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【UFC契約ゲット!】木下憂朔インタビュー「ボクが日本格闘技の流れを変える」

UFC査定イベント「ダナ・ホワイト・コンテンダーシリーズ」のワンマッチをド迫力のTKO勝利で飾り、UFCの契約をゲットした木下憂朔インタビュー!(聞き手/ジャン斉藤)

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――コンテンダーシリーズの快勝、そしてUFCの契約おめでとうございます!

木下 ありがとうございます。

――試合に勝てば嬉しいですし、KOで勝てばなおさらですし、それどころか世界最高峰の団体と契約までできるって、こんなに嬉しい1日はないですよね。

木下 たしかにそうですね(笑)。1試合でこんなにいろんなことが起きることはなかったので、めちゃくちゃ嬉しかったですね。

――今回はUFC本戦ではなく査定試合。木下選手もツイートされてましたけども、品定めされる雰囲気があった。独特の空間だったんですよね。

木下 そうですね。入場曲もなかったですし、会場には関係者というか、格闘技に目が肥えた人しか見てないっていうか。日本の会場も静かなときは静かなんですが、ちょっと違う静けさがありましたね。「こいつ、どう?」みたいに品定めする感じがありました。

――木下選手は物怖じしないから、そういうシチュエーションは燃えるほうなんじゃないですか?

木下 なんか嬉しかったです(笑)。「どうだ、見たか!!」じゃないですけど。

――海外の試合は今回が初めてですよね。いつもと何か違ったり、戸惑うことはなかったですか?

木下 とくに違いはなかったんですけど……コンテンダーシリーズって勝てばUFCにだいぶ近づくんですけど、負けちゃうとしばらく契約は無理っぽくなりますよね。そのプレッシャーで緊張したところはありますね。

――他の団体で負けるよりも、コンテンダーシリーズで負けたほうがUFCから遠のく感はある。

木下 ここで負けちゃうと、長いあいだ呼ばれない可能性が出てきちゃうんで「絶対に勝たないと!」という感じでした。

――コンテンダーシリーズが厳しいのは、たとえ勝っても契約されない場合もあることです。フィニッシュしなきゃいけない意識はいつも以上に強かったですか?

木下 いや、ボク自身いつもフィニッシュを狙って戦っているんで、あんまり「倒さないと!」という感じではなく。倒しに行った結果、判定やったとしても評価してもらえると思うので。そこは大丈夫かなって思ってましたね。

――今回の相手はかなりの長身でリーチ差もありましたけど、その不安はまったくなかったみたいですね

木下 意外とそこには不安はなくて。リーチの長い相手に対しての対策はしてましたし、一番大きかったのは稲垣(克臣)さんが……。

――所属するパンクラス稲垣組を主宰する。

木下 稲垣さんが「気にならないよ」みたいなこと言ってて。稲垣さんがパンクラスの現役時代、セーム・シュルトと試合してたり……。

――2メートル10センチのスーパーヘビー級とやってましたね(笑)。

木下 大きい外国人とばっかりやっていた人が言うなら間違いないなと思って。

――メンタルの支えになったんですね。

木下 実際に向かい合ってみて、思ってるよりデカくないな、みたいな。あんま気にならなかったです。

――最近の日本はコロナもあったりして、なかなか外国人が呼べない状況があります。修斗、パンクラス、DEEPのチャンピオンクラスでも外国人と戦ったことがない選手が増えてるんですけど。初めての国際戦で、いつもと違うところはありましたか?

木下 いや、何もなかったですね。いつもと一緒でした。よく外国人は骨が太いとか、殴られたときのパワーが違うとかよく聞くんですけど、べつに何も思わないっていうか。

――相手の打たれ強さは感じなかったんですね。

木下 普通にタフやなって思ったんですけど。それはなんか外国人やからっていうわけでもなく、日本人にもそういう人いますね。

――1ラウンドと2ラウンドは木下選手が取りましたが、2ラウンド途中に足をケガされたんですよね。

木下 2ラウンドの真ん中ぐらいですかね。足がちょっと動かへんなと思って。

――異変にまったく気づかなかったです。

木下 そこはもう頑張りました。なかなか無理でしたけど(苦笑)。ごまかせないぐらい痛くて。体重をかけちゃうと、もうバランスを崩して倒れるんじゃないかって感じで。これはちょっとヤバイなと。

――けっこう深刻な状況だったんですね……。

試合後、マネジメントで通訳のシュウ・ヒラタさんの肩を借りてインタビュー。

木下 ボクが2ラウンドともに取ってるから最後の3ラウンドは相手は前に出てくるとわかってたんで、どう乗り切ろうかなと。

――焦りはあったんですか?

