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メルカリで“インハウスエディター”を1年3ヶ月経験して気づいたことを伝えたいだとか

はじめまして。noteの世界へ飛び込みました。
メルカリで編集者をしている西丸です。にしまるではなく、さいまると呼びます。

これはなにか


2018年7月にメルカリへ入社し、あっという間に1年3ヶ月が経過していました。1年ちょいで在籍エントリ染みたことを発信するなど、周囲に叱られそうですが、この1年間の振り返り(自省)を込め、noteに記録したいと思います。個人的に、正直に、徒然なるままに書こうと思いますので、どうかお付き合いを。

謝辞


まずは1年3ヶ月の間、お世話になった多くのみなさん、ありがとうございます。特に面接官の石黒さん松尾さん。メルカンチームのnatukiFMさんmayumine。PRチームのriccha、iokoさん、suzumari、madokaさん、ikumin、sayoさん。採用サイトをともにつくったkaracchi、uoさん、maayaさん、cremaさんchan-kuma、Nammyさん。D&IチームのDaniel、hironaさん。現在マネージャーのtabaran。People & Cultureのみなさん。小泉さんをはじめ、カラオケメンバーのみなさん。メルカリに誘ってくれたコピーライターの太陽。そしてメルカンで取材させてもらった数多くのみなさんに、まずは感謝を。

自己紹介


では簡単に自己紹介をしたいと思います。

福島県生まれ。修士(公共政策学)。新卒で株式会社スマイルズへ入社。店舗運営やWeb社内報の運営・企画・執筆に携わる。その後、株式会社CINRAに転職。主にクリエイティブ業界の求人サイト「CINRA.JOB」の企画・編集などに従事。2018年7月、株式会社メルカリに編集者として入社。あいみょんが好きです。

そもそも編集者になりたいと思ったのは学生時代の時でした。きっかけは二つ。約200ページにも及ぶ修士論文の“執筆”が楽しかったこと。それと紫牟田伸子さんが編集した『クリエイティブ・コミュニティ・デザイン 関わり、つくり、巻き込もう』という書籍に寄稿したとき、周囲から自分の文章を褒めてもらえたこと。振り返ると、この二つが原体験でした。

メルカリに入社するまでは、CINRAというクリエイティブカンパニーで編集をしていました。そこでは、アートディレクターやコピーライター、映像クリエイターなど、クリエイティブな人と仕事をつなげる求人サイトのコンテンツ制作を担当。ツクルバさんやCAMPFIREさん、スマイルズさんなど、様々な企業にインタビューを行い、採用のお手伝いをさせていただきました。

優秀な同僚やライターさん、カメラマンさんにも恵まれ、とても刺激的な毎日を過ごしていましたが、結果的に感じたことは「どこまでやっても企業の抱える本質的な採用課題はなかなか解決できない」というもどかしさでした。コンテンツが持つ力は偉大です。そこには一点の曇りもありません。でも、もっと中長期的に、会社の内側(根っこ)から変える必要があるのではないか。むしろ、採用課題は採用方法そのものに原因があるわけでなく、組織やサービス、プロダクト、あるいはコミュニケーションにあるのかもしれない。事業会社に入り、内側から課題解決に取り組みたい。そんな思いが沸々と湧き上がり、事業会社への転職を意識するようになりました。こうして転職先として決めたのがメルカリです。

なぜ、メルカリに入社したのか


メルカリに入社した理由は、編集を通じて、人の意思決定により深く関わる仕事がしたいと思ったからです。きっかけは、オウンドメディア「メルカン」でした。特に印象的だったのは、『メルカリ アッテ』サービス終了の記事。

サービスが終了するにも関わらず、担当者の赤裸々なインタビューを出すなんて、すごく信頼できる企業だなぁと直感したことを覚えています。そもそもメルカリの「人」にフォーカスし、企業自ら、こんなにも積極的に発信しているケースは珍しい。個人的にメルカリユーザーでしたし、言わずもがな急成長企業だということは知っていました。ただ、そんなことを抜きにしても、メルカリの日常のなかに「採用課題」を根本的に解決できるヒントが隠されているはず。そう思いました。それからすぐにメルカリで働く友人でコピーライターの長嶋太陽に連絡。メルカンを担当するnatukiFMさんを紹介してもらい、気づいたら六本木でわいわい天丼を食べていました(笑)。

