現在地:ドラマ「琅琊榜」

中国ドラマを初めて観たのが、2020年3月19日に日本初放送としてWOWOWで放送された陳情令。
陳情令を観ようと思ったのは原作の魔道祖師に惹かれたのがきっかけだったのですが、陳情令をきっかけに中国ドラマのおもしろさにも惹きつけられていき、まだまだ歴も少なく視聴作品も少ないですが、そんな中でも心に深く深く降り積もるような作品に出会いました。
そんな作品のひとつ「琅琊榜」について紹介したいと思います。
中国ドラマ好きの方にとっては、いまさら紹介するだなんて厚かましいとも言えるほど有名作品だと思いますが、私のように陳情令や山河令などをきっかけに間口が広がって中国ドラマに出会った方におすすめできたらなと思います。


「琅琊榜」

おすすめ作品を調べると必ず琅琊榜に突き当たるといっても過言ではないほどほんとうに有名作品です。私も陳情令、山河令を観てから中国ドラマ面白い…もっと観たいかも!と思って色々と調べていたら百発百中で琅琊榜という作品名に突き当たったものです。
先人の教えは正しかった……。
公式に予告編があったので紹介します。
私はこの予告観ないまま本編視聴したので、今回この予告編を初めて観てみましたが鼻の奥がツンとしてしまった…泣いてしまう。もうね、いい作品なんです。
私がごちゃごちゃ言う必要はほんとうに無い作品なんです。観て欲しい。

【作品紹介】
“全編にわたって伏線が張り巡らされた緻密なストーリー、手に汗握る迫力のアクション、義に溢れた男たちの情と絆を描き、中国で放送されるや大きな反響を呼び起こした2015年最高のヒット作。中国版エミー賞といわれる『2015年度國劇盛典』では、「影響力のあったドラマ賞」「最優秀男優賞」を始め、最多の10冠を獲得した神ドラマだ。インターネットでの反響もすさまじく、中国版Twitter「微博」ではドラマジャンルで過去最高となる226万回の検索数を記録、ネット放送の視聴数60億回超という驚異の数字をたたき出した。
皇帝の座を巡る皇子たちの争いと梅長蘇の復讐が複雑に絡んだストーリーが圧巻。愛する者に身分を隠しながら大義に挑む姿は切なくも、敵の目を巧みに欺く梅長蘇の鮮やかな手並みには惚れ惚れとさせられる。その策士ぶりは、天才軍師・諸葛孔明をも超えるとも言われ、辛口で知られる中国のサイト・豆瓣で10点中9.3点という、国内ドラマ最高となる評価を引き出し た。また、過酷な運命を背負った梅長蘇の生き様が大きな感動を呼び、「中国ドラマ最高のクオリティ作品」と絶賛された。日本初放送となったチャンネル銀河の視聴者の間でも、熱い反応を呼び起こし、放送終了するや否や再放送決定。”

【ストーリー紹介】
“南北朝時代を模した架空の国・梁。都では皇太子と第5皇子・誉王(よおう)との後継者争いが激しさを増していた。そんななか、2人は情報組織「琅琊閣」から“麒麟の才子を得た者が天下を得る”という情報を手に入れる。その麒麟の才子とは、江左盟の宗主・梅長蘇のことだった。両者は早速、梅長蘇(ばいちょうそ)の獲得に乗り出すが、梅長蘇は蘇哲(そてつ)と名を変え、都に潜入していた。梅長蘇は実は、12年前に謀反の罪で壊滅させられた赤焔軍の生き残り、林殊(りんしゅ)だった。
猛毒に侵され以前とは違う容貌となった林殊は、軍を罠に嵌めた者たちへの復讐を果たそうと都に舞い戻ったのだ。
一方、南の国境を守る雲南郡主・穆霓凰(ぼく・げいおう)は、梅長蘇の中にかつて許嫁だった林殊の面影を見出し、惹かれていく。梅長蘇もまた霓凰への想いに胸を痛めるのだった。
やがて誉王の謀士となった梅長蘇は誉王を巧みに操り、皇太子派と誉王派の勢力を削いでいく。
そして、君主の器量を持つ第7皇子・靖王(せいおう)を後継者の座に就けるべく動き出すのだった。”

http://rouyabo.com/index.html


ここを推したい

大きな枠でのジャンル分けでは、陳情令・山河令と同じく古装劇。日本でいう時代劇です。
主人公は中国ドラマあるあるの崖落ち(陳情令でも今思えば崖落ちあったんですよね…あるあるだったんだ)を経て、当然存命なのですが特殊な毒に侵され容貌が大きく変わり、血気盛んだった当時とはうって変わって余命幾ばくかの虚弱な体になっています。梅長蘇(林殊)は12年の間に、江湖でも強大な力をもつ江左盟と言う組織の宗主になり、さらに天下に名を轟かせる策謀家となり、無実の罪を雪ぐためさらに蘇哲と名を変え都に潜入します。