木下 何も思わなかった。ヤバイけど、もう始まるし、行くか、みたいな。

――足のケガはセコンドに伝えたんですか?

木下 いや、言ってないですね。いらん心配かけるし、言ったとしても一緒やしなと思って。

――もうやることは前に出てきた相手をどう仕留めるか、と。

木下 そうですね。相手が来るのを待ってても、いつか捕まると思ったんで。

――そして詰めてきた相手の右ストレートをかわして左フックで仕留めてTKO。理想の勝ち方ってことですね。

木下 そこはもう頭の中で描いた動きができたって感じですね。でも、あのコンビネーション自体は今回あんまり練習はしてなくて。最近はストレートからのハイキックが……。

――UFCウェルター級王者のカウル・ウスマンが逆転負けした。

木下 佐藤(天)選手とかもそれで倒されて……。そこがちょっと怖かったんですけど、相手は試合を通してほぼ蹴ってこないってわかってたんで、自信を持って頭を振って動けましたね。

――相手が蹴ってきてないとか、いろんな情報を整理したうえで身体を即座に動かして戦っていく。

木下 ほぼ反射的に動いてる感じなんですけどね。

――試合後は勝利の喜びを大爆発させて、とても足が痛いようには見えませんでしたけど。

木下 ホントはすごく痛かったんです(笑)。

――オクタゴンから出たら松葉杖でしたもんね。あんなに痛いのに歓喜のポーズを取ってたんですか(笑)。

木下 そうですね。あれはちょっとやっとこうかなと。

――何かイメージするものがあるんですか?

木下 いや、とくになくて。ボクがいつもサポートしてもらってるREBELLIOUS というアパレルブランドがあるんですけど、そこの代表の方が平田樹選手とボクのことを話してて。SNSにあがったボクがふざけている写真がめっちゃ好きって言ってくれてて。喜んでほしいし、またやろうかなみたいな。

――あのポーズは各方面で話題になってますもんね(笑)。コンテンダーシリーズ終了後恒例の審査待ちの席には、足をケガされていたから木下選手はいなかったんですか? 勝った選手が集められて、ダナ・ホワイトから契約か否か告げられるシーンは見ごたえがあるんですけど。

木下 ボクも楽しみにしてたんですけど、なかったですね。

――木下選手の試合はメインだったし、試合後のメディカルチェックもあったから間に合わなかった。

木下 試合が終わって、インタビューを受けて、ドクタールームでメディカルチェックを受けたんですけど。「あそこに行ってくれ」って言われて。ボクが付いたらもう誰もいなくて(笑)。

――ダナ・ホワイトが木下選手の契約を告げたときは、2画面で木下選手が松葉杖で移動するシーンでした(笑)。

木下 そのあとまたインタビューを受けて「契約しましたけど、どうですか?」みたいに聞かれて「あ、契約してるんや」と。

――なんともいえない合格通知(笑)。あんな派手な勝ち方をしたら、確実に契約だと思っていたんですよね。

木下 そうですね。確信しましたね。

――ダナ・ホワイトともお話されてましたが、どんなことを?

木下 ボクはあんまり英語がわかんなかったんですけど……「長らく日本人のスターがUFCにいなかったから、キミと契約できてよかったよ」みたいなことを言われて。ボクは「アジアのスターになります」と。あと「コンテンダーシリーズで日本人をもっと使ってくれ」とも言いました。

――木下選手がコンテンダーシリーズ初の日本人選手ですもんね。宿泊ホテルとかは本戦ファイターとは扱いに格差があったと聞きましたけど。

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