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SNSの使い方から、奥さんとのほんわりエピソードまで。『バーのマスターは、「おかわり」をすすめない』を読んだ

渋谷にある「bar bossa」店長・林 伸次さんの『バーのマスターは、「おかわり」をすすめない 〜飲食店経営がいつだってこんなに楽しい理由〜』を読んだ。

話しかけるような筆致で、頭に入りやすかった。

頭に入りやすいのは優しい筆致だけじゃなく、林さんの謙虚さも大きい。読者も素直に「聞いてみよう」となる。

ざっと印象に残ったことをまとめておきたいと思います。

林さんは奥さんのことが大好きすぎる

まず、林さんは奥さんのことがすんごい好きなんだなぁと思うほど、文中には「妻に聞いてみると…」「妻は…」など、「妻」という単語がすごく多かった(笑)

蒲田の大道芸人のエピソードは、含蓄がありながら微笑ましくて「好きな人ができないのよなぁ。」と酒場でため息をつく自分も、とりあえず彼女が欲しくなった。

特に、奥さんとの馴れ初めエピソードは、じぶんにも彼女がいると錯覚するほどほんわりしたお話だった。

なんというか、妊娠した気分。。。(?)

隣にいたのは、タバコを吸ってるじいさんだったけどな やかましいわ、放っとけ

「東京」「奥渋谷」「ワイン」「ブラジル音楽」「酒場」 林さんの知識が幅広くて、おもしろい

徳島出身の林さんは、学生の頃から東京に20年以上住んでいらっしゃるそう。

だから東京のお店はもちろん、最近話題になってる「奥渋谷」を、渋谷の歴史を交えながら丁寧にポイントを抑えて説明されていて、メモ書きが止まらなかった。

例えば、有名な「渋谷の地形」にまつわる話、日本人が「辛口スッキリ」のお酒を飲むようになった理由、映画に出てくるお酒、バーテンダーが助かる注文の仕方まで…。

渋谷の大学に通ってる身、20歳の若者にとっては「今度行ってみよ!」と思う情報がありすぎました。

SNSを使う時の3つのポイント

自分はツイッターで林さんをフォローしてるんですが、林さんは毎日必ず「日々のこと」に「今日もお店で待ってます♪」という一言を付け加えてツイートしています。

時間は、だいたい午前中かな…?

飲食店経営者はSNSを利用するのは当たり前とした上で、林さんの「SNS利用時のポイント」が4つ紹介されてました。

・必ず毎日1回は投稿する。
・できれば同じ時間に投稿する。
・ちょっとした話のネタになるような内容を投稿する。
・批判はしない。誉めるのは積極的にする。

上から3つも大事だろうけど、こりゃぁ大事だ…と思ったのは「批判はしない。誉めるのは積極的にする。」

これは前から思ってることで、SNSでネガティヴなことを言うと普段しゃべってるときの1.8倍くらいネガティヴな印象を与えると思います。

もちろん、林さんは「経営者」に対して提案してるから文脈はちょっと違うけど、これって経営者以外の「個人」でも一緒じゃないかなぁって。

SNSなんて、単なるつぶやきだから人それぞれ思ったことを言えば良いんだけど、ネガティヴなことを言って印象を悪くするのは、もったいない。

しんどいことはSNSじゃなくて優しい友達を酒場に誘って言っちゃえば良いと思うし、俺もそうしようと思います。

逆に俺は友人たちのしんどい話はもちろん、ハッピーな話もたくさん聞かせてほしいからいつでも飲みに誘ってほしい。

いや、ごめん。飲みてぇだけだ。

情報や時間の「対価」としてお金を払う

「お金と情報はどんどん回せ」

これはこの本で1番印象に残ってる言葉。

じぶんはひまな時に池袋のジュンク堂や青山のABCなど、書店をふらふらすることが多い。

中に入ると立ち読みをして、たまに椅子に座って15分くらい中身を読むこともあって、何も買わずに店を出ることがたまにあるわけです。

「たまに」と言ってもこれは良くないし、後ろめたさもある。お金がないから立ち読みで済ませちゃう。

なんというか、「ごめんなさい」としか言いようがない…。

林さんは、休日、出張、旅行などで少し時間が余ったらその街の書店に行くそうです。

そこで、入ったら必ず「時間を使わせてもらったお礼」として1冊は買って帰ると決めてるらしい。

書店からすれば、1番嬉しいことは「読んでもらうこと」だろうけど、1番大事なことは「稼ぐこと」なはずで。

しかも、僕みたいに立ち読みをしているその時間に、その本を他の人がぱらぱらと読んで買っていた可能性も十分あるはず…。

なので、まずはもっとお金を稼いで、「支払い」というより「お礼」の意識をもって買い物することを基本にしたいなぁと…。

「お店に立つ」ということは

林さんは「お店に立つということは、お客様の人生に参加している」という意識を常にもっているそうです。

いま僕は浅草の小さな和食屋さんでバイトをしてるんですけど、本当にそうだよなぁと納得できた。

カウンターに座る常連さんの話しをいつも聞かせてもらってて、おもちゃを作ってる女性の仕事の話や、サラリーマンの男性の今までしてきたこととか、大袈裟かもしれないけど、たしかにその人の人生に参加してる感じというか…

まだまだ薄っぺらくて笑えてくる自分だけど、林さんの感覚には少し共感でき、ただのバイトだけどそういった意識を持って働きたいなと思いました。

最後に

この本は「飲食店経営者向けの本」といわれてるけど、本質的には「コミュニケーション論」だと思うので、一般の人たちにもオススメしたい。

そして、「じぶんはコミュ力に自信がある」と思っている人ほど読んだほうが良い。

「元々コミュ力のある」林さんがバーで身に付けた「大人のコミュニケーション」について書いていらっしゃるから。

また、これは本を読めば絶対感じることですが、林さんの日常における些細なことに対する広くて深い考察、そして思考の組み立て方がすごく参考になる。

本は分厚いけどすごく読みやすく、1日で読み終わりました。

おすすめです。

表紙画像:http://nipponmkt.net/2016/06/08/takurami34_barbossa_hayashi01/



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