融資課4ケ店目 顧客⑤

融資課の顧客について話す
この会社をI社としよう
I社は中華屋である
というか、ラーメン屋のようなものである
しかし、法人組織として経営している
店舗は3店舗
なにも、法人組織として経営するまでもないが、3店舗で売上はちょっとした中小企業より多い
いたって味は普通である
でも、どの店も駅前なのでお客は入る
昼前から夜10時まで営業
ある日、この社長から従業員の定着率について相談があった 
定着率とは、入社から一定期間後にも働き続けている従業員の割合を表す指標
数値が高いほど従業員の離職が少なく、働きやすい環境ができていると判断できる
一方で、定着率が低いということは多くの従業員が離職しているということになるため、職場に何か問題があると考えられる
定着率はシンプルな指標ではあるが、組織の状態を判断する重要なヒントになる
多くの企業で活用されている
また、求職者が応募先を検討する際に、健全な職場かどうかの判断基準にしていることもある
なので、それなりの給料であっても、定着率が悪いと職場環境に問題があると考えられる
そこで、小生の出番
銀行の昼食は銀行内に食堂があり、そこで食べる
しかし、小生はあえてこの中華屋で遅い昼食を毎日食べる
そして、忙しい昼時間を終えて休憩中の従業員に話しを聞く
これを2週間
やはり、中華というよりラーメン屋
ラーメンが一番美味しい
でも、味は普通
従業員からヒヤリングで分かった事
それは、中華屋と言えどもラーメンが多く出るので、出汁の仕込みに朝は早い
そして、夜は遅い
その分、給料はまずまず
つまり、通勤時間が短縮出来れば余裕が生まれるという結論となった
小生は考えた
店の近くに従業員の社宅があれば
そうすれば、通勤時間が解決
加えて、アパート代も助かる
早速、社長に提案
社長より「とんでもない」「いくらかかると思うんだ」
そこで、会社が儲かっている事、税金ばかり払うより、資産を持つべきだと説得
最終的には、このI社所有の土地に社宅を建てる事に
建築代金、1.5億円
全て、銀行融資
これで、定着率ばかりでなく、新規募集しても結構な応募が来るように
社長からは感謝された
そして、転勤の時は餞別としてゴルフセットを
プレゼントされた
断ったが、社長は何年か前の事故で下半身が安定せず、身体障害者用のゴルフセットに切り替えたので、これは使えないので貰って欲しいと
気が引けたが、使っていないゴルフセットが5セットもあったので、有り難く頂いた
10年後、小生が支店長となった際に、この店のラーメンを食べに寄ってみた
社長はよく覚えてくれており、餃子をサービスしてくれた
しかし、とにかく、老けた
この老けた状態を見ると、小生の提案はタイミングが良かったと思われた
タイミングも大事である
この7年後、社長は亡くなった

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