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セゾン投信 相談室のツブヤキ第20回【2025年大学無償化 教育費はいくら準備すればいい?】

いつも相談室のツブヤキを読んでいただき、ありがとうございます。
セゾン顧客本位の相談室の前田です。

私は、子育て世帯のライフプランを改善するアドバイスを中心にご相談をお受けしております。今回のツブヤキではそんな子育て世帯の皆さまへの情報発信となります。

2024年と2025年は、子どもが3人以上いる子育て世帯にとって大きな制度変更があります。
まず、2024年10月には児童手当の支給額が拡充、そして、2025年4月からは子ども3人以上いる世帯への大学無償化がスタートします。そこで、今回は子どもが3人以上いる家庭の児童手当と大学無償化の制度内容と、これら制度をふまえた教育費の作り方についてお伝えします。

まずは、今後の支援内容を簡単に確認しておきましょう。


◆児童手当の拡充

2024年10月から所得制限が撤廃され、児童手当の支給期間が15歳から18歳に延長されます。さらに、3人以上子どもがいる家庭には、3人目以降の支給額が3万円になりますが、これらについてはニュース等でも報道されているため知っている人も多いと思います。

しかし「子が3人」という意味に少し注意が必要です。「子」とは「22歳までの子(親が子に経済的負担をしている場合)」を指します。例えば、20歳、17歳、15歳の子がいる場合、児童手当が支給されるのは17歳と15歳の子ですが、15歳の子は3人目となるため3万円が支給されます。

一方、子が23歳、17歳、15歳の場合は、23歳の子は「子」としてカウントされません。子は17歳と15歳の2人となり、15歳の子には2人目の子として月額1万円が支給されます。

子が22歳の3月31日を過ぎると、「子」ではなくなるため、その時、下の子は何歳か、きょうだいの年齢差がポイントになるということですね。この点、うちの子は何歳までいくら支給されるのか、確認しておくと教育費の準備に役立ちます。

◆多子世帯の大学等無償化

2025年4月から扶養する子が3人以上いる世帯に対して、所得制限なしの大学無償化がはじまります。無償化されるのは大学や専門学校など要件を満たした学校の入学金と授業料です。
支援金額は下記の通りです。

たとえば、私立大学の場合、4年間の支援額は26万円+70万円×4年間で約300万円が支援されます。

出典:文部科学省「令和7年度からの奨学金制度の改正(多子世帯の大学等の授業料等無償化)に係るFAQ」

一方、大学費用はどの程度かかるのかというと、令和5年の平均額は下記の通りです。

文部科学省「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」「国公私立大学の授業料等の推移」を参考に筆者作成

たとえば、私立大学文系の場合、4年間総額は約440万円、理系の場合は約570万円ですから、約300万円が支援されるとすると、140〜270万円ほどは自己負担となります。大学無償化はありがたい制度ですが、大学費用は授業料と入学金のみではありませんし、学校によって授業料等の金額は様々です。完全に「無償化」になるわけではない点、注意してください。

◆多子世帯の定義について

次に「子3人以上」の定義も確認しておきましょう。
「子」の数の数え方は児童手当とは異なります。大学無償化は「扶養する子が3人以上いる」ことが条件であり、年齢は関係ありません。大学卒業後でも大学院に進学して親の扶養に入っている子や、様々な理由で就職できず親の扶養に入っている子がいれば、年齢に関係なく子としてカウントされます。

そして、ここで言う「扶養」とは税制上(住民税)の扶養を言います。年末調整や確定申告で扶養している子として申告しているかどうかがポイントということですね。

◆成績要件について

そして、忘れてはいけないのが成績要件です。成績は、高校での成績平均が3.5以上必要ですが、3.5未満の場合はレポート等で学習意欲が判断されます。基本的には、学びの意欲があれば支援を受けられるため、支援時はそれほど厳しい要件は課されていません。しかし、税金が投入される以上、大学入学後、単位が取れていない、出席率が低いなど学習意欲や成績が低いと支援は打ち切られます。

◆教育費の作り方

ここまで、これからの子育て支援の概要をお伝えしてきましたが、これら制度を踏まえ、今後、教育費をどのように準備していけば良いか、具体例を見ていきましょう。

まず、大学費用の目安は500万円です。ただし、これに加えて高校3年生の受験時期に費用が嵩むことが多いため高校3年生で100万円を上乗せして見積もっておくことをおすすめします。したがって目標額は600万円です。

たとえば、高校2年生、中学2年生、小学5年生の3人きょうだいの場合、これから受け取れる児童手当と支援を受けられる大学授業料等(私立大学を想定)は、以下の通りです。

たとえば、第1子の場合、自分で準備する金額は300万円(目標額600万円―無償化支援額300万円)となります。しかし、今までの児童手当を貯めていたなら(グレーの金額)、200万円すでに準備できていることになりますから、これから準備必要な資金は100万円になります。学資保険や投信積み立てなどで100万円準備していれば、問題ないですね。

次に第2子を見てみましょう。第2子が大学1年生の時、第1子が大学4年生のため、第2子は1年生の時だけ大学授業料等支援を受けることができます。したがって、準備すべき金額は500万円(目標額600万円―無償化支援額100万円)です。しかし、第1子同様、今までの児童手当を貯めていたなら約300万円を準備できていれば良いということになります。

最後に第3子です。第3子は大学授業料等の支援を受けられませんが、これから児童手当を約250万円受け取れる予定です。自分で準備すべき金額は350万円(目標額600万円―児童手当250万円)ですが、過去の児童手当(200万円)も活用できるなら、約150万円を準備しておけば良いということになります。

このように、それぞれの子どもに対して公的支援額が大きく異なるため、準備額は一律にはならず、やや複雑です。しかし、家計はラクになることは間違いありません。ただし、今回の計算は成績要件など支援要件をすべてクリアすることを前提としています。

うちの子大丈夫かしら?どのように準備していけばいいのかしら?ちょっと不安。という場合は、相談室に来ていただければ個別の疑問におこたえします。一緒に教育費を準備する方法を考えましょう。

また、2024年8月23日には、「教育費の準備」をテーマにオンラインセミナーを行います。
皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

セゾン顧客本位の相談室
前田 菜緒

セゾン投信公式noteに過去のアーカイブが掲載されています。ぜひそちらもご覧ください。

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