一億円のミス

銀行では小切手・手形の決済を毎日行っている
関東・関西・中部ではセンターなるものが一括で処理する
地方はというと、手形交換所に現場を寄せ集めて交換のうえ処理を行う
小生は手形交換所に現物を持って行って、自分の銀行の手形を持ち帰る仕事に携わった
ただ、持ち帰りは集計が伴う
しかしながら、前述したように引き継ぎが1週間であり、その後は1人である
当時はそろばんである
また、小生の銀行は都市銀行であり、その量はかなりの量であったが、従来から1人の担当であった
そろばんは高校1年の時に3級を取得したが、その後はさわってもいない
まさか、毎日こんなにそろばんを使うとは思ってもみなかった
なので、遅い
日々、焦って処理をする
案の定、ミスも多い
手形交換所では小生の銀行以外に50もの銀行が一同に集まり処理を行う
3週間目に大事件は起こる
持ち込みと持ち帰りの金額はプラスマイナスでゼロとなるはずが
一億円合わない
各銀行が改めて集計を見直す
そろばんの音だけが響く
大手地方銀行は加算機である
時間が押せば、それだけ持ち帰っての決済が遅れる
誰がミスしたのか、異様な雰囲気となる
その時、小生が一億円のミスを見つけた
すぐに取りまとめである手形交換所の所長に報告
全く何をやっているんだの全員からの白い目
申し訳なさそうに手形交換所を後にすると
銀行に帰ってからすぐに上司に大目玉
銀行協会のお偉さんから支店長にお叱りがあったと
次の日から行くのが怖くなった
しかし、代わりはいない
そろばんのせいにした
すぐに加算機が用意された
これで、ミスは出来ない
がんじがらめの緊張の日々が続く事となる

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