「渋谷で働く社長の告白」
今では広く世の中に知れ渡っている、いわゆるメガベンチャーの一つである「サイバーエージェント」を立ち上げた藤田晋社長が書き上げた一冊。
簡単な出自の紹介から経営者を目指すきっかけや道のりが事細かに記してある。
主にこの本は四つの章で構成されていて
1,生まれてから社会人になるまでの原体験や価値観の形成まで
2,会社立ち上げに至るまでの過程と会社を成長させていく過程
3,ネットバブルの熱に浮かされる世間とその勢いに乗って急成長を遂げる会社
4,ネットバブル崩壊とそれに伴いやってくる苦境
の4つである。
そもそもこの本の魅力はずばり藤田晋社長の人間的魅力そのもののように感じた。
世間一般から憧れ、敬われ、時には妬まれる経営者という職業は非現実世界の人間のようであまり親近感が湧かない。
さまざまな成功の秘訣などを語る経営者は多いが、実際自分の実生活とは切り離して聞いてしまうような節が自分にはある。
しかしこの本にはとても人間臭く、若くエネルギッシュかつロマンチストな藤田晋社長が現実に立ちはだかるいくつもの障壁を葛藤と苦悩をもって乗り越えていく様が書かれている。
自分は藤田晋社長が経営に奔走していた90年後半から00年初頭は赤ん坊であり、当時のIT業界や世間の空気を身をもって体験していない世代である。
しかしこの作品には自分が産声をあげた頃に、まだ20半ばの青年が何百億円、何百人という大きな責任を一身に受けて生き抜いていた事実が書かれている。
今年21になる自分にとってはなんとも言えない感慨深いような感覚を感じた。
成功者は世間からもてはやされキラキラしたイメージを持たれるが、成功するまでの果てしない道のりから成功した後の責任や重圧、または世間からのバッシングなどとんでもなく不自由な生活が待っており、現実と理想のギャップはあまりにもかけ離れている。
一流の起業家や経営者の多くは、たくさんお金が稼げるから経営者になりたいわけではなく、本気で世の中や人類史という人類の進歩の1ページに爪痕を残そうとしているロマンティストなのだと感じた。また彼らは根っからロマンティストだからこそ数々の試練を耐えぬけるため、富や名声を求めて経営者になるのはお門違いということを学んだ。
まさにドラマティックな人生で、安定とはかけ離れているからこそ第三者目線で読めるこの作品はとても面白かった。当事者である藤田晋社長はとんでもない経験値の人間だと実感できる。
起業家や経営者の苦悩など負の側面を現実的に学べる一冊だと思うので志高く生きようと思ってる人は読んでみるといいと思います。
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