念願叶った日

昨日は念願が叶った日でしたので、気持ちが新鮮なまま記録したいそして自分以外の誰かにも読んで貰いたいと思いキーボードを叩いています。
最近は長文を読むことは日々の習慣としてあるものの、書くことにはとんと無縁になっていますので読みづらい部分が多いと思いますが少しお付き合いください。

中国で製作されたアニメ映画「羅小黒戦記」。日本公開の際は、中国語読み「ロシャオヘイ」と日本語読みの「せんき」を合わせて読んでいるようです。
「戦記」は多分ピンインだと「ザンジー」となるのかな。最近少しだけ中国語を勉強しているのですが、発音がとても難しいです。
「小黒」はメインヴィジュアルに出ている黒くて小さい猫姿のキャラクターそのままの意味を指しますが、
「羅」はyoutubeで公開されているショートアニメでシャオヘイが拾われたお家の苗字なので、シャオヘイの苗字を意味します。
繋げると「羅さん宅のシャオヘイ戦記」という意味になります。

私がこの作品を知ったのはTwitter上で、おそらく日本での公開が始まった2019年9月からひと月後頃だったと思います。
始めは東京ではまた新しいものが観られるんだな、良いなと地方在住人間にありがちなぼんやりした羨ましい気持ちで誰かのツイートを流し読みしたような記憶があります。
その後何度か繰り返し作品名を目にすることがあり、気になるなあという気持ちが少しずつ大きくはなりましたがそこまで大きいものではありませんでした。
しかし大好きなイラストレーターが作品を観て好意的な意見を述べ、更に作中のキャラクターをイラストに描く。
色々な場面で発信する考えに信頼をおいている友人が作品を観て、やはり好意的な意見を述べているのを見て決定打を食らったのでした。
しかしなかなか地元やふらりと行ける近隣の県で公開されることがなく、もうこうなれば映画を観るために県外に行ってやろうかしらと思っているところへ
コロナウイルスが猛威をふるい、都市での上映でさえ一旦中止になってしまったのでした。
もう観られないのかな、どうしよう諦めきれない。これ多分観られなかったらかなり引きずるし数年後に思い出してそのたび落ち込む……とか思っていたときに
とうとう地元の、ものすごく古くてあか抜けない映画館(ごめんね)が上映権を獲得してくれたのです!
もう嬉しくて、この一週間くらいはずっと週末はシャオヘイ!週末はシャオヘイ!と思って毎日生き延びていました。

前置きがとても長く鬱陶しくなりましたが、それくらい待望で念願だったのです。
私なりのあらすじは以下の通り。

黒猫の姿をした妖精「シャオヘイ」は、美しくたくさんの動物が住まう森を居場所にしていた。
しかしあるとき突然その居場所は、人間により壊され居場所を追われることになる。
新しい居場所を見つけるため、人の住む街を彷徨うシャオヘイは同じ妖精の仲間に出会い一時は新たな居場所を見つけるが、
人間と共存しようとする者たち、妖精だけの世界を取り戻そうとする者たちの争いに知らぬうちに巻き込まれていく。

文章だけでは、目新しさは無いかもしれません。
私も紹介文だけではここまで惹かれなかったと思いますが、youtube公式チャンネルで公開された予告編を何となしに観てみたら
なんだかよくわからないけれど始まってすぐに自然と涙が出てしまい、心を鷲掴みにされたのです。

画面の美しさ。緻密で精巧とは違うけれど、色や線をおくべきところがしっかりと見えている絵が血が流れて拍動するように動いていく感動に
難しい言葉は放り投げて、ただただワクワクしました。
キャラクターデザインも魅力的で、これはみんな描きたくなる。公式同人誌が出たのも納得。
しかも下手にアレンジできないほど、完璧なキャラデザなのです。
そして最近は他にも中国のアニメを観ているのですが、声優さんとても上手いんですよね。
そりゃプロだから上手いに決まっている。なにをバカげた感想をと思いますが、母国語ではないのに自然に入ってくる。
絵があればキャラの感情、字幕があれば言葉の意味も分かりますが、オーディオドラマなんかを聴いても分からんけど分かる!を体感するので、
声に命を乗せることに長けた方が、どの国でも良いお仕事をされているのだなと感じます。
今後は日本語吹き替えの予定もあるそうですが、私としてはぜひ中国語の音声で一度は観て欲しいと思います。

公式チャンネルでは、他にも「無限」(作中でシャオヘイに深く関わって来る人物)が登場するシーンも観られるのですが、これは夜の廃工場的な場所での格闘シーンです。
手刀のような武器を操り、カンフーを彷彿とさせる動きを折りまぜて(私の拙い知識による)、絶対に強いキャラだと一瞬で感じさせる演出。
目線の変化や空間の使い方など、戦闘シーンも本当にワクワクするのです。
先に観るか、映画館で観てから家で見直して感嘆するか。どちらもおすすめです。

ストーリーは善か悪か、という人類にとって不変のテーマが使われていますが善悪それぞれへの寄り添い方が上手くて、
これをこの短い時間の中でまとめ切れる脚本の力にも頭がビリビリしました。
善を押し付けることなく、過剰にしすぎない。悪を肯定することもなく、しかし不当に排斥することもない。
心を持っているからこそ生まれてしまうグラデーションを丁寧に、高い技術で描いている作品。
伝えたいがために絵を描き過ぎたり、キャラに言わせ過ぎたりもしない。
もう本当に、観られてよかったありがとうと鑑賞中一瞬我に返り、何度脳内で唱えたかわかりません。

キャラクター個々の性格の出し方や背景も、映画では語りきれない余白が膨大にあるように見受けましたがそれが物足りなさを感じさせるのではなく
この先へ期待させる作り方でした。ああ、続編を絶対に観たい。やっと今作が観られたのに、途端に欲張りになっています。
ナタ様(作中に出てくるキャラクター)なんて、もっと観たかった。
あの人も気になるし、あの建物の中だってもっと観たいし……あの二人のこれからなんて、観ないと死ねないよ。
どのキャラクターも嫌いにならなくていい世界をありがとう。

あのシーンのあれが、みたいな話はこれから観ようとされる方が万が一これを読んでしまい楽しみが減ってしまうのは不本意ですので我慢して。

中国のアニメ界は近年CG作品が多く、羅小黒のような作品はあまり積極的に作られていなかったようです。
なので、中国でも珍しさも含めて話題になっていたようです。
日本のアニメを観ていても製作陣に中国の方の名前がずらりと並ぶことが当たり前になっているので、意外でした。
クールなんちゃら政策など、なんだか格好悪い姿勢で素人たちが胡坐をかいている間に世界中で素晴らしい作品が生まれているんですよね。

近年の全人類全員観ろ的な姿勢や、不特定多数にプレゼンという名で好きなものを紹介する姿勢があまり好きではなく。
そもそも、自分が好きで楽しんでいるものを無理やり知らん人の口に突っ込んだりビジネスのように押し付けるなんて無理。
でもこんな素晴らしい作品だったよ。私の意見なんて気にする必要ゼロだけど、誰かにも最高の出会いになるなら祝福したい。
ということで、私がとにかく好きだ。という気持ちをここに残しておきます。

今日また観に行く予定。来週も行く。

ついでに、最近のずっぽりについても書きました。



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