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第一話 おすすめのハラマキを探す人、多数。「隠す」を「見せる」の逆転の発想にしたら・・・

新潟で活躍する料理家 佐藤智香子氏が、キッチンアイテムを共同で開発した老舗ニットメーカー「サイフク」。
今回は佐藤智香子氏が様々な角度からニットやサイフクについて取材し、インタビューした全10話をお届けします。

プロフィール
料理家 佐藤智香子(さとう ちかこ)

食のクリエイティブチーム(株)ワイオリキッチン 代表。
旬の野菜、発酵食品を取り入れたレシピを得意とする。
年間レシピ考案数は300以上。
テレビ・ラジオ・フードプロデュースなど務める。

ライフワークは「米」。著書「365日おにぎりレシピ」
英訳版「ONIGIRI」は世界料理本大賞2020 ライス部門で世界一受賞。

新潟県は五泉市(ごせんし)。
ここに、60年の歴史を誇る老舗ニットメーカー「サイフク」がある。

数々の国産アパレルブランドのニットを生産し、
多くの人が袖を通してその品質の良さを実感している
技術力の高さはいうまでもないが、
ここにいわゆるセーターやマフラーといった
王道のニット製品ではない
「ヒット商品」がある。
しかも冬場だけではなく、年間を通してよく売れているらしい。


それが「見せるハラマキ」

おなかをつつむ / 見せるハラマキ オーガニックコットン

キッチンが主戦場の私にとって、
キッチンで過ごす時間は長く、機能的でありながら、心地よい空間であること、それによって仕事の能率も、仕上がりも違ってくる。
そこで一番頭を悩ませるのが「見せるか」「隠すか」
そう、よく言われる「見せる収納」にするか「隠す収納」にするか。
 
話を戻せば、
「腹巻」は、モコモコさせずに身に付けていることを
いかに上手に隠せるかがテーマだと思っていたけれど、
サイフクの腹巻はその逆。
「隠す」ではなく「見せる」ことをテーマにしている。
商品名も「見せるハラマキ」
 
だからって、「私つけてます」って、寅さんじゃないんだから・・・と内心思ってしまうのだが、これが腹巻だと思う人はいないんじゃないか、というものだった・・・。

おなかをつつむ / 見せるハラマキ ウール

トップスの裾から覗くリブはアクセントになり差し色にもなる。
重ね着上級者のように、単調な服もたちまち表情をかえる。
 
気になる着膨れ感はなく、むしろお腹周りは薄手で、
裾部分はリブ編みだからヒップのシルエットがはっきり出づらく、
ちゃっかり体型もカバーしてくれている。
さらに動いたときにめくれないように脇にスリットも入っている。
おなか部分にはストレッチの糸を織り込んでいるそうで、伸縮性もある。
この痒いところを畳み掛けるように解決してくれる「見せるハラマキ」

どんな人にも使いやすく、とにかくおすすめだ。
どうしてこれが生まれたのか、誰が考えたのか。
 
とある気象予報会社で「腹巻を使っていますか?」というアンケート調査を実施したところ、男性は「年中使っている」が2%、「秋冬だけ使っている」7%だったのに対して、女性は「年中使っている」が5%、「秋冬だけ使っている」16%という結果だったそう。
女性の方が多く使っているようだが、それでも全体の2割ほど。
 
そんな中で、サイフクの元には今日も全国から「見せるハラマキ」の注文が入る。
そして、日本各地にくまなく発送されていく。
 
厚生労働省によると体温が1℃上がるごとに、代謝量は13%上がるとされている。お腹を温め、体温が下がらないようにすることは、健康的なダイエットにも役立つよう。
そういう意味でも腹巻はおすすめだ。
私も「隠れ冷え性」を自認している場合じゃない、と思った。
そして、じんわりと温かい「温もり」が恋しい気分になっている。
 
「見せるハラマキ」
この逆転の発想のヒットの裏側を知りたくなったのは、言うまでもない・・・。