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マジック・ザ・ギャザリング アルファ・ベータ版のカード封入について

 私はトムサイです。日本の北海道札幌市に住んでいます。2000年頃 マジック・ザ・ギャザリングのカードのソート(並び順)とそれらがパックに封入される仕組みについて調査をしていました。2022年の現在、当時作った資料がどこにも残っていないので YouTubeの開封動画などを観て思い出しながらこの記事を書いています。


アンカットシートからの封入について

 マジック・ザ・ギャザリングのカードが印刷されている所謂アンカットシートからスターターやブースターパックに封入される際の仕組みについて説明をします。

 マジックが誕生した1990年代のカードの生産国は、Made in Belgium または Made in USAでした。多くのセットではレアリティ別の1枚の大きなシートに、横11枚×縦11枚の計121枚のカードが印刷されています。セットやレアリティによっては、それ以外にも10×11や10×8枚などのシートも存在しますが、2022年現在も、多くのセットが1シートあたり11×11=121枚のカードで印刷されています。
 1994年に印刷されたアルファ版のレアシートに注目しましょう。完全な状態の写真がネット上にないのですが、《Volcanic Island》と《Circle of Protection: Black》が無いことを除き、ベータ版と同じと言われています。これらの代わりに何が配置されているかは不明(Islandの可能性が高い)ですが、修正後のベータのレアシートは、YouTube動画などで確認できます。

 アンリミテッドについても画像がありませんが、アルファやベータによく似ているとのこと。リバイスドについてはパワー9が無くなり他のカードに差し代わっていることもあり、一部を除いて配置が代わっています。

レア枠に基本地形

 アルファ、ベータ、アンリミテッドでは、レア枠から基本地形が出現することがあります。スターターやブースターにカードが封入される時に、レア枠に基本地形のシートからカードが差し込まれるのではなく、最初からレアのシートに基本地形(島)が印刷されているのが理由です。「基本土地に喰われた」という表現は正しくはないのと、エラーパックを除きこの枠に島以外の基本地形が出ることはありません。以下の画像はベータのレアシートで、画面中には4枚の島が見えています。

画像1

 アルファとベータのスターターではこの画像にある121枚のレアの中からランダムに2枚が選ばれ封入されます(アルファは前述の2枚を除く)。ここでは、どのように2枚が選ばれるのかを具体的に説明していきます。

封入パターンの説明

 アンカットシートからカードをカットした際に、それらのカードが順に積まれて束になっていくと考えました。実際に工場の様子を見学した訳ではないので、推測にはなりますが、販売されている製品の封入パターンを見ると大きく間違えてはないでしょう。コモン・アンコモン・レアのそれぞれのシートが同じ仕組みで別々の束になると考えます。
 なお、今回の記事は現在から20年程前にマスクス~オデッセイブロック期に大量のスターターとブースターを開封・分析した結果を基に記載しており、現在のセットには当てはまるかは判りません。
 1枚のアンカットシートは、A~Kの11列と1~11の11行の組み合わせで構成されるものとします。これは、現在ネットで多く見られる写真や動画から確認できます。しかし、20年前はそれらがほとんど存在しなかった為、解析が困難だったことを覚えています。

  ABCDEFGHIJK
1 ①④⑦〇〇〇〇〇〇〇〇
2 ②⑤⑧〇〇〇〇〇〇〇〇
3 ③⑥⑨〇〇〇〇〇〇〇〇
4 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
5 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
6 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
7 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
8 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
9 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
10 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
11 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

 束へのカードの積み方ですが、まずシートの左上(A1)から縦方向(↓)に、「1~5から選ばれた1つの数」の枚数のカードが続けて積まれます。例えば、選ばれた数字が3の場合、カード①②③を縦に続けて積んだ後に、Aのひとつ右のB列に移動し、続けて上から同じ枚数分カード④⑤⑥を積んでいきます。以下、⑦⑧⑨…と、これをシートの右端に到達するまで繰り返します(11回)。この例をパターン3とします。

 このように縦にN枚選ぶ場合をパターンNと定義します。カードが積まれた束からブースターパックに入る11枚のコモンカードを例に、以下のように(①~⑪)を使って説明すると解りやすいでしょう。※コモン2パック分の22枚で説明します。

