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分厚くて大きな本のように

もうここには書かないかな、と思ったけれど、やはりここにしか書けないことがあり、戻ってきた。

ひとりでいることは気楽だ。

子どもと暮らしているけれど、パートナーがいない気持ちに空白がある暮らし。
食べるものも、寝る時間も、誰からもとやかく言われない。

なんて自由。

しかし、2年も経つと何かが物足りなくなってきた。

寂しいとか、そういうのではなく。

自分が薄っぺらくて、底が浅い人間になった気がする。

誰かがいると、その人とのかかわりで自分ひとりでは行かなかったところへ行ったり、その人が経験したことを聞いたりした。自分が思ったことを話してその返答を聞いて「ふーん、そんな考えもあるんだ」と気づいたり、「いやそうではないだろう」と思ったり。

ものの見方が複眼的だったのでだけど、ひとりだと、自分の見方だけ。
広がりがない。

とても頭が悪くなった気がする。

さらに、遺されたものを整理していると、なんと一人の人間の奥が深いことか。

何も知らなかった。

知っているつもりで、なーんにも知らなかったな、このひとのこと。

一人のひとは、
分厚くて、何巻もある長編小説か、大部の辞典か。

私がイメージするのは日本国語大辞典。

図書館のレファレンスコーナーの奥に鎮座していた。

読んでも読んでも、わからない。

何度も読み返す。

ひとりぼっちになったから、もっと本を読もう。

ひとの代わりに、本を読もう。

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