係長2ケ店目 顧客①

係長2ケ店目の顧客の話しをする
この顧客をY社としよう
詳しく書かないが、学校関係の機材販売業である
従来からこのY社は割引手形のみ実施していた
割引手形とは、約束手形を支払期日より前に銀行等に持ち込んで、現金に変えてもらうことである
これは、実際に「割引手形」と記載された手形が存在するわけではなく、あくまで「約束手形」を支払期日より前に銀行等に持ち込んだ場合、支払期日までの利息相当分が引かれて現金化されることから、「割引手形」と呼ばれている
会社への融資の取っ掛かりでよくやる
また、会社の資産背景や実態把握が出来ていない場合は、まずは手形銘柄を信用して取引するケースが多い
小生が訪問するようになって一年
一向に取引進展はなし
それもそのはず、手の内を見せてはくれないのだから
社長としては、現時点で評価してくれの姿勢であるが、銀行としては情報が少な過ぎる
いつもはアポを取って訪問していたが、年末挨拶で何気なく訪問
社長は不在につき社長夫人に面談
困っている事が聞けた
「割引手形は面倒だ」「何故なら、その月の運転資金に充当する金額の手形銘柄を選別する手間が掛かる」と夫人
「それならば、小生の銀行からドンと運転資金を出すのでそれで運用して欲しい」と小生
「出来ればお願いしたい」と二つ返事
しかし、このY社の情報が少な過ぎる
まずは、資産背景のオープンである
お願いすると、社長に聞かなくてはとの回答
社長に聞くとNoの回答は明確
夫人に口頭で良いので、どこに資産を持っているかだけ教えてもらう事に
銀行に帰って整理
すぐに登記所に行き、不動産の閲覧
銀行で把握出来ていなかった不動産が10件
担保は付いていたり、付いていなかったり
担保なしで、運転資金を出す本部宛ての稟議を作成
作成には3日掛かった
まずは、運転資金として1億円 
賞与資金は半年に30百万円
これで、課長・副支店長・支店長に
支店長は驚いていた
何年も取引進展がない顧客に突然の融資
内容を見て納得したようで、その日のうちに本部に提出
2日後には承認
すぐに社長にアポを取り面談
小生からの提案に社長はびっくりしていた
夫人を呼んで資金繰りが楽になる事、事務的な煩わしさがなくなる事を告げた
もちろん夫人は喜んでいた
これから親密な関係となり、小生が支店長となった時もお祝いをしてくれたりと末永い付き合いとなった
しかし、小生の後輩である副支店長が転勤した際にこの会社に目を付けた
銀行では顧客紹介の雑誌を出していた
そこへ、載せたいと一方的に強引な依頼をしてしまった
小生を通してもらえば、上手く出来たかもしれない
それは、後の祭りである
「副支店長の顔は二度と見たくない」「場合によっては取引解消だ」と温厚な社長が物凄い剣幕
最終的には、小生が出て、小生の顔で何とか落ち着く
銀行と顧客の関係であっても、人間対人間である
ある程度の中にならなければ、踏み込んで良い事も悪い事もある
副支店長は少しは反省したかは疑問である
それからは、顧客には一切口を出さなくなった
しかし、これで支店長になっても接客はどうしたものかと
何度か飲んだりして、顧客対応の難しさを伝えた
顧客対応
相手の懐に入る
なかなか大変である
これは後日

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