餞別

銀行の転勤には餞別がある
転勤の都度、顧客からいただく
小生が餞別でびっくりしたのは、融資課のトップが転勤の時だ
地方の場合は、送別会をした日又は翌日が銀行が休みの場合には、わざわざ駅のホームで見送る
大体、餞別は顧客に挨拶に行った時に頂く 
重要な顧客には会えないと行けないので、事前に転勤の挨拶と連絡しておくので、顧客も餞別を準備している
しかし、会えない顧客もいる
そんな顧客がホームまで来ることもある
そして目にしたのは餞別を渡しているところである
顧客から
『大変お世話になりました。これは気持ち程度ですから』と封筒が渡された
すると『いやいや、こんなに申し訳ないので』と中身の一部を返していた
そう、返していた中身の一部は現金である
それも百万円の束である 
束一つでは無い
融資担当とはこんなのかと唖然とした
小生の転勤となった際は
会社3社からはビール券、個人顧客からは餞別として一万円を10件ほど
こんなもんだ
しかし、餞別はいくら頂いてもいいものか
先輩に聞いても分からない
後に、それなりの支店長に聞くと一人の顧客からスーツ一着分までは報告不要と言われた
当時のスーツ一着分は大体5万円程度だ
小生は8万円のスーツを着ていたが
この餞別、出て行く時は送別会の費用負担は無いものの、次の場所での歓迎会では余分に支払ったり、挨拶代わりに支店全員分のお菓子を買って行ったりと殆ど無くなる
こういうものだ
しかし、融資担当となると別だ
金のネックレス、ゴルフクラブセット、スーツ、ビール券、商品券、現金…と
今では考えられない
現在は基本お断り
どうしても断れない時は頂くが、全て報告となっている
昔は良かった
というか、転勤です、それではさようならでは無いのだ
担当者は成績重視の人ばかりでは無い
その取引先の成長を助けたり、危機を救ったり、夢を叶えたりと大変な思い・苦労をしている
それを感謝されて、頂くと思っており、餞別で感謝度合いもひしひしと伝わって来るものだ
と、小生は思っている
勝手な解釈だろうか
でも、その取引先の為に睡眠時間を削って、休みも返上して力を尽くしたと思っている
現在の銀行担当者はそこまでする人はいないだろうけど
いや、出来ないか
現在は労働時間にもうるさく、やれ◯◯に抵触しているとか
それに成績重視である
また、目標(ノルマ)も手が届かないぐらいに高く設定されている
当時は頑張れば達成するものだった
どうしてこうなったのか
やりがいもなく、高い目標(ノルマ)に向かって、色々と気をつけながら仕事をしていく
何が楽しいのか、わからない
今の銀行員は可哀想だ
ハメを外したり、多少無茶をやっても許された
今は、時代が違うのか…
なんとなく寂しい時代だ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?