12年という年月は長いようで短く、12年前に林殊の一族に謀反の罪を着せた者たちも、彼と親しい間柄の人たちも都にいて、それでもあまりにも変わり果てた彼に気付く人はほぼいない。
禁林軍(※皇帝直属の軍隊。近衛兵のこと)を率いる蒙摯だけは、彼の存命を以前から知っていて、密かに梅長蘇の計略を支えます。

緻密で、でも大胆な展開。

皇子たちの後継者争と同時に、皇后と妃嬪の争い。そして官僚たちの政治闘争。そして皇帝に滅ぼされた異民族は再興の機会を窺っている。さまざまな事柄や思惑が独立して蠢いているのに、物語が進むにつれ気づけば因果関係が複雑に絡みあっていく。その因果の中で憎むべき相手とは実は血縁や師弟関係で結ばれていたりして、憎しみ、復讐を願う人がいればそこには必ず善と悪が存在するけれど、この作品で描かれる善も悪も光と影の濃淡のように曖昧に複雑で、表現の幅がひじょうに豊かで飽きることがない。
ストーリー展開だけではなく、視覚的にも鳥肌の立つほど見事な頭脳戦(静)と武侠ものらしい剣術の戦いや騎馬軍の戦いシーン(動)がストーリー内にいい塩梅で配置されていて、いやあ…観ていて飽きない。面白くて息を忘れるほど夢中になってしまう。すごい。

表面上は実に柔和な梅長蘇の緻密な策略にすっかりはまり込み、太子も皇子もその取り巻きも、気づいたときにはもはや手遅れで、朝廷全体が彼の掌の上で盛大に踊らされている。
梅長蘇の復讐劇が中心となって進む物語のテンポが実に小気味よくて、それでいて置いてきぼりを食らうこともない。
どんどん展開が進んでいくのでかなりのスピード感なんだと思うんですが、どういうこと?!とならないんですよね。脚本がうますぎる……。
原作者が脚本担当しているというのをのちに知って、納得。ああ原作も読んでみたい!ちなみに続編もあるのですが、こちらも原作者が脚本担当で安心感すごいです。まだ私は未視聴ですが、続編でもありつつ別物と捉えるのがいいようなのでこの琅琊榜への気持ちが少し落ち着いたら観たいと思います。
その前に、こっちの琅琊榜を観直したい。

役者の良さ

個人的に琅琊榜、別格に面白い作品だと思っているんですが、それはやはり脚本、演出、役者がそろって素晴らしいからだと思うんです。

主人公の梅長蘇を演じているのは胡歌(フー・ゴー)さん。所作、たたずまい、声音(ご本人の配音)どれをとっても「天下に名を轟かせる策謀家」という叡智の塊のようなキャラクターに引けをとらない。
印象的だったのは38話あたり、訳あって懸鏡司で尋問されることになった梅長蘇が懸鏡司の首尊、夏江に腕を掴まれるシーンがあるんですがほっそりと青白いなんとも美しい腕なんですよ…猛毒に侵されいつ倒れてもおかしくない。そんな説得力を感じたシーンでした。

そして扱うテーマから重たくというよりも陰惨にならざるをえないストーリーを、虚弱でまったく戦えない梅長蘇のボディーガード的存在、呉磊(ウー・レイ)さん演じる飛流(ひりゅう)と陳龍(チェン・ロン)さん演じる、禁林軍の将軍、蒙摯(もうし)がふっと和ませてくれたり。飛流がめちゃくちゃ強いんですけど、めちゃくちゃかわいいんですよ!梅長蘇も飛流には甘々なんですけど、仕方ないかわいさ。蒙将軍は現地で「史上最萌大将军」と呼ばれていたとかで思わずにっこりしてしまいました。わかる〜萌だよね!!
そして劉濤(リウ・タオ)さん演じる、雲南郡主・穆霓凰(ぼく・げいおう)と梅長蘇の愛も上品で美しい。
霓凰さん、かっこよくて優しくて大好き!劉濤さんが演じているからあの雰囲気なんだろうなあ。ほんとうに素敵なんです。弟の穆青も頼りないけど愛嬌があるんだよな。ちなみに郡主というのは古代中国の封建社会における皇族の女性に対して使う呼称です。

そして中国ドラマ、おじさんが良いんですよ…特に私イチオシは王勁松(ワン・ジンソン)さん演じる言闕(げん・えつ)。やっぱり王勁松はすごい!彼の出演作は他にも激推しなものがあるので、そちらもまた記事書けたらいいなと思います。
他にもあの人もこの人も良い…蕭景睿に言豫津、梅長蘇の主従の彼や彼女や靖王、靖嬪、高太監も良いし紀王も〜ああ〜キリがないのでこの辺で。

