堀口恭司、朝倉海はUFCと本戦契約できるが…■シュウ・ヒラタのMMAマシンガントーク
多くのMMAファイターをマネジメントするシュウ・ヒラタ氏が北米MMAシーンを縦横無尽に語りまくるコーナー。今回も12000字で語ります(この記事はニコ生配信されたものを編集したものです)
――シュウさん、明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします。
シュウ こちらこそよろしくお願いします。
――今回はRIZIN大晦日について振り返っていただきますが、まず井上直樹選手の試合(佐藤将光戦)が大晦日に発表されました。前回の配信では、井上選手は思案の末、大晦日の出場を断念したということでしたね。
シュウ はい。無理に大晦日に出るんじゃなくて、じっくり準備しようということで。あとは試合数の多い大晦日の中で目立たない位置で試合をするのと、神戸大会でいい位置で試合をするのは、どちらがいいか?というブランディング的な視点でも考えてほしいと直樹選手には説明しました。それでじっくり1週間考えて、彼が決めたというのが経緯です。それで春のRIZINに出るということで、いろんな候補があったんです。たとえば大晦日で元谷選手に勝ったヴィンス・モラレス選手も結果次第ではありかなーっていう話があったんですけども、元谷選手が勝つかもしれないし、試合でケガするかもしれない。終わってみないとわからないじゃないですか。それに大晦日にカードを発表することを考えて、佐藤将光選手に収まったわけです。
――もしかしたらヴィンス・モラレスの可能性もあったけど、カード発表の関係で先に決めることになったわけですね。
シュウ でも、RIZINさんとしても大晦日まで発表したかったと思うんですね。
――井上選手が大晦日に出るとしたら誰が候補だったんですか?
シュウ まず今回決まった佐藤将光選手の話もあったんですけども、あとはキム・スーチョル選手。スーチョル選手はいいペースで試合をしているのに対し、直樹くんは手術明けですし、自分で1週間考えた結果、しっかりファイトキャンプを張って万全の状態で試合をするという選択をしました。最初は2月の佐賀大会という話だったんですけども、ギリギリになって3月の神戸になったんですよ。
――RIZINがバンタム級挑戦者決定戦的なカードを組んだということは、佐藤将光選手はRIZINと複数回契約を結んだということですよね。
シュウ そうなりますよね。私が聞いたのは、佐藤選手はできれば1試合ごとの契約にしたいという意向があったらしいんですけども、複数試合契約で落ち着いたんじゃないかなという感じですよね。
――先日の太田忍戦はスクランブルだったからワンマッチ契約は仕方ないにせよ、井上直樹選手クラスを当てていくんだったら、やっぱり複数回契約を結んでいきたいですよね。
シュウ やっぱりRIZINさんとしても「見えないランキング戦」はやっていきたいですよね。それがワンマッチ契約だと他の団体に行っちゃう可能性もありますからね。一部のファンはランキングを作れという声が時折聞こえますけど、UFCみたいに全員が4~5試合の複数試合契約のサインするのならわかるんですけど、RIZINさんは選手によりけりで契約も微妙に違うんで、そうなるとランキングを作るのが難しくなるんですよね。
――せめて1階級に20~30人近く選手がいないとランキングって機能しないですからね。そして佐賀大会ではヴガール・ケラモフvs摩嶋一整も決定。前回の配信では「摩嶋選手はいい相手と組まれる」ということでしたけど、たしかに「いい相手」すぎますね(笑)。
シュウ はい(笑)。摩嶋選手はRIZINで斎藤裕選手やクレベル・コイケ選手、金原正徳選手とか強い相手にしか負けてないですからね。RIZINフェザーのランキングの中では、やっぱり上位に踏み込めるポテンシャルのある選手だとボクは思っているんですよ。そういう意味では元王者のケラモフに勝てば、これまでの負けを取り戻せます。しかも佐賀はケージなんですよ。摩嶋選手にとってケージは有利なんじゃないかと思いまして、摩嶋選手やコーチの毛利(昭彦)さんと相談して受けることにしました。