それから間もなくしてインハウスエディターの募集があることを知り、選考フローへと進みました。面接は全2回。歯に衣着せぬ物言いの松尾さんと、あらゆる角度から僕を質問攻めにする石黒さん。当時の面接で告げられたミッションは「採用サイトをリニューアルしてくれ」「メルカンをより良くしてくれ」の2つ。その他はご自由にどうぞ!というスタンスに驚きつつも、やることしかないなと逆に気合いが入ったことを覚えています。あと面接のアテンドをしてくれた、中途採用担当(当時)のKBのレスの速さも異常で、体験としてとても良かった。これも「選ばれる企業」として、めちゃ大事なことだなと、採用候補者ながら関心した記憶があります。

インハウスエディターの役割


本題に辿り着くまでに、こんなに文量を割いてしまったので、ここからは急ぎ足で書き進めたいと思います。

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まず、僕が現在所属するBrand Management(People Branding)のミッションは、メルカリの本質的な魅力を発信し、ポジティブなイメージをつくり、メルカリの資産となる「応援してくれる人」を増やすこと。僕は主にブランディング領域やオウンドメディア領域を担当しています。一言で表わすことは難しいのですが、「メルカリらしさ」を伝え、広げるためのプロジェクトだと個人的に解釈しています。

ここで突然ですが、質問です。「メルカリ」という会社やメンバーに対してどのようなイメージを持っていますか? おそらく人によって様々なイメージを抱くとは思うのですが、多様でありつつも、どこか統一感のある状態であることを願っています(笑)。

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例えば、メルカリにはミッション・バリュー、カルチャーがあります。社内では公用語のように日々使われている言葉ですが、これも「メルカリらしさ」と言えるかもしれません。あるいは2018年6月、東証マザーズへ上場の際に、「人」「テクノロジー」「海外」への投資を惜しまないというメッセージ(手紙)が発表されていました。

これも「らしさ」と言えるかもしれません。どちらも私が入社する前から既にある言葉ですが、このように何となく醸成されている「らしさ=イメージ」をきちんと言語化し、伝えることが、インハウスエディターの役割かなあと思うわけです。

では、実際どのようなツールで、何をしているのか、具体的に書いてみようと思います。

ツール1:メルカン

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まずはコンテンツプラットフォーム「メルカン」です。2016年5月にローンチしたメルカンは、もともと、当時社長だった小泉さんやHRの松尾さんが中心となって立ち上げたもの。当時から「人への投資」を第一に掲げていて、今でもメルカンに脈々と受け継がれています。

採用や認知・ブランディング 、ソース(情報集約)、インナーコミュニケーションなどの効果があり、最近は海外への情報発信を強化するためにも使われています。そのため日本語サイトと英語サイトに分けられていて、それぞれオリジナルのコンテンツを発信しています。経営や現場のメンバーも取材に協力的で、ローンチ後、約3年4ヶ月で1,300本以上の記事を発信してきました。これも全員が採用にコミットしているメルカリならではのカルチャーと言えるかもしれません。「とりあえずメルカンを書こう!」みたいな会話は、僕が入社する前から飛び交っていたそうです。ちなみにメルカンには編集方針が存在し、以下の4つに該当しない場合、企画でNGを食らうことも(笑)。natukiFM編集長が中心となり、ゴリゴリ発信しています。

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ちなみに僕がメルカリに入社して最初に担当したのが、『THE BUSINESS DAY』の執筆でした。遠い過去のようで怖い……(細目)。