梅長蘇はなにを望んだのか。

この作品、たしかに「復讐」が物語の主軸になっていますが、簡単に復讐と表現していいものなのか。梅長蘇(林殊)が成し遂げたかったのは、仇敵に害悪を与えるよりも別のところにあったはず。
原語の字幕では「昭雪」という動詞で表現されていたそうで、この言葉、百度百科で調べたのを百度翻訳にかけてみたら“無実の罪を晴らし、無実の罪を覆し、名誉を回復するという意味。冤罪をそそぐ。”となりました。
中国語では「雪」という文字に“(恥・敵・冤罪を)すすぐ、そそぐ、晴らす、ぬぐい去る、洗い落とす。”「昭」には“あきらかにする。表明する。”という意味があり、まさに私が「復讐」という言葉では表現できないもどかしさを感じていた部分を埋めてくれました。
美しくて少し悲しい言葉、なんとも梅長蘇にぴったりだと感じます。

知ってたらより楽しめるかも

ちなみにタイトルにもなっている「琅琊榜」とは、各国の政治にも影響力を与える情報組織・琅琊閣が毎年発表するランキングのことだそうです。琅琊閣にはあらゆる情報が集まり、お金さえ払えば、どんな質問にも正確な答えを得ることが出来ると言われています。そのジャンルは様々で、「十大富豪榜」や「十大美人榜」などがあるらしい。機密から風俗までごった煮で情報集めている組織なんでしょうね〜。
王一博がW主演だった風起洛陽でも陛下の耳目を担う情報組織が登場しますが、瑯琊閣は朝廷とは一線を画す江湖の側の存在のようです。
梅長蘇は、優れた才知を持つ者の「十大公子榜」の1位にランクされているということで、それに目をつけた権力者たちによって朝廷の権力争いに巻き込まれて(というよりも、自ら巻き込みにいく)物語がまわりはじめます。
※「榜」という漢字には告示される掲示文や立て札などの意味があるので、瑯琊閣が示す掲示文という意味合いでしょうか。

作品が中国で初めて放送されたのは2015年で、日本でも2017年頃(ここ曖昧です)にチャンネル銀河で放送されて盛り上がっていたんですね。当時の私といえば、まだ中国作品とは無縁で動画を観るのが大の苦手なのでテレビも月に数回つける程度でした。そして毎回驚くけれども、視聴数の桁が笑ってしまうくらいすごい。現在に至るまでを合計したら一体いくつになるんだろう。
“中国のサイト・豆瓣で10点中9.3点”という部分、「豆瓣」というのは中国のレビューサイトで、かなり辛口で信頼できると定評があるサイトだそうです。
そのサイトでほぼ満点という折り紙つき。まあでも、あくまでレビューですからこういうのは後から見てそりゃそうだよねとニンマリするために知っておくと嬉しい情報かな。

そして陳情令(字幕版)を視聴済の方はピンとくるかもしれません。梅長蘇の友人である言豫津(すごくいいキャラクターです)の配音は路知行さん。魏無羨の配音員と同じなんですよ。琅琊榜あたりから出演作が増えたそうです。良い声だ。
そしてそして、若き日の林殊を演じるのは山河令を視聴済の方なら確実にわかると思いますが張哲瀚さん。気づいたときは阿絮!?とびっくりしました。垢抜けたというか、大人になったんだなあというか。

中国ドラマは日本ドラマには無い独特の間とか、広げた風呂敷はそのままにするゆるさとか、設定のトンデモなさ(全てとても前向きな意味です)があって、そこも良いところのひとつだよなと思うのですが、琅琊榜はそういう中国ドラマらしさは少ない作品だと思います。
海外の人が観ても楽しめる要素がたくさんあるんじゃないかな。とはいえ、江湖とかものすごい丹薬とか中国ドラマらしさもしっかりある。

おまけ。
前述した「史上最萌大将军」のページリンクしておきます。蒙将軍の萌に気づいた方、ぜひ読んでにっこりして見てください。(リンク先は中国語です)
https://ent.sina.cn/zl/2015-10-10/zl-ifxirmqz9736550.d.html

公式サイト・配信サイト

アマゾンプライム、U-NEXTでは見放題で配信されています!他サイトでも配信ありかと思いますが、プラン等はご確認ください。
ああ観てほしい。心から。

アマゾンプライム

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B01N29RY1R/ref=atv_dp_share_cu_r

U-NEXT


読んでくださった方ありがとう!いい中国ドラマライフを共に過ごしましょう。
おすすめあったら教えてください。

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