見出し画像

ライブレポ│the dadadadys TOUR2024 嵐坊 怒りのはじまり @千葉LOOK (5/10)

前回のツアーからメンバーが産休に入ったり、対バンや企画ライブに出たりと、色々なイベントがあった中、1月に行われたthe dadadadys主催のオールナイトライブ(粋)で会場に張り出され発表された今回のツアー"嵐坊"。
正直なところ、箱の大きさなど含め、前回前々回からかなり縮小した規模感から不安しかなかった。O-EASTをワンマンでソールドするくらいだったのに、ツアー初日、それも千葉LOOKという決して多いとはいえない箱で当日券がでているという現状。もちろんバンド名や音楽性が(少し)変わったのもあるが、ここまで変わるものかと。
それでも、絶対期待を超えてくるし、行かなかったことを後悔させるライブをすることをわかっているから、そんな不安なんぞ気にも留めず千葉LOOKに向かった。

16時前に千葉駅に着き、そこからあーだのこーだのして、会場に着いたのは開場時間の18時40分ごろ。表の柱に張り出されたデカいポスター。やっぱりツアー初日と言ったら千葉LOOKだと。全員入場してはないものの、前に書いた通り当券出るくらいなので、フロアは満員とはいえない様子。ただ、会場からの期待の声は満杯と変わらないほどだった。
例によってなのか開演時間から遅れること5分、照明が暗くなりいよいよライブが、ツアーがスタートした。

新しいSEとともに「2024年5月10日、the dadadadys TOUR2024 嵐坊 怒りのはじまり 千葉LOOK、ゆっくりしていってね」というゆっくり音声が流れ始めた。前回