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予感していた通りのエラーが発生!!

ある日、出勤すると例の部下が申し訳なさそうに近づいてきました。
すると、「すいません…。やっちゃいました😢」と話し始めます。

その内容は「○○さんのダイアライザー(透析に使用する人工腎臓)の準備が間違えていて、キチンと確認しなかったので間違えたまま治療をしてしまいました!😰」とのことです。
(普段使っている製品と同じシリーズで性能が少し良いという違いだけで患者さんに害はありませんでしたのでご安心ください。)

うちの職場では50人以上の患者さんがそれぞれ違うダイアライザー(10種類以上)を使用しているのでどうしても準備間違いは起きます。
間違えないための対策として
準備表を印刷して使用(何を何個使うかが分かる紙と各患者さんの使用する製品の一覧)
・ダイアライザーに貼るラベルの使用(名前・製品名が印字されています。)
・最近、患者さんごとにベッドネームを準備しはじめて名前と使用物品が確認できます。
患者さん毎の記録ファイルも各ベッドにありますが、畳まれているので開かないと見れない&開いても情報量が多すぎて確認が面倒くさい開くと中に入っている抗凝固剤のシリンジが飛び出てくるので面倒くさい。
なのであまり見たくない。

という状態でした。

今回のエラーは、
最初の準備の間違い

配る時に気づかない(ラベルと確認していた)

帰る前に間違いがないか確認する係も気づかなかった。

朝の準備に入った例の彼も気づかなかった。

といういくつもの壁がありながら全てスルーしてしまうというまさに「スイスチーズモデル」そのものでした。

実は僕もこの中に関わっているので衝撃を受けましたし、彼を責める事は出来ません。
そもそも、なぜ今回のエラーは発生したのでしょう?

実はこのダイアライザーを見て僕は『いつか絶対間違えるだろうな🤔』と思っていました。実際に製品を見て頂けるとお分かりいただけると思います。

今回、間違えたダイアライザーがこちらです。数字が「15」と「19」の違いだけなんです。よく見ないと見分ける事は難しいです。(言い訳ですいません)
参考までに同じ会社の他の製品と比べてみましょう。

僕が慣れ親しんできたのは一番上の数字が黒く大きく表示されているものです。(青いものは一種類しかないので間違えない。)
下の2本はより新しいというか、血液ろ過透析というちょっと特殊な治療に使うものという違いはあるのですが、同じ製品の数字(大きさ)を見分けやすくしてくれても良くないですか?(製品のメーカーさんごめんなさい。でも、本気で見やすくして欲しいです。)

まさに先日、noteで書かせていただいた「わかりやすくする」の対策だと思います。

でも、今回一番の問題「最後に関わった彼が『ちゃんと確認しなかったから悪い!』と責められてしまう事」なんです。
確かに、彼がキチンと確認して「15」ではなく「19」が用意されてしまっている事に気づけば間違えて患者さんに使用される事はなかったと思います。
でも、たまたま最後に彼が関わった最後の壁だっただけ「そもそも用意が間違えている」という事が無ければ最初から何の問題も起きなかったんです。
考えなくてはいけないのは「どうしたら準備のミスを無くせるか。」です。

医療の現場では「エラーが発生した時に犯人捜しをしてはいけない。」、「個人の責任を責め立ててはいけない。」と言われていますが残念ながらいまだに行われています。
彼が元気なく僕に報告に来るわけです。😔

今回の対策として製品の表示を見分けやすくする事が望まれますがそれは時間がかかるので、情報共有して注意喚起をする事「15」の使用をやめて「19」のみにするという事でした。

誰も責められる事無く安心して働ける環境作りのために今後も頑張ります!

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