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地球のどこかでプロジェクト⑬アフリカ大陸横断高速鉄道ネットワーク

野心的な計画

アフリカ大陸横断高速鉄道ネットワークは、アフリカ連合(AU)によって推進されている野心的なプロジェクトであり、アフリカの主要都市を結ぶ広範な鉄道システムの構築を目指しています。

この計画は、アフリカの経済発展と地域間の結びつきを強化することを目的としており、2033年までに19の路線を建設し、総延長1万6970kmに及ぶ鉄道ネットワークを形成することを目標としています。

さらに、2063年までには62の路線を追加し、総延長約7万4000kmの鉄道ネットワークを完成させる予定です。この壮大な計画の第1号として、モロッコのタンジェとカサブランカを結ぶアルボラクが2018年に開業しました。

アルボラクは、大西洋に沿って敷設された約320kmを2時間あまりで駆け抜けるアフリカ大陸初の高速鉄道です。

初の高速鉄道

しかし、この計画は多くの課題に直面しています。
資金調達の難しさ、政治的な問題、そして既存の鉄道インフラの不足などが挙げられます。

アフリカの鉄道は現在約75,000キロに及びますが、これは中国国内の高速鉄道の合計距離よりも少なく、アメリカの鉄道網と比較してもその規模の小ささが際立っています。

アフリカ大陸の人口と経済の成長を考えると、鉄道ネットワークの拡充は急務と言えるでしょう。

特に、アフリカ大陸内での貿易や人々の移動の需要が高まっている今、効率的な交通インフラの整備は重要な課題です。

直面する課題

アフリカ統合高速鉄道ネットワークの構想は、アフリカの国境を越えた物流と人の移動を容易にし、長期的にはアフリカ全体の開発を促進することを目指しています。

しかし、実際の進捗は遅れており、2030年までに計画の60%〜70%が完了していれば良い方だとされています。

資金不足は大きな障害の一つであり、これまでのプロジェクトの多くが中国の資金提供に依存していたことから、アフリカの国々の対外債務が増大し、国家予算に圧力をかけています。

さらに、鉄道建設のための資金調達には、プロジェクトの経済的魅力を示す必要があり、この点でザンビアなど一部の国々は難航していると報告されています。

経済発展への影響

アフリカ大陸の鉄道建設は、植民地時代には主にヨーロッパへの原材料輸出を目的としていたため、旅客用ではなく貨物輸送に特化していました。

しかし、現在はアフリカ大陸内の貿易や人々の移動に対する需要が増加しており、この変化に対応するための鉄道ネットワークの拡張が求められています。

例えば、ガーナではタコラディ港とクマシを結ぶ340kmの鉄道建設が予定されており、ナイジェリアでは2022年の第四半期または2023年に商業運転を開始する計画があります。

また、エジプトでは紅海と地中海を結ぶ全長1,800kmの鉄道が2023年に建設予定です。

国際社会の支援

アフリカ大陸の鉄道ネットワークの拡充は、地域間の経済的な結びつきを強化し、アフリカの持続可能な発展に寄与する可能性を秘めています。

しかし、その実現には多くの課題があり、国際社会の支援とアフリカ各国の協力が不可欠です。今後の進展に期待が集まっています。

日本の関り

アフリカ大陸における高速鉄道ネットワークの構築は、アフリカ連合(AU)による長期的な開発計画の一環として進行しています。

2033年までに19の路線を建設し、主要都市を結ぶことを目標としており、最終的には2063年までに総延長約7万4000kmに及ぶ鉄道ネットワークを完成させる予定です。

日本は、このプロジェクトに関連して、技術支援や資金提供を含む様々な形で関与しています。

例えば、第8回アフリカ開発会議(TICAD8)では、日本は今後3年間で官民合わせて約4兆円規模の資金をアフリカ支援に投入すると表明しました。

また、日本企業のアフリカ進出をサポートするレックスバート・コミュニケーションズ株式会社などの企業も、アフリカでのビジネスチャンスを模索しています。

このように、日本はアフリカのインフラ整備と経済発展に貢献し、両地域間の経済的な結びつきを強化しているのです。


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