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最期


私の最期にお経はいらない

好きだった曲をかけて

色とりどりの花に包まれて

灰になれたらそれでいい


花一輪さえも添えられることなく
埋葬される。
そんな寂しい、悲しい、冷たい最期があっていいのだろうか。

この世の中、未だに戦争が終わることなく、その犠牲となることがある。

13年前に起こった東日本大震災のように、自然の力によって命を奪われてしまうこともある。

あの時、一瞬にして大勢の人の命が奪われてしまった。
そして、当時の埋葬のことを、13年経った今、知ることとなった。

知らないまま生きていくこともできた。無理して知る必要はない。
とも考えた。

何故か心に引っかかるような、心が痛むような気持ちがずっとある。
それでも知らん顔していればいい。
辛い思いを自分で選択することなどしなくていい。
今のままでもいいと‥‥

しかし、とうとう知ってしまった。

涙がこぼれる。胸が苦しい。
想像していた以上に辛く悲しい現実を知ることとなった。

広い会場に、大勢の遺体が黒いビニールで覆われて、並べられていた映像は忘れることができない。

暗く冷たい場所。

普段通りのお葬式を執り行うことは、到底出来なかったであろう。
そんなことは分かっていた。

この方々は、花一輪も添えられることなく埋葬されるのだ。

届けてあげたかった。

馬鹿だと言われても。

花よりも届けなければいけない物は沢山ある。
食料、水、薬、着るもの...
分かっている。
誰もが分かっている。


生きること。今ある命が大切。


それでも私はお花を届けたかった。
たった一輪でいいから
あなたの最期にお花を添えてあげたいと強く思った。

冷たい波にもまれ、流され、どんなに苦しかったであろか。

あなたの最期の慰めとして。
それすら出来ない悔しさ。
道端に咲いていた草花さえもない。

あの時、大切な人を亡くして、悲しみに打ちひしがれて。


それでも前に進まなければならなかった辛さ。


とにかくなにもかも。
非常にもありとあらゆるもの全てを、一瞬のうちに失った。

それでも前に進まなければならない
残酷さ。


いつか、この心が癒える時が来るのでしょうか。


ずっと心に引っかかっていたものは、
花一輪さえも添えてあげられなかった、自分の弱さや虚しさだったことに気づかされた。



花を添えてあげられる
人生を送りたい


花を添えてもらえる
最期でありたい


どうぞこの気持ちを
花に変えて
あなたのもとへ


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