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オレと梵天のマジな話

昔々、ヒマラヤっつう山のふもと。
多くの獣、猿、鳥が住んでる
竹ヤブん中。

ピヨっつう
小鳥が住んでた。

あるとき、にわかに
大風が起こって、竹と竹が
こすれあい、火が起こった。

火は風にあおられて
炎となり、ついには大火事山火事になっちまった。。

獣、鳥、猿たちは
泣きわめいて、逃げ場を失って
どうにもなりゃしねえ・・・。

ピヨは、こう考えた。

(この竹ヤブにゃー、恩義がある。
なげえ間、雨風からオレっちを守ってくれた。
それに、ここにいる獣連中だってイイ奴ばっかりだ。ここはイッチョ、オイラがやるっきゃねえか?)

ピヨは、近くの
池に入っちゃ、翼を水浸しにして
おもてえ身体で、空へと駆け上った。

そうして、雫を一滴、一滴と
炎に注ぎかけた。

だが、ピヨのちっちぇえ
身体や翼で、どうにかなるような
炎じゃねえ・・・。

それを
空から見ていた
黒ブチメガネの
オヤジが居た。

名前はたしか・・・
林の凡人?
林ボンド?
そんな名前だ。

林は、言った。

「よう、おめえピヨっつったか?
おめーの氣愛はわかるけどよ?
その小さな身体じゃ~この火事はとまらねえ。
おめ~も焼き鳥になっちまうぜ?それでも
やるのかい??」

ピヨは、応えた。

「おめーこのヘンのもんか?いいか?
この竹ヤブは、俺っち鳥族だけじゃあねえ。
他の獣、猿やイノシシやメダカやネズミや
みんなが、何千年もかけて守ってきたもんだ。
セータイケーってやつだ。。

それは、とても貴重なモンだ。
おりゃー小鳥かもしんねーた
それっくれーのことは、わかる。

たとえ、俺っちが
焼き鳥になっちまっても
もう一遍、鳥に生まれ変わってきて
オレは同じことをするだろう。

たった一羽でも、オレは
必ずやり遂げてみせる。

だから、ビビってんなら
黙ってそこで見てな?」

ピヨの言葉は
ジョーシキの鎧で
コチコチになっちまってた
凡人の胸を熱く貫いた。

凡人は、思い出した。
じぶんのホントウの姿を。

我が名は梵天なり。。
ノウマク・サマンダ・ボダナン・ボラカンマネイ・ソワカ。。。

梵天は
真っ白な像の姿に形をかえ
湖の水を吸い上げた。

そして、七本足になって
空を駆け巡り、ピヨと一緒になって
山火事を消し去ったのだった。


インスパイア&出典:和英対照仏教聖典