見出し画像

Sans titre 1

どうしてまた逢いたい人を想うとき、浮かぶのは、彼らの後ろ姿なのだろう。

ストーブで胸を温める猫の毛むくじゃらの縞模様
季節外れに寒い夏の日、スケートボード片手に歩く黒い薄手のコートの縫い目
畔に腰掛け、田畑を眺める赤くて小さなちゃんちゃんこ

「あの時、声を掛ければよかった」
と、後悔するかもな、と思いつつ、叫べずに過ぎてしまった。

あの姿を、もう、見ることはない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?