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#如月の集い 解散後記

こんばんは。2023年2月の間『如月の集い』という催しで、
[主催/GM/主]をしていましたダブリングです。

この催しは、筒井康隆さんの『残像に口紅を』西尾維新さんの『りぽぐら!』に影響を受け、如月の間一日に仮名を一文字ずつ禁止するという規則のもと色んなことで交流しようという催しです。

集いの参加した人数はのべ232人にのぼり、チャンネルが70も立ちました。大盛況となったこの催しも弥生となり終了し、解散という運びになりました。解散後記として仮名の制限を気にせず色々と書こうと思います。

イ.開催前の話

この集いの構造を思いついたのは1月31日で、1日に1文字消えたら普通の雑談とかが面白くなるんじゃないかとかそういう事を思い、とりあえずDiscordでサーバーを立てました。その後、最終的に何文字消すかを考えていたら、2月が28日と少なめかつ、ある程度しんどいところで終わるという事に気づいたので急いでサーバーを整備し、公開に至りました。
前回のWeeklyではサーバー内の雰囲気を『ハッキングや暗号解読』というイメージで整備したのですが、今回は日本語を扱うという事もあり『和風で古風な感じの集会』みたいにしようと思いました。
メインカラーを元ネタである『残像に口”紅”を』から紅色、サーバー名はどうであれ活動できるのが二月の期間だけということもあり『如月の集い』、メインで使うフォントは集いの崩壊感がマッチしていたので異形明朝というものを使用させていただきました。
余談ですが、サーバー公開の0時に私は東北まで同級生と旅行に行っていたのですが、さすがにイベント構造的に二月という月を逃せなかったので予約投稿などで何とかしのぎました。

ロ.集いの始まり

文字が消えゆく中で映えそうだった、言葉遊びをする系統のチャンネルを多く作成していたので、参加者の方々も「そういう企画ね。」みたいな認識の擦り合わせができたのでその辺は非常に良かったと思いました。

ただ、「これ、規則の上では『消失』ではなく『禁止』なので、元のひらがなは存在しているってことでいいんですかね…?」とか、「長音符の前の文字の方が先に消えたら虚無母音という新しい概念が発生する」とか言われた時は前作であるWeeklyの不穏さが帰ってきた感じがしてゾクゾクしました。

想定してなかった遊び方として「既存の名前群が崩壊していくのを見守る」というのはこの企画でしか価値がないデータが取れていくという様子が非常に面白く、「単語を眺める」ことに関する面白さが際立った気がしています。

初日からの数日間は、1文字だけピンポイントで禁止したNGワードゲームみたいになったのは若干、不本意な事ではありましたが、正直楽しめていれば良かったし、初期の盛り上がりの1つになったのであれば良いのかなと思いました。

名前に禁止文字を含んでいる場合は文字を塗りつぶすか改名するという規則があったのですが、2日目で「ひろ」さんが全部持っていかれたのは序盤1の面白ポイントでした。

ところで、Discordの外では2/1の夜にはTwitterのDM内で、後述する「晩飯に口紅を」の許可取りを頂いており、私の作るものの理想としている「天才が天才するフェーズ」に入った音がした気がしました。そういうの大好き。

ハ.抽選について

抽選は、仮名が46字全部入ったひらがなトランプのデッキから、サイコロを振って出た目の数だけ山札を繰って、1番上のカードを捲るといったわざと手間をかけた方法を採用しました。

抽選の様子

この方法を採用したのは、集いを純粋に遊んでもらうために運営である私の意思が入っていると少しでも思って欲しくないという気持ちと、文字を禁止する行為を儀式っぽくしてテンションを上げたかったという2点があります。儀式っぽくしたいと思った結果、こっくりさん的なものを呼んでしまったのかはわかりませんが、妙に文や単語ができたのは私も何故だか分かりません。

文字禁止系少女『如月つどい』概念(モデル:めだかボックスの安心院なじみ)を生んだのもこの不気味さがあってこそなのかなと思います。

禁止文字発表時と日付の変わるタイミングに1分だけずれがあったので、毎日消えたひらがなへの駆け込み需要がすさまじく、連呼が起こっていました。

ニ.一度落ち着く

集いが1週間経過、いや『に』が禁止になった4日目頃からだんだんと書き込み頻度が落ちてきた気がしています。数日ずっとお祭りのようだったので、落ち着くのも無理はないのですが、単純にだんだん考えなしに送るとなんかの文字に引っかかる様になったのはこの時期でした。

