嵯峨野トロッコ列車開業物語-廃線から観光鉄道会社へ
1989年、複線電化により廃線となった旧山陰本線(現嵯峨嵐山駅~馬堀駅)は、通勤通学はもちろん、保津峡に沿った景勝地を走る路線として古くから親しまれてきました。
廃線にあたり、車窓から眺める景色との別れを惜しむ声が地域住民の方々や全国からJR西日本に多く寄せられたことから、この沿線を観光目的とする鉄道会社として、翌年1990年に発足したのが、私達「嵯峨野観光鉄道株式会社」です。
(写真:1987年旧山陰本線を走る列車)
(写真:トロッコ開通前の旧山陰本線)
発足当初、社員はわずか9名。
廃線後しばらく放置されていたため、レールは錆び、枕木は腐り、路肩には草が生い茂り…まさに荒れ放題の沿線を目の前に、
「本当に列車を走らせることができるのか」
「お客様は来てくださるのか」
と途方に暮れました。
しかし、社員全員が一丸となり、鉄道事業の使命である「安全の確保」と、お客様に「楽しかった」と思っていただけるような沿線作りに取り組み、今日の「嵯峨野トロッコ列車」が誕生したのです。
(写真:開業前の沿線)
1ヶ月前からご予約が殺到するなど多くの期待が寄せられる中、ついに迎えた開業日。
1991年4月27日9時16分、大盛況のトロッコ嵯峨駅から、一番列車が出発しました。
(写真:1991年4月27日 開業日当日のトロッコ嵯峨駅)
そして今年、嵯峨野観光鉄道株式会社は開業から30周年を迎えます。
保津川渓谷の景観と安全を守り継ぎ、お客様と感動を共有できる観光鉄道会社として、トロッコ列車と社員一同、これからも全力で走り続けていきます。
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