パターン1
  ABCDEFGHIJK
1 ①②③④⑤⑥⑦⑧⑨⑩⑪
2 ①②③④⑤⑥⑦⑧⑨⑩⑪

パターン2
  ABCDEFGHIJK
1 ①③⑤⑦⑨⑪②④⑥⑧⑩
2 ②④⑥⑧⑩①③⑤⑦⑨⑪

パターン3
  ABCDEFGHIJK
1 ①④⑦⑩②⑤⑧⑪
2 ②⑤⑧⑪③⑥⑨
3 ③⑥⑨①④⑦⑩

パターン4
  ABCDEFGHIJK
1 ①⑤⑨②⑥⑩
2 ②⑥⑩③⑦⑪
3 ③⑦⑪④⑧
4 ④⑧①⑤⑨

パターン5
  ABCDEFGHIJK
1 ①⑥⑪⑤⑩
2 ②⑦①⑥⑪
3 ③⑧②⑦
4 ④⑨③⑧
5 ⑤⑩④⑨

 これらのパターンが、ランダムもしくは何かしらの規則性を持って適用され、シート上のカードが積まれていきます。また、シートの右端(Kの列)まで進んだ後は、シートの左端(Aの列)に戻るのですが、この際にパターンが切り替わることがあります。

切り替わらない例:パターン2→パターン2
  ABCDEFGHIJK
1        ①③⑤⑦
2        ②④⑥⑧
ーーーーーーーーーーーーー
3 ⑨⑪②④⑥⑧⑩
4 ⑩①③⑤⑦⑨⑪ 

切り替わる例:パターン2→パターン3
  ABCDEFGHIJK
1        ①③⑤⑦
2        ②④⑥⑧
ーーーーーーーーーーーーー
3 ⑨①④⑦⑩
4 ⑩②⑤⑧⑪
5 ⑪③⑥⑨

 コモンを例に説明をしましたが、アンコモンとレアについても同じ仕組みで束がつくられます。例えば パターン2→パターン5→パターン4 の順で束にした場合、リバイズドのスターターでは以下の①~③の中から3枚ずつレアが封入されます。ここではスターター40個分(シート1枚分)を例にあげましょう。

パターン2→パターン5→パターン4
  ABCDEFGHIJK
1 ①③②①③②①③②①③
2 ②①③②①③②①③②①
ーーーーーーーーーーーーー
3 ②①③②①③②①③②①
4 ③②①③②①③②①③②
5 ①③②①③②①③②①③
6 ②①③②①③②①③②①
7 ③②①③②①③②①③②
ーーーーーーーーーーーーー
8 ③①②③①②③①②③①
9 ①②③①②③①②③①②
10 ②③①②③①②③①②③
11 ③①②③①②③①②③

 ちょっと解りにくいと思いますが、アルファやベータを例に説明するとレアが2枚の為、①②のみが続くことになりもっと解りにくくなります。なのでここではレア3枚のリバイズドで説明しています。また、ここでは触れないですが、11と1は循環します。例えばパターン3の場合、縦に10→11→1 の順で積まれることもあります。
 このような仕組みで、スターターにカードが封入されていきます。なお、ブースターについても同様に積まれた束から順にパックに封入されるはずですが、1つのBOXから複数のパックを開封する動画が見当たらなかった為、当時のアルファやベータのパックがこの順番でBOXに封入されていたかは解らないです(知ってる人いたら教えてください)。

検証してみた

 YouTubeにアップされている開封動画について、幾つか検証してみましょう。
※本文中、出現するレアを記載したのでネタバレを気にする方は先に別窓で動画を見てください。
 今回は、アルファのスターターの開封動画を観てみましょう。

 《純粋の色/Purelace》と《不明の卵/Dingus Egg》。これはパターン4で、F11→G8 の並びです。

 《Illusionary Mask》と《純粋の色/Purelace》。これはパターン2~5の何れかで、G7→G8 の並びです。

 《Tropical Island》と《Black Lotus》。これはパターン5で、E6→F2 の並びです。とても良い組み合わせ!

最後に

 アルファ・ベータは我々庶民には手の届かない存在ですが、リバイズドや古の他のスターター、ブースターなどを開封する際は参考になる記事だと思います。
 なお、昔のレアは1/121の確率(0.826%)。アライアンスなどで「レア2」のカードはその2倍(1.653%)。最近の「神話レア」は「レア1」で1/121、通常「レア」は「レア2」で2/121です。この数値を使うと、欲しいカードを引ける確率が計算できるでしょう。
 例えば、リバイズドブースター1パックからデュアランを引く確率は10/121(8.264%)。スターターからは1箱にレアが3枚なのですが、単純に10*3/121(24.79%)とはならないことに気を付けてください。何故なら、C8→D6→D7と、デュアランが3枚も封入されるパターンが存在するからです!
 需要があれば、直近のセットについても記事にしたいと思います。特殊なデザインのカードがあったり、レアの枚数が増えたりしているので、これらの仕組みや確率についても記事にしようかと思います。






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