見出し画像

紫陽花の詩/サスケ

サスケといえば「青いベンチ」(この声が枯れるくらいに君に好きと言えば良かった、って歌詞のやつ)が有名ですが、私はこの「紫陽花の詩」が一番好き。

ギターの音色と優しい歌声が素敵な曲。
大事に切り取ってアルバムにしまっておきたい、青春の1ページのような。そんな歌。

突然の通り雨に 君の手を握り走り出して
図書館の屋根の下に駆け込んだけど
濡れたシャツ 気にもせずに
笑う君をもっと見てたくて
この時が続けばいい そう願った

青春だね。
制服姿の2人が目に浮かぶようだわ。
こんな出来事があったら雨の日が好きになっちゃうね。

図書館の屋根の下、というのがまた素敵。

学生時代、「迎えにきて〜」って親に電話して図書館で雨宿りして待っていた記憶が蘇る。
当時好きだった男の子と一緒に本を読んでいた記憶も。
アオハルだね。

君を強く抱きしめたい 震えるこの腕で
雨よどうか降り続いて
僕の決心がつくまでは

はわわ.....キュン......

サビの歌詞「雨よどうか降り続いて 僕の決心がつくまでは」が好き。
雨から逃れるための雨宿りなのに、雨に降り止まないでほしいと思っている。
分かりますか、この瑞々しく可愛らしい矛盾が。

2番の歌詞も良いよ。

窓際の席に座り 借りたばかりの本を開いて
肩寄せて 声ひそめ 内緒の話

君の側にずっといたい明日も明後日も
雨よどうか降り続いて
君とこうしていたいから

これは、あれだね。付き合いたての時期だね。
こんなささやかな出来事が、宝物のようにずっと胸に残るのでしょう。
初々しくて大変よろしい。
繰り返しになるけど、まだ一緒にいたいから雨よ降り続いて、という気持ち。良い。

この次のフレーズもすごく好き。

通りゆくバス また一つ見送る

そうなんです、バスをまた一本次のものに遅らせるのです。
そしてきっと次のバスも出来れば見送りたいのよね。
良すぎる。

なんて繊細で美しい雨の日の詩なんでしょう。
雨粒を受けて瑞々しく咲く紫陽花のような。
そんな青春の1ページ。

咲いたばかりのまだ色付きが浅い紫陽花のようにも感じるし、パッと色付いて心惹かれる最盛期の紫陽花のようにも感じる。

でもさ、「紫陽花の詩」というタイトルなのに、歌詞には一切「紫陽花」が出てこないのよね。
お気付きになった?

もし歌詞に入れてたら、ちょっと説明っぽくなる可能性があったかもしれない。
紫陽花が咲いてるとか窓から紫陽花が見えるとか書けば、梅雨の時期なんだなって伝わるし、色のイメージも伝わるのかもしれないけど。
それを省くことで、「君」に全意識が向いている「僕」に焦点が当たる。
僕視点のこの雨宿りに紫陽花の描写は必要ないというか、それどころじゃないんだろうな。
徹底して気持ちの描写、視界に映る「君」の描写に絞っているからこそ、シンプルに胸を打つ歌詞に仕上がってると、私は思います。

そこへきてタイトルに「紫陽花の詩」と入れるあたり、上手いよなぁ。
聴く前からこちら側にはもう紫陽花と雨のイメージが出来上がり、情景描写はそこでほぼ完成する。
聞き手の梅雨のイメージにそっと入り込んでくる、アコースティックギターのイントロ。
大切な気持ちを優しく歌う声。
パーフェクトでございます。

すごく断片的な短い時間のストーリーが、瑞々しく美しく印象に残る一曲。
梅雨の時期に紫陽花を見ると必ず思い出して聴きたくなる、私の大好きな曲です。

ApplePencil購入資金、もしくは息子に酢だこさん太郎を買い与える資金になります。