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第2回:銀行対応の一連の流れ 新任財務担当者のための銀行対応マニュアル

こんにちは。
T&Aフィナンシャルマネジメントのさいとうです。
本連載は、某メガバンクで8年程度法人担当として融資取引の経験を積んだ筆者が、企業の財務担当者に新たに就いた方、または相応の銀行対応経験がありながらも、イマイチ銀行とのやり取りについてわからないことが多いと感じられている財務担当者や中堅中小企業経営者などに向けて、「銀行対応」のイロハについてお話します。

今回は、具体的な各取引の内容を見る前に、銀行取引を開始してからの一連の流れについて簡単にみてゆきたいと思います。

銀行取引は、預金取引、為替取引、融資取引がメインということができるかと思いますが、まずはどのように銀行取引をスタートし、通常の取引を行ってゆくか?という点についてご説明してゆきます。

≪T&Aフィナンシャルマネジメント≫
T&Aフィナンシャルマネジメントはベンチャー企業に特化した経営財務支援、クライアント目線に立った中小規模M&Aのご支援をしております。
また、上場企業をはじめとする大企業~中堅企業の経営企画をはじめとする経営管理部門のサポートなど、幅広なご支援をご提供しております。

銀行取引の基本は預金取引

ほとんどの方々が個人でどこかの金融機関に預金口座を持っているかと思います。

小さいころに両親がお年玉貯金のために作ってくれた口座や、就職した際に会社から給与振込口座として一括して開設を斡旋してくれた口座など、クレジットカードの引き落としなどを集中していることも多いので、昔から使っていた金融機関を個人の「メインバンク」として継続して使っている人も多いかと思います。

企業にとっても同じで、創業時に最初に口座開設をした金融機関や、融資を始めて受けた金融機関の口座などがおのずとメインの決済用の銀行口座であることが多いかと思います。

では、事業をはじめる際、どこの銀行に口座開設をお願いすればよいのでしょうか?

多くは、個人として頻繁に利用していた銀行の口座開設する起業家が多いようですが、最近は振込などの手数料が安いネット専用銀行(楽天銀行や住信SBIネット銀行など)で口座開設する人も多いようです。

ただ気を付けてもらいたいのは、取引銀行は自社の請求書などの振込先に書く、一種の会社の顔としての一面もあるということです。
振込先口座にメガバンクの名前が書いてあれば、「この会社はメガバンクの口座を持っている、信用できる会社だな」と思ってもらうことができる一方で、聞いたこともないような金融機関が振込先口座として記載されていると、「大丈夫か?この会社」ということになることもあります。

事業用の口座開設は個人と違って厳格な審査がありますので、簡単に口座開設をすることはできません。
資本金や事業計画などを金融機関が審査し、それにパスしないと創業時の口座開設はできません。

また、金融機関は独自の反社会的勢力排除などのチェックをしていることから、メガバンクを中心とした大手金融機関の口座を持っているということは、イコール、それらの金融機関の審査に通ったということを示すもので、一定の信用力を得ることができます。

とはいえ、日々の入出金の取引はその事業の「実績」となりますから、あまり背伸びをしないで、将来的な融資取引等を見据えた金融機関を選択するという考え方もあります。

スモールビジネスで、将来的に信用金庫などからの融資中心で事業展開を想定している事業であれば、メガバンクなどで口座開設などせずに、最初から信用金庫の口座開設を行い、その口座をつかってしっかりと商売をしているということを示す実績作りをしてゆくことも大切なことです。

したがって、各金融機関でどのような取引を将来的にしてゆきたいか?ということを考え、取引金融機関を選択することが望ましいと思われます。

銀行窓口

銀行取引の流れ

晴れて口座取引が開始されると、日々の入出金や振込手続きなどを行ことになります。

この段階ではまだ、「担当者」がつくことはありません。

担当者というのは自社の諸々の取引のカウンターパートナーとなり、様々な相談に乗ってくれる存在のことをいいます。
ただ、預金取引だけだと、金融機関にとっては多くの取引先の1つに過ぎませんので、担当をつけてまで取引拡大をしようとは考えません。
担当がつくのは最低限、融資取引が開始されるタイミングか、もしくは金融機関が戦略的に担当を付け、その会社との取引を深掘りしようと狙っている場合となります。

したがって、担当のいない段階では、日々の取引で銀行窓口に赴き、そこでコミュニケーションをとる窓口担当者がメインパートナーとなるのかもしれません(ただ、最近は送金などの為替取引もネットで行えるようになってきましたので、実際に銀行に足を運ぶ機会はほぼなくなってきているものと思います)。

事業が大きくなってゆくと為替のボリュームも大きくなりますし、融資取引を行うことになりますので、銀行取引も本格化してきます。

金融機関取引はまずは預金取引からスタートし、為替取引を並行的に行う中で融資取引を行う、という流れとなります。

まとめ

今回は創業したての企業にとっての金融機関取引の流れをご説明しました。
創業したての段階では預金取引や為替取引がメインで、金融機関の担当もつかず、窓口やネットバンキングがメインとなるものと思われます。

そこから徐々に規模を拡大する中で融資取引等に展開してゆくのですが、まずはどの金融機関とどんな意図をもって取引を行うのか?という点についてしっかりと考えてゆくことが必要かと思っています。

次回以降、具体的な各々の取引形態別にご説明してゆきたいと思っています。

【新任財務担当者のための銀行対応マニュアル】
第1回:銀行対応の全体像
第2回:銀行対応の一連の流れ
第3回:(コラム)銀行の「稟議文化」を理解する
第4回:(コラム)銀行員の「来年検討します」は信用できるのか?
第5回:融資取引の開始
第6回:資金使途ってなんだろう?
第7回:運転資金借入をしてみよう
第8回:設備資金借入をしてみよう
第9回:その他資金使途借入をしてみよう
第10回: 制度融資(信用保証協会保証付融資)を理解する
第11回:担保について理解する
第12回:融資以外の取引(内為・外為・預金など)
第13回:ビジネスマッチングなど、銀行を使い倒せ!
第14回:個人取引について知る
第15回 まとめ

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