ツール2:採用・コーポレートサイト

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採用サイトは採用候補者にとって、企業の「顔」そのもの。そこに掲載する(いわゆる)採用のスローガンやステートメントを考えるのも僕たちの役割の一つです。現場や経営に何度もヒアリングを行い、キャッチボールしながら、メッセージを言語化していきます。

例えば、採用サイトに寄せた創業者である進太郎さんのメッセージには「カオス」「未完成な企業」というワードが盛り込まれています。「カオスなんて言葉、上場企業の発言として、どうなのか?」という議論は当然起こりつつも、採用候補者に事実をきちんと伝える(期待値コントロールをする)ために、「カオス」という言葉をあえて選びました。メルカリは大企業に見られがちですが、意外と未整備な部分が多いんです。昨日の正解が、今日の正解になるとは限らない。オフィシャルなカオス宣言。これも「メルカリらしさ」です。

そんなメルカリが、創業期から今でも変わらないことがあります。それは常に「カオス」であることです。事業や組織が急拡大するなか、誰も経験したことがない未知の課題に、数多く直面してきました。しかし、どんな状況においても、正解のないカオスな状況を楽しみながら、失敗を恐れず、「Go Bold(大胆)」に挑戦する。そうすることでメルカリは、一歩ずつ地道に、ミッションの達成に向けて歩み続けることができました。

ツール3:動画

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コンテンツはテキストだけではありません。例えば、採用サイトではインハウスのHyper Videographerであるchan-kumaたちと、約20名のメンバーにインタビューを実施。メルカリのミッションやバリューグローバルカルチャーDiversity & Inclusionなど、多様なテーマに合わせて動画を制作しました。テキスト情報だけでは汲み取りにくい、インタビュイーの表情や間合いも含めて体感できるのが動画の魅力です。企画から人選、台本の骨子づくりまで、一気通貫で関わることができ、思い出深い企画となりました。この動画はインプレッションも良く、公開後はメルカリUSの採用サイトやイベント・カンファレンスなどでも使用され、やはり動画の持つ力は偉大だなと振り返って思っています。それと同時に、動画を撮影・編集するスキルも身に付けたいなと思いました。

ツール4:場づくり

もちろんオンラインだけでなく、オフライン施策も行っています。去年はメルカンの歴代編集部員を集めてミートアップを開催し、参加者のみなさんと、オウンドメディアに関するナレッジやスキルを共有しました。当時はメルカン編集部員を募集していて、毎日多くの方とお話しさせていただきました。

先月はエンジニア向けのイベント「Bold Challenge」を2ヶ月連続で開催。エンジニア組織はもちろん、PRやHR、COO室(現Brand Management)など総力戦でイベントを仕掛けました。

また、毎月2回実施されている新入社員対象の「入社オリエンテーション」(メルカリには「入社式」がありません)で時間をもらい、メルカリで活躍するメンバーに公開インタビューを実施。目的はメルカリのミッションやバリュー、カルチャーの理解促進、そしてメルカンの認知拡大です。実は今年の8月で取り組みそのものは終了してしまったのですが、「DAY1」からしっかりと新入社員のみなさんに伝播することで、メンバーとリレーションが築けたり、取材しやすくなったりするなど、手応えを得ることができました。

このように書き・撮り・話し・創り……と一般的な編集者には求められない役割が試されるのも、インハウスエディターの醍醐味なのかもしれません。

以上を踏まえ、私見ではありますが「インハウスエディター」に求められるスキルやマインドをまとめてみました。言わずもがな、僕もすべて持ち合わせているわけではありません。まだまだ不十分。ですが、なるべくここに近づこうと日々、鍛錬しています。正直、優秀なメンバーが周りにいなかったら、何もできない野郎です。

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オウンドメディアはどこへ向かうのか?