――強敵だからこそ勝てば評価が上がるわけですよね。
シュウ 勝負は時の運なんでどう転ぶかわからないですけど、やるんだったら強い選手とやらないと評価は上がっていかないですよね。たとえば自分よりランキングの下の選手に勝ってもそこまで上がらないし、逆に負けたら下がるだけじゃないですか。
――やっぱり団体のマッチメイカーは「誰に勝ったか」「試合が面白いか」などを見ますよね。
シュウ そうなんですよ。たとえばUFCのフライ級で平良(達郎)選手が5連勝してようやくランキングに入りましたけども、あれは不運なことに相手の計量オーバーやケガなんかでランカー相当の選手と当ててもらえなかったところもありますからね。
――平良選手はホントついてなかったですねぇ。
シュウ 摩嶋選手に話を戻すと、摩嶋選手の場合はフルタイムで仕事しながら試合に出てるんですよね。仕事の兼ね合いもありながら試合を決めるんですけども。前回は計量オーバーしてしまったので、新しくフィジカルトレーナーを雇うことになりまして。また違った摩嶋選手が見れるんじゃないかなと。
――RIZINにしては珍しく佐賀も神戸もカードがほぼ固まってるみたいですね。
シュウ 5月の有明(4月29日に変更)も発表されて。ジャンさんも聞いてると思うんですけど、夏はもうひとつ大きいイベントがあるかもしれないんですよね。
――ボクは何も言ってないですけど(笑)、いまのRIZINは大晦日だけじゃなくて、夏に山場が用意されているかもしれないってことですね。
シュウ いまはベラトールやONEがこの先どうなるかわからないし、UFCも集団訴訟の件がありますよね。これから北米には“MMA浪人”が増えてきそうな中、定期的に試合を組んでくれるRIZINは安定感がありますよね。
――RIZINはパフォーマンス次第で年間3試合は組んでくれそうですもんね。まあRIZINのことなので「一寸先はハプニング」なんですけど(笑)。
シュウ いまの選手たちってラスベガスとかやたら大きいチームに集まって練習するじゃないですか。役者になりたい人たちがハリウッドやニューヨークに集まるのと同じで、MMAの場合はラスベガスか、ATTやキルクリFCなどがあるフロリダなんです。みんなそこで情報交換するわけなんですけど、ひとつだけ確実に言えるのは非UFCはトップファイターを除いて、多くの選手たちが不安定な状態で待たされているということですね。そういうことも、ベガスやフロリダのチームにいると、日々チームメイトたちと情報交換ができるんで、そういった業界全体の事情もわかるということなんですよね。ですからそういう場にいない選手たちは「なんで自分の試合が組まれないのか?」「なんでこんなに時間がかかるのか?」とマネジメントに聞いてきますけど、逆にベガスとフロリダにいる選手たちからは、そういう疑問は出てこないんです。「はい、チームメイトで、ベラトールのランカーも待たされてます」。だから、自分はまだだとわかるんですよね。
だからRIZINみたに2月、3月、5月……と大会をどんどん決めてくれるのは羨ましいと思いますよ。我々マネジメントにとっては、選手が試合しないと儲けにならないんで、一番すぐに決めたいのは試合なんですよね。それは選手たちとまったく同じ思いです。
――ヴィンス・モラレスもいい仕事にありつけたところはありますよね。
シュウ そうなんですよ。ボクがヴィンスのマネージャーだったらどんどんプッシュして、2月か3月に、または最低でも5月に入れるように交渉しますね。元谷選手に勝って一気に名前が上がったわけだから。
――シュウさんがマネジメントしている選手でいえば、神龍選手は堀口選手相手に強さを見せたんですけども、残念ながら負けてしまいました。
・神龍誠vs扇久保博正はありか
・堀口恭司、朝倉海はUFCと契約できるが…
・平本蓮は2月末から海外の某所で練習
・アーチュレッタは戻し計量をクリアできたのか
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