですけど、試合ができないことは厳しかったすね。

――そんな中、コンテンダーシリーズのチャンスが巡ってきたと。

内藤 パンクラスの協力があってのおかげなので、パンクラスでやってきてよかったと思ってますね。

――もう日時も決まってるんですか?

内藤 はい。公開していいのかわからないですけど。

――2年ぶりの試合になった6月30日のパンクラスも直前でいろいろとあって。当初はキルクリフ所属のディラン・オサリバンと対戦するはずでしたが、前々日に入国時の問題により欠場。急遽、在日クルド人のアリ・カラダギィに代わって。

内藤 あの選手がショートノーティスでやってくれるということで、対戦相手なのに救世主でしたね(苦笑)。

――もし試合が流れていたら……。

内藤 コンテンダーシリーズはたぶんなかったです。

――うわー、危なかったですねぇ。

内藤 ホントです(笑)。UFCからすると、まず2年空いてるってことがけっこうネックだったらしくて、とりあえず試合をやってほしいと。今回の代替え選手も1階級下のウェルターから探してくれたんですけど、こっちは万全の状態だし、ボクが逆の立場だったら絶対やんないですよね。だから試合を受けてくれてホントにありがたかったです。

――国内のミドル級だと知り合いになっちゃいますよね。試合を組むにも練習するにも大変な階級というか。

内藤 日本でミドル級をやっていくことの大変さは最近とくに感じてますね。今回UFCと契約できなかったとしても、アメリカに拠点を移したほうがいいのかなと思ってるんですよね。向こうにいれば、UFCが代打を探してるときにすぐ手を挙げられるじゃないですか。

――今夏のコンテンダーシリーズに出場予定だった選手が、ケガ人が出たからいきなり本戦契約になったケースもありますね。でも、日本にいるとそんなチャンスは……。

内藤 難しいですよねぇ。UFCに限らずチャンスが増えると思うので、アメリカ行きは真剣に考えてます。

――アジアのUFC登竜門企画ROAD TO UFCも検討はされてたんですか?

内藤 いちおう話はしてもらってたんですよ。でも、ROAD TO UFCは軽量級中心で、ワンマッチがあってもライト級、めっちゃレアでウェルターだけ。だから今回のコンテンダーシリーズがなかったら、もう向こうに住んでフィーダーでやっていくしなかったですね。

――非UFCメジャーでもミドル級はそこまで稼働してないですよね。

内藤 よく「RIZINに出たほうがいいんじゃないか」とか言われるんですけど、出たところで話が進まないんで出る必要がないんですよね。

――RIZINにミドル級の選手がそこまでいるわけじゃないってことですね。

内藤 そうなんですよね。仮にRIZINでイゴール(・タナベ)くんと試合するとしても、その試合をやったら終わりなんで。それにイゴールくんとは一緒に練習もしたりするんで、やっぱり顔見知りになっちゃうんですね。

――そんな中、コンテンダーシリーズ出場権をゲットできたわけですけど、2年間の空白は大きいですよね。

内藤 大きいですねぇ。ボクはいま28歳なんですけど、この年齢のときに1回も試合できなかったのは……どんどん試合をしていかなきゃいけない時期じゃないですか。格闘家なんて試合しなかったら、ただのニートですからね(笑)。

――何も決まってないのに練習を続けるのはなかなか……。

内藤 そこはやる気云々じゃなくて準備しとかないと。自分が完璧にできてるわけでもないんで、より刃を磨かないと、急に「試合です!」ってなったときに実力発揮できないことが怖かったんで。

――いつやってくるかわからないチャンスのために。

内藤 そこは修行です。しんどかったですけど、期待してくれる人もいっぱいいるんで、その人たちのおかげでなんとかやりきれた感じです。ボクは五味(隆典)さんに憧れたというか、ずっと好きだったんですよ。五味さんは26、27歳くらいのときにPRIDEで大活躍してたんで、いまの自分とどうしても比較しちゃうんですよねぇ。

――それは焦りますよねぇ。MMAを目指したのも五味さんがきっかけなんですか?

内藤 もともと3歳から極真空手を始めて、8歳からピーズラボ横浜で、ちびっ子レスリングを始めたんです。その当時は鈴木(みのる)先生がいたんですけど、あとは大石(幸史)先生、アライ(ケンジ)先生、佐藤光留先生とか、そのときのパンクラスイズムの選手たちがレスリングを教えてくれました。川村(亮)さんは練習生でした。

――あの時代のパンクラス!


・鈴木みのるから金言
・大晦日DEEPはもちろん現地観戦
・パンクラスイズムvsSKアブソリュート
・DREAMや戦極は面白かったのに…
・入場曲は「ラストマン・スタンディング」
・日本重量級の課題……まだまだ続く!

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