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二人芝居「よるのふたり」のにぶんのいち

そもそも、私が芸事をするあたって、自分を構成する三大要素は

音楽、言葉、没入

言い表すならこんな感じです。
どんな現場においても根本的にこの筋の通し方は変わってなくて、
この要素の突出させるバランスを現場によって変えている。

Music Videoをたくさん作らせてもらってきたけど、
一瞬でも血の通った芝居ができてなかったら、何回だって撮り直すつもり
だけど、それじゃチームのみんなの時間を闇雲に奪ってしまうことになる。だから、極限に集中して(なるべく)1発で、決める。

そういうやり方で、芝居をしてきた。


わたしにとって演技をする、とは
一瞬たりとも血の通わない瞬間をつくらず没入すること、或いはそのようにアクトすること。

舞台に関しては経験は全然ないけれど、、
演技という意味ではかなり、人にも厳しいし、自分にも厳しい。
それがわかっているから、実は、舞台出演には消極的なんです…!

でも今回、
色んな巡り合わせでいただいた、素敵なコンセプトだったので
ふたりきりの小さな箱庭に、わたしも、入ってみたくなっちゃいました。

素敵な素敵な脚本・演出をくださった、加東さまに最大の感謝を申し上げます。


今回個人的にものすごく気を遣ったのは、
上で述べたような、互いの持つプライドの琴線に触れ合わない距離感でした。

役者同士だから当たり前ではあるんだけど、
芝居の作り方とか、言い回しとか、息遣いとか、それは、それぞれだけのものだから。プロだからね!!!💪
仲良し。だからこそ、
言うべきでなく、言われるべきでないことの、
線引き。
この辺の琴線には、とても気を遣いました。


もうひとつは、血を通わせるためのプロセス。
本当に「推しの子」は芸事の教科書みたいなことがたくさん詰まってる素晴らしい作品だなあと思うんですけど……
わたしが昔、声優のお仕事をするということになり、一からお芝居を教えてもらいに通っていた、
現役の役者の先生が、ちょうど推しの子でいうところの、黒川あかねちゃんのような役作りをする方でした。

ここまで特徴的なことを実際に行うわけではないのですが(行う場合もあります)
最大限、今回演じさせていただいた
高畑 来望(たかはた くるみ)ちゃんの台詞から、エッセンスを引っ張りました。

こういう暮らしをしていて、こういう家に住んでいて。
こういう歯ブラシを使うだろうな~から、
今日は、どこどこの帰りだから、こういう匂いがするだろうな、とか。
洗剤は使うならアレかアレで、とか。
こういう食べ物が好きで、こういうものは好きではないだろうな、とか。
こういう性格だからこういう仕草があるだろうなとか、こういう生活によってこういった特徴が出るなとか、、具体的にいうなら、ギター持って歩いてるから肩は内に巻き気味で、
カフェのバイトは立ち仕事だから、下半身が浮腫気味、とかね?笑
夜の公園に座ってみたり、家で梅酒の瓶空けるまで飲んだりもしましたよっ笑


ただ、来望に関しては、しっかりと象徴的に描かれていた役だったので、
そのキャラクター的な味の濃い要素と、リアリティとのバランス。
内包している孤独感。
それでいて、ストーリーテラー的な役割の要素とか…つまり全体のお芝居のテンポ感を握ることが多かったので

そういうもののバランス感をずっと練り練りしてました。千穐楽まで毎公演の中にトライアンドエラーがあった。

緻密と言えば、
この公演ではここの場面で尺を使いたいから、
○場の○○の辺りで○秒くらい巻いておこう、とか、
頭の中で常にタイムを測りながら演じたりもしてました。


かなり自由に、放し飼い状態で演じさせていただくという稀な状況下だったため
より深く没入し、より広く空間を見渡そうと、
両ベクトルにやじるしが伸びていました。
パッショナブルなライブも大好きなんだけど、
こういう感覚も結構好きだったりします。


でも、ここまで来るまでの課程は本当にめちゃめちゃ大変だし、大変だろうだから、やっぱり舞台役者さん、舞台に関わる皆さんめちゃめちゃ尊敬しました。端っこの端っこの端っこくらいをかじっただけだけど、
いやあ、なんてしんどいことをしていらっしゃるのだと、感嘆してしまいます…笑

まじで、舞台観るとき、めちゃめちゃ味わって観ようって思う。笑

すごいことだよ。
いい経験をさせていただきました。


かなりスケジュール厳しかったので、
なんとか、間に合わせられてよかったなとホッとしていたりもします🥲✨

そんな感じでしたから、
稽古中は座組の皆さんに申し訳ないな…という思いも強く、しょんぼり気味でした……

そんな中、にこやかにしてくださるスタッフさま方に、大変救われました。

特に、わたしは舞監さんのスタンバイ位置のすぐ横で待機することが多かったので、
九巻さんの目線やプロフェッショナルな姿勢に幾度となく救われてました。
プロで在りたい、ということも、この度の個人的な強いテーマだったので、
プロの目線がそばにあることにも、とてもホッとしていました。

電波の悪い劇場で、準備運動にいつものラジオ体操しようとしてたら、
卓から流してくれて、一緒にラジオ体操したりとか。嬉しかった。
ホッとしてたなあ。



未だに、ベッドに入ると、
夢の中では来望だし、セリフ暗唱してるし、
中々抜け出せない。
今日も、1時に寝たのに、本番2周して、
目が覚めて4時過ぎ。

きっちりタイムまで夢の中でも正確で笑ってしまった😂
まだわたしは、あの夜の中にいるみたいです。


余談ですが、
4時過ぎというと、もう今の時期はこんなに明るいんですね。
今年の冬も、何度か朝陽狙いのロケをしていたもんだから、
慌ただしく日々を過ごしている内に、

こんなにも季節が移ろいでしまっていたのか、と、驚きと少しの寂しさを感じました。
でもなんとなく、夏が来るってワクワクするよね。

すげー暑いし、日差し痛いし、虫もわちゃわちゃ出てくるのにさ。
今年の夏も楽しいことがたくさんある気がして、楽しみです!!!


「よるのふたり」のにぶんのいち。
高畑 来望役  大塚紗英目線での小話でした。
最後になりましたが、


由真(ゆま)。
わたしたちが過ごした時間は、まるで、幻みたいに溶けて、消えちゃったけど。
あの頃の楽しかった思い出は、ちゃんと残ってるし、あの頃のわたしたちがいるから、
わたしには、今があるよ。ありがとう。



それでは聴いてください。青藍。

お写真は全てガイアクルー公式さまより拝借いたしました。

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