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テレビ屋気取り #57 現場の空気


毎度拙い文章で皆さまのご機嫌を伺っております。


「なんだその落語みたいな入り方は!?」と思った方はお見事です。
今私は「タイガー&ドラゴン」にハマっています。
今年の年始に「俺の家の話」が始まるタイミングで再放送されていたものを一気に見返しましたが、またこのタイミングでTVerに配信されているのを見つけてしまったので、今は時間があれば見返してしまっています。

毎回、古典落語に倣って小虎(長瀬智也)の周りで起きる人間関係を面白おかしく描いていく流れは、最後に小虎がオチをいうところで毎回スッキリします。
自分も何か古典落語を覚えて、身の回りのことをそれっぽく喋れたら面白いだろうなと思いながら、小虎と同じく元の古典落語を覚えようとしないわけです。

今週は何を書こうかと思いながら、なかなか思い付かずに書き始めました。



現場の空気


ありがたいことにテレビの世界の片隅に身を置かせていただいているわけですが、今週あったバラエティの収録はそれはそれは地獄でした。

リハの段階からいつもの和やかな空気とは違い、制作も技術もそれぞれで人同士が噛み合っておらず、いざ本番が始まるとその空気は演者さんたちにも伝染し、全くオチが見えないやりとりが永遠に続いていました。

その空気を打ち破ろうと、MCである芸人さんが知恵を振り絞って突破を試みるも、なぜか相方が空気を読まず意味がわからない展開に持っていく。

それでまた永遠のループが繰り返されるわけですが、今思い返すとどうやって収録が終わったのかがわからないほどに、よくあれが終わりを迎えたなと思う次第です。

今後自分が仕切る立場になった時、ああいう空気にだけはしないようにと勉強になったし、それ以前にいくら台本がほとんどないバラエティであっても、自分なりの着地点をイメージしておくことがいかに大切か、それによって企画の入り口や設定が大きく変わってくることも学びました。

※これはひとりごとです。




スタッフの笑い声で番組の様子が分かる


バラエティ番組を見ていると、スタッフさんの笑い声が聞こえてくることがあります。

先にも触れたように、下っ端として現場を経験させてもらっていると、自分自身も含めて現場のスタッフ全員が笑っている最高の瞬間というのが時々あります。それは誰もが面白いと認める瞬間なわけで、きっとその場面がオンエアされた時のお茶の間も大爆笑間違いないでしょう。

ただ、視聴者として見ている時にも、現場にいる時にもたまにあるのですが、ただ一人だけや制作の一部だけがバカみたいに大笑いしている時があります。そういう時は大抵それほど面白くはないです。これは番組やその演者が悪いのではなくて、バカ笑いしているスタッフが悪いと思います。無理に盛り上げようとして笑うほど醜いことはないです。

本当に面白いときに面白そうに笑う。ただの下っ端がこのような変な美学を貫いた結果、その本当に面白かった瞬間に大笑いしている私を、憧れの芸人さんが横目で見つめてうれしそうにしている。
こんなに嬉しいと思ったことはないです。

少し話が逸れてしまいましたが、やはり番組を見ていてスタッフの笑い声でその番組の面白さや雰囲気が伝わってきます。

その観点でここ1番気になるのが「キョコロヒー」(テレビ朝日)です。

バラバラ大作戦の枠にいた時代から、スタッフさん(少数チーム)たちがとても楽しそうに笑っているのが印象的でした。「めちゃくちゃ高い大声で笑う女性スタッフがいるな〜」と思っていたら、ふとした時に映り込んだ中に想像通りの大柄なAPさんがいて、その笑い声の主が一発でわかりました。個人的な変な「キョコロヒー」の楽しみ方ですね。

「キョコロヒー」は、雑な言い方をすれば今イケイケの番組です。
ダンス番組と言いながら、ほとんどヒコロヒーさんと齊藤京子さん(日向坂46)のトークで終わる番組です。番組自体が取り上げているように、著名人の方たちからも絶大な支持を集めている番組です。

齊藤京子さんと同じ日向坂46のメンバーである河田陽菜さんが観覧ゲストで登場したのも記憶に新しいかと思いますが、出演者が2人しかいないからこそ、カメラの後ろ側の様子も含めて、番組全体で盛り上げていこうという感じが、くどくなくて個人的にはちょうどいいという感じです。

照明がスタッフ側を向いていたという話も、なぜか笑えるというかほっこりします。



番組観覧復活を願って


コロナ禍によりテレビの作り方も大きく変わりました。
ソーシャルディスタンスによって、出演者同士が安易に近寄れなくなったり、バラエティでおふざけのキスすらできなくなりました。
出演者の間にはアクリル板があったり、番組によって多種多様な形のフェイスシールドを見かけたりと、最初は違和感があったのに最近ではそれが当たり前になって、皆さんも気にしなくなったのではないでしょうか。

そんなことよりも、テレビの作り方として大きく変わったのは、一般の方による番組観覧がなくなったことではないでしょうか。
トークバラエティなどでも、お客さんの笑い声がなくなったので、いわゆるSEとして作り物の笑い声が足されるようになり、どこか味気なさを感じます。
あまり意識されない点ですが、今回触れた現場の雰囲気という意味では、観覧のお客さんの反応というのは意外と重要だと思います。

視聴率とかいうたった数%の数字の変動だけで番組の存続が決まってしまうような変な指数より、よっぽどリアルな反応として番組の面白さが測れるわけですから。



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2021.10.17 作成

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