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草加 連盟組織の行方

 周知のとおり、草加市歯科医師会は埼葛歯科医師会から独立する方針を固めています。また、去る6月22日の埼葛歯科医師会総会では、春日部市歯科医師会も草加と同時期の独立を目指す事を表明しました。一方、連盟組織に関しては明確な道筋が見えておらず、会員にとって最善の方向性を模索している段階です。


春日部は連盟組織を埼葛残留の方針

 総会終了後、佐藤直登 副会長(草加理事)は、山崎連盟会長と村田春日部会長との間で話し合いの機会をもちました。「現時点で春日部は、独立後も連盟組織を立ち上げずに埼葛に残るつもりである」との見解を確認しました。



草加が独自の連盟組織を持つ場合に考慮すべきこと


【メリット】 草加歯科医師会が独自の連盟組織を持つ利点

1.衆院選の小選挙区と連盟組織の一致
2.草加市歯科医師会の意向を政治活動に反映できる

 衆院選の小選挙区区割りは2022年に改定され、草加は八潮、三郷とともに埼玉14区となりました。

草加は埼葛内で飛び地のため、衆院選小選挙区に関して埼葛に所属していることで得る恩恵は少ないと言えます。一方で、それはあくまでも衆院選の小選挙区だけの話です。衆院選比例区および参院選は組織力が重要になります。

また草加は現在、衆院選小選挙区に自民党候補者が不在です。草加に自民党候補を擁立するためには草加のみの組織力では心許ないのが実情です。


【デメリット】 草加歯科医師会が独自の連盟組織を持つ欠点

1. 会員の高齢化による収支の悪化
2. 会費の大幅な増額
3. 連盟役員の増員と育成が不可欠
4. 政治資金規正法による収支報告書の作成が必要
5. 組織力の低下

 全国の歯科医師会会員の平均年齢は約60歳という統計があります。また歯科医師国家試験の合格者は年々減少傾向で狭き門となりつつあり、それに拍車をかけるように歯科医師の開業率は低下しています。10年後を考えれば、歯科医師の減少が危惧されるのはもちろんのこと、開業医自体も少なくなるでしょう。

 そのような状況下で、歯科医師会会員が今後増加に転じることは考えられません。限られた人員で組織を運営せざるを得ず、会費も大幅な増加が必要です。また政治団体には政治資金規正法による収支報告書の提出が毎年義務付けられていますが、現在埼葛で行われている会計責任者の責務を、草加内で担う担当者を育て上げなければいけません。事務関連の責務についても同様に、手順がとても煩雑です。それら運営に必要な人材を育成するのにも草加単独では困難で、少なくとも2,3年は埼葛の現任者からの指導が必要でしょう。

 そして、埼葛と比較して草加単独では組織力は大幅に低下してしまいます。政治の力は数の力でもあります。会員が利益を享受できる政治活動を続けるためにも、政治の力、すなわち組織力を低下させてしまう事はもっとも大きなデメリットです。

独立している越谷の現状

 議員は自身の政治活動費の確保のために政治パーティーを開催します。支援する議員の後押しのために連盟では一定の基準でパーティー券を購入しています。埼葛の場合、黄川田議員のパーティー券を例年3枚協力していました。
 過去に分離独立した越谷を例にとると、1枚のみ協力のようです。これは越谷連盟の懐具合が関係しているようで、越谷連盟は入会金のみの徴収で年会費はありませんでした。そのため十分な資金の確保が難しくパーティー券は1枚のみにとどまるようです。財政面の悪化がみられる現在では、越谷連盟は年会費の徴収も開始している模様です。このことは長らく議員本人も秘書も、我々埼葛連盟に明かすことはありませんでした。


埼葛連盟に残る場合に考慮すべきこと

【メリット】 埼葛連盟に残る利点

1. 財政面において猶予ができる
2. 草加単体よりも埼葛の方が規模が大きい
3. 東埼玉や岩槻等の旧埼葛連盟地域との連盟組織一体化を求める動きがある
4. 草加からの役員は少人数ですむ
5. 収支報告書の作成が必要ない

 埼葛においても草加と同様、高齢化の波は押し寄せています。今後10年は会費の減収が続きますので、現在と同水準の政治活動を維持していけるかどうかは不透明です。しかし草加よりも規模が大きいため、減収への対策や事業の縮小などをしやすいのは事実です。例を挙げるなら会費についてです。将来的に会費を上げることは検討せざるを得ませんが、上げ幅は年間2000円程度と見込まれています。これが草加単独だと、年会費を現在の倍にしなければ運営が難しいという試算があり、上げ幅だけとってみても埼葛に残る意義を見出すことはできます。
 そして言うに及ばないことですが、会員数の多さは組織力に直結します。議員に対しても組織力の大きさに比例して、意見する力も強くなるのではないでしょうか。

東埼玉や岩槻等と、連盟組織一体化を求める動きがある

 連盟組織を本会と切り離し、近隣地域と一体化させる構想があります。埼葛を基軸に、松伏と吉川、そして岩槻と、可能ならば越谷、三郷、八潮と連立し、旧埼葛を再現しようという壮大な構想です。松伏、吉川は現在、財政面と人材面で苦労しており、また越谷は前述のとおり単体での連盟活動には限界を感じています。三郷、八潮は草加と同じ選挙区であるため、手を組むことは互いのメリットに繋がります。岩槻に関しては過去の埼葛退会後、浦和と合併して現在に至ることから交渉が必要になるかもしれません。
 衆議院小選挙区の区割りは10年に一度改定されます。現在の埼葛の形が将来も同じように役立つ保証はどこにもありません。連盟が選挙区に応じて自由に変化していくことが可能であれば、その方が多くのメリットを生み出すものと考えられます。

収支報告書の作成等について

 政治資金規正法に基づき、毎年の政治資金に関する収支報告書の提出が義務付けられています。現在埼葛では会計担当役員が2名おり、うち1名が会計責任者となっています。これらの会計処理は多大な労力を要し、一朝一夕でこなせるようになるわけではありません。草加が独自の連盟をつくる場合、埼葛の会計責任者は協力関係を維持していく旨を申し出ていますが、草加にとって大きな職務が増えることに変わりありません。

 以下のURLは埼玉県選挙管理委員会から公表している令和4年度埼葛歯科医師連盟収支報告書です。当連盟に限らず、全国の政治団体は収支報告書を公表しなければなりません。

https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/244446/04_305290.pdf


【デメリット】埼葛連盟に残る欠点

1. 衆院選小選挙区と連盟組織地域が一致していない
2. 地理的に孤立している
3. 大きな組織の中では草加独自の意見が反映されずらい

 草加が独自の連盟組織を持つ場合のメリットの項目と同様の内容になりますが、埼葛の中では草加は飛び地であるため、衆院選の小選挙区に関して埼葛に所属していることで得る恩恵は少ないです。これらの問題点は埼葛連盟も認識しており、現状を打開するためにも近隣との連盟組織一体化を構想している段階です。 


草加は独自の連盟をもつのは難しいのではないか

 以上、様々な視点からメリットとデメリットを論じてきましたが、現段階では草加が独自の連盟を持つことはメリットよりデメリットの方が多いと思われます。一方で、埼葛に残ることですべての問題が解決するわけではないことも確かです。現状を維持しながら、よりよい方向性を見出す議論を続けていくことが求められるのではないでしょうか。

■制作:埼葛歯科医師連盟
■配信元:埼葛歯科医師連盟note制作委員
■お問い合わせ:saikatsu.renmei@gmail.com

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