話しは少し変わりますが、ちょうど先月、編集者のモリジュンヤさんが代表を務める株式会社インクワイヤ主催のイベントに呼んでいただき、これからのキャリアについて話す機会があったので、最後にシェアしたいと思います。そもそもイベント名が『オウンドメディア「ブーム」終焉と、編集者たちの「その後」のキャリア』で、ゲストがサイボウズ式 編集長の藤村さんと僕という(苦笑)。オウンドメディアの「終焉の儀」たるものをしてきたのですが、その場で出た共通の結論は「オウンドメディアは、終焉でも、ブームでもない」「編集者はスキルベースで捉えよう」というものでした。たしかイベントオーナーである鈴木悠平さんが、そう言っていた(笑)

(ジュンヤさんの仕事の領域が広い……)

僕も同じ考えです。オウンドメディアは終焉していない、仮りに終焉したとしても他の手段を選んだだけ、という程度に過ぎないと考えています。あるブームが終われば、あるブームが起きるように、ブームは繰り返されてやってくるはず。オウンドメディアとは、企業のミッションを達成するための数ある手段の内の一つに過ぎないので、手段は多様でありたいと思うわけです。

昨年クローズした、リクルートが運営する『HRナビ』というメディアがありますが、初代編集長・発起人のなつめぐさんがご自身のnoteに以下のようなことを書かれていて、とても共感したことを覚えています。

リクルートは営業ゴリゴリのイメージから、iTに強いイメージにはなっていると思うので、まぁ終わるのは当然だと思います。

むしろ放置されて生きてるのか死んでるのかわからないメディアより終わらせてもらえるのはとても嬉しいです。

ミッション達成したら、潔くクローズするなんて、めちゃかっこいいですよね。当然、読者としては寂しさもありましたが、このようにポジティブなクローズの仕方は、理想的で健全な姿と言えるのではないでしょうか。

ちなみにクローズすると伺い、メルカン編集部はすぐに当時編集長だった岩本亜弓さんにコンタクトをとり、メルカリに関するコンテンツを譲渡していただきました。メディアが消えてしまうことと、良いコンテンツが消えてしまうことはイコールにしたくないですよね。メルカンで大切に保有していきたいと思います。

最後に


気づいたら5,000字以上書いていました……そろそろ、まとめようと思います。「メルカリで“インハウスエディター”を1年3ヶ月経験して気づいたこと」、それは本質を見失わず、境界線を大胆にはみ出していく覚悟です。本質とは会社のミッションでありゴールだと思っています。境界線とは自らのアプローチの範囲。採用文脈に置き換えると、以下のような帰結と言えるかもしれません。

会社のミッション 

ミッションを達成するためには人材が最も重要

 共感度の高い優秀な人材を採用するためには「情報」発信が必要不可欠 

アプローチ
(CX・EX向上、プロダクトの改善、TVCM、オウンドメディアの発信、イベント、PR、個人発信など無数)


(トライ・アンド・エラーを繰り返す)

企業の「らしさ・イメージ」の形成

共感度の高い優秀な人材を採用

 バリューを発揮し、会社に貢献





ミッションの達成

最近であればユニクロが雑誌『LifeWear magazine』を創刊したり、エルメスがインターネットラジオ『ラジオエルメス』を期間限定で開局したり、少し前であれば雑誌『KINFOLK』がファッションブランド『Ouur』を発表しています。

ブランドが世界観を体現するために、これまでとは全く異なる手段を選ぶスタイルがスタンダードになりつつある今、求められるのは、本質を見失わず、境界線を大胆にはみ出していく覚悟ではないかなと。気を抜くと、すぐに本質を見誤る僕にとって大きな気付き(一歩)だったと思います。もちろん気づきは、他にもありますが「境界線をはみ出す」ことは、自分が不得意、苦手としている(思い込んでいる)分野に対して、頭から飛び込むことでもある。今の自分にとって、課題の本質はそこにあるなと感じるので、2年目は苦手なものこそ果敢にチャレンジしていきたいと思っています。

できないこと、できていないこと、やりたいことは無数。ただ、どうせやるなら、より大胆なチャレンジをしていきたいと思っています。メルカリ2年目も頑張ります。おしまい。

西丸

追伸:現在、メルカリグループは積極採用中です!気になるポジションなどありましたら、気兼ねなく私までご連絡ください。何卒!




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