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カモメのスクリプト

地球にはどれくらいの人が住んでいるのでしょう?
考えたことはありますか?私はありません。
ですが、自分という存在は、大きいようで小さくて、小さいようで、大きい。
自分の部屋の中にいると大きい気がするけど、宇宙の中にいると、本当に小さい。

そう、例えば、満員電車の中にいたら、ぎゅうぎゅうといろんな人に押しつぶされてしまうし、ドアが開けば、人ごみに流されて、降りたくない駅で降りてしまう。
気が付いたころには、向こうの方に乗っていたはずの電車が見えていて、到底追いつけない場所まで来てしまっていたんです。

あの新幹線のスピードに乗って、カモメが飛んでいく。
広い海の上を。広い空の中を。
気が付けば緑の森は下の方にあって、高いところまで登ってきている。

そう、もっともっと高く飛べば、もっともっといろんな場所へ行ける。
でも、そんなに高く飛んでしまうと、足元がおぼつかないような気がするから、いつも飛んでいるところより、少し高いところを飛んでみる。
そうすると、ほんの少し高さが変わっただけなのに、全然違うところを飛んでいるような気になったり、ぜんぜん変わらないようにみえることもあります。

赤い風船が飛んでいました。
どこへ行くのか分からないけれど、ふわふわと風に揺られながら、どんどん上へ上へと昇っていきます。
ああ、あの赤い風船のようになれたらなあ、と、うらやましくなってしまう。
そうして、僕もあそこまで行けるかもしれないと思って、あの赤い風船と同じところまで飛んでみるのですが、風の流れが全然違うから、うまく乗れなくて、流されそうになって、すぐにバランスをとるように、下のゆっくりした流れのところまで降りていく。

そう。いつでも降りていけるから、登っていける。
あの風船のように、どんな風でも乗っていける日が、いつか来ると思いながら、今日も青い空と白い雲の間を気持ちよく飛んでいける。
そして、今飛んでいるところも、案外気持ちよく安全に飛べるし、目的地がしっかり見えるから、気に入っているのかもしれません。

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