ただ、「この世界の規則に振り回される人を描いた仮想日記」「江戸いろはかるたを残った字で表現しよう」「日本の都道府県をなるべく残存させる会」「ハンドルネーム消失レース」「『如月の集い』で曲を作ろう」(←これだけは何とか完成させてね)など、さまざまな文化が生まれました。

その中で1番の盛り上がりを見せたのは、二月十六日開催の「全字短歌の会」です。この世界には当時31文字しか残っていなかったので、パングラム短歌が出来る!といういかれた発想の元およそ50首が詠まれました。私も「魔除けこそ 無理だって置く 我らのさ 失せんとする字 消えぬ願いを」と1首読ませてもらいましたが、『ルーク語全字短歌』(←私発の概念が2つあって、走馬灯みたい。)『2首使って回文にもなってる全字短歌』などの何食ったら出来るんだみたいな異常クオリティの作品が多数爆誕していたので本当に凄かったです。言葉遊びが異常に強いタイプのアニメキャラがいっぱい居るみたいでした。派生で二月二十一日開催の「総字都都逸の会」もありましたが、はちゃめちゃに頭を使いました。なにこれ大変。

ホ.集いの終焉

過疎化と文字の禁止が進んでいく中でも新たに「リポグラムしようぜ」という機運が高まりました。なんで?今やってる奴だよ?そこで発案されたのが「うりよしきば縛り」「5企画」などがあります。中でも「セクステット」という形式では、規定の6文字だけで会話するというルールが作られました。どうやら住人からすると意外とストレス無く話せるらしい。さらに毎日、麻雀よろしくランダムに1文字追加され、ランダムに1文字が消去されてリフレッシュされていくというルールもあります。縛りの中に縛りを見出したのは本当に意味がわかりません。ただただ凄い。

他にもさまざまな文化が生まれていったので、覗いてみて欲しいのですが、二月も終わりが近づいていきます。最後の日の30分は終焉に向けて惜しむ声があり、初日の活気を感じさせる雑談チャンネルだった気がします。

一応最後に書き込まれたチャットだけ貼っておきますね。

アウト!!!

ヘ.「晩飯に口紅を」

如月の集いを纏めるにあたって、やはりこの企画を語ることは外せないでしょう。
高井茅乃のリアルタイムリポグラム生活こと、「晩飯に口紅を」です。

この企画は如月の集いの規則に準じたまま晩御飯を食べていくという企画です。実際に高井さんの生活が掛かっているので、若干ドキュメンタリーの要素もはらんでいます。

この企画で高井さんの食生活があまりに固定されている事が発覚しました。大体レタス・唐揚げ・白米で生きている美少女とは。特に食事系イベントで盛り上がったのは「寿司を食おう」です。要は如月の集いに則った寿司屋で寿司を食うというオフ会です。五十音表を持ってくら寿司(店名もセーフ)に殴り込む集団はどう考えても異常。メニュー名のせいで「勝手に炙るな」「勝手に極めるな」「軍艦にするな」などのパワーワードが飛び交う空間でした。「タブレットの言語設定を変えたら鰻が食える」みたいな誰も意図してない中謎みたいなことも起こりました。

高井さんは如月の集い終了後も文字を消し続ける生活を選んだので、結果46日この暮らしを続けました。本当に何やってるんだろうこの人。高井さんは最終日何を食べる事になったのか、是非、ハッシュタグ「#晩飯に口紅を」で追ってみてください。

ト.また何時かの如月で

以上が私の覚えている限りの如月の集いの思い出です。その他にも色々な試み、会話、繋がりがあるので是非集いの跡地に入って痕跡を読んでみてください。

今回は完全乱数で行われた仮名抽選も、投票制にしたらどうなるんだろうとか、選ばれし誰かの一任になったらどうなるんだろうとか、ヴァンパイアサバイバーズみたいな感じで3個ぐらいから選ぶようになったらどうになるんだろうみたいな想像ができます。今後やるとしたらGMとして事前に消える文字が分っちゃってたので、Botに決めてもらうみたいな事も考えています。

如月の集いのシステム、もとい残像に口紅をの仮名の消え方は色々な遊びとくっつきうるので、今後も色々実験してみたいです。兎に角、この集いでは何かを生み出すと誰でも主人公になれたので、こういうのが好きな人たちにとっての良い空間になれた気がします。かなり楽しかったのでまた数年後の如月でも紅色の五十音表を準備している事でしょう。

それではまた今度の思いつきで会いしましょう。


(解散!)

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