カオスな総集編、逆転裁判456王泥喜セレクションはどうなるのか?

123のノリとは全く違うので初見の方が狼狽える事間違いなし


※公式サイトで紹介されている程度の情報はネタバレしております。予めご了承ください。




「逆転裁判456 王泥喜セレクション」は、2024.1.25発売予定です。
この記事を出した翌日ですね。
これ自体は嬉しいです。遂に456の総集編が出る事は喜べます。
やっと456をまとめて遊べるようになりますし、王泥喜の弁護士ストーリーを連続して楽しめるのは、ファンとしても大いに楽しみです。

一方で、前から懸念していた事があります。

王泥喜セレクションという作品は、誰をターゲットにしたゲームなのでしょうか?

この3作品、どれも調和性がなく尖りに尖っており、方向性もバラバラなゲームであるため、「4も5も6も全部好きだぜ!!!」というプレイヤーの方がどれだけ誕生するのか、本当に謎です。
いざ購入したら、3作品のチグハグっぷりに違和感を感じるプレイヤーさんが出てこないかが、ちょっと不安になります。

123で獲得した新規ファンを呼び込むためのゲームでしょ?と言いたい所ですが、それも違う気がします。

前作にあたる「成歩堂セレクション」と呼ばれる123の総集編の特徴を復習しておきます。

「主人公がほとんど成歩堂である」
「作品の世界観が大体統一されている」
「ゲームシステムに大きな変更がない」

総集編として出ている訳だから、そりゃ当たり前だろって話ですよね。
ですが王泥喜セレクションは違います。

「主人公が3人も存在する」
「作品によって世界観が非常に変わる」
「ゲームシステムが大きく変更されている」

何かよく分からない事になっています。
成歩堂セレクションの123と比較すると異質です。
これ、初見の方は受け入れる事が出来るのでしょうか?未知数です。


タイトルにもある通り、「逆転裁判456王泥喜セレクション」は、弁護士王泥喜法介の物語を描いています。
逆転裁判3から7年後を舞台とした、逆転裁判4。
そこから1年後の5と、更に1年後の6。

ここから注意点ですが、王泥喜1人が主人公という訳ではないです。

4は「ほぼ」王泥喜が主人公でしたが、初見の方は3と4のストーリーの雰囲気が死ぬほど違う事に、違和感を覚えるかもしれません。

その後、5を発売するために成歩堂を主人公として復帰させました。
王泥喜セレクションなのに、成歩堂も結構主人公をやっています。
なので、4と5の雰囲気もかなり違います。

4~6を通して、王泥喜を中心にした物語が展開されるのは間違いないですが、5と6は「異なる視点、異なる考え、異なる立場にある主人公達」のお話が展開されます。

そんな訳で、王泥喜がずっと活躍し続けるという話ではありませんし、123で活躍した成歩堂に常にスポットライトが当たる訳でもありません。
3人に、それぞれ活躍の場が与えられているという解釈が正しいです。
(3人目の主人公である希月心音はサブ主人公かもしれない。)




次の注意点ですが、4も5も6も、結構尖った世界観で物語が展開されます。
そして世界観が統一されていません。
4と5と6は、全く違うゲームです。


逆転裁判4では、早々に1話からぶっ飛んだ展開を見せたり、邪道と思われる展開を突き進むなど、123とは明らかに違う方向性でシナリオが構築されています。

DS版が発売されてから数年間は、ずっとネット上で荒れました。それはもう死ぬほど。
クソゲーという訳ではなく、あくまで賛否両論ゲー・黒歴史ゲーとして荒れていたので、逆裁ファンの世論を両断したという意味でも地獄でした。

王泥喜セレクションを購入される方の中には、「成歩堂セレクションが面白かったから、456もやってみたい!」という人も多そうです。

地獄を味わう事にならないか不安でしょうがないです。
私個人は4好きですけど、123のノリを期待した初見がどういう反応をするのか、怖さ半分興味半分。
4からは全く別のストーリーが始まってるんだなーと割り切れる方は、多分楽しめます。

システム面に触れておきます。
ストーリーはそれとしておいて、裁判中でいちいち挟まれる「みぬく」が面倒なのは事実だと思います。

今回の総集編では「オートで回答してくれる機能」があるようですし、謎解きでヒントを使いたくないという方も、みぬくでは使って良いかもしれません。


5は王道ストーリーでした
「法の暗黒時代」がテーマになっていますが、逆裁の世界は元から暗黒だらけですし、法廷が爆破したぐらいで暗黒だとは思いません。
※法廷で起きてはいけない事件が過去作で沢山起きた
そこまで暗いストーリーではないので、万人受けしやすそう?
と見せかけて、最終話でエグイ要素があるのは懐かしい思い出。

「囚人でありながら検事をやっている人」とか出てきますが、逆裁の世界ならこの程度は自然に受け入れられる気がします。
とはいえ、5から検事がやりたい放題やるようになり、1234の比ではありません。これもプレイヤーによって反応が変わるでしょう。

5からは、新主人公「希月心音」が証人の感情を分析し、証言と感情のムジュンを指摘する新制度が確立されます。
怒るタイミングでもないのに怒っていたり、喜ぶべき場面で喜んでいなかったり、他の証言と比較して感情的になっている等、バリエーションが結構豊かなので、やってて飽きは来ませんでした。


6の方は、4とは違う意味で我を通しています。
そしてファンサービスが多い。

いきなりクライン王国という架空の国に飛ばされて、霊媒要素が当たり前のように登場します。
123は一貫して霊媒要素があったので受け入れやすかったですが、4と5にはほぼオカルトが無いです。いきなり6で霊媒とか言われて、ストーリーとトリックに堂々と介入してくる訳です。

「死者が死亡する直前を映像で見る事が出来る」発想は6独特のもの。
難易度が結構高いので、ここも遠慮せずオート機能を使って良いと思います。詰まる人は絶対詰まるけど、分かる人は簡単に正解出来るトリッキーな出題もあります。

ついでに、傍聴人と検事から物凄い罵詈雑言を飛ばされます。
主人公が誹謗中傷される理由が「宗教政治」なのも厄介。人によっては嫌な思いをすると思います。
また、クライン王国では弁護士が排斥されており、これを国家が主導して行っているため、5より6の方が「法の暗黒時代」をやっています。
4とは違うベクトルでプレイヤーに精神的なダメージを負わせてくるかもしれません。

一方で、日本編はかなりのファンサービスをしています。
4のその後のお話、5のその後のお話、123のその後のお話を展開してきました。
王泥喜セレクションでは456を続けてプレイできるので、日本編の受けは非常に良さそうですね。
クライン王国編が我を行き過ぎている一方、いつものノリが見たいという欲求を日本編で満たせる訳です。




さて、ここまで見てきた限りでは456総集編ってかなり滅茶苦茶だと思います。
どんなゲームになるか予想も付かないし、評価も未知数。

賛否両論の4と、王道の5と、オカルトの6をミックスして、プレイヤーは何を感じてどのように楽しむのでしょうか?

さて、冒頭の問いに戻ります。

王泥喜セレクションという作品は、誰をターゲットにしたゲームなのでしょうか?

個人的な見解を述べると、「そんなものはない」です。
ターゲットがバラバラです。

4は、元々3の続編として作られましたが、ズッコケて賛否両論。
過去作の名誉を殺して新規キャラにスポットライトを当てるようなストーリーなので、123をプレイしていなかった人は素直に受け入れやすかったと思います。

5は真逆で、成歩堂を上げに上げまくって、とにかく逆転裁判の権威を復活させる、成歩堂を応援する123プレイヤーに向けたゲームと言えます。

6は、クライン王国で堂々と霊媒要素を出し、日本編は過去作のファンサービスの数々。1~5の全てをプレイした人に向けたゲームです。


どんなゲームになるのか、未知数も未知数。
どういう評価になり、どういう感想を初見の方が抱くのか、興味深く拝見していきたい所です。
高評価になっては欲しいですけどね…
3作まとめると明らかに異質な総集編ですので。

ネタバレ有で語るならもっと深くなりますが、総集編が発売される直前にやるのもアレなので、それはまたの機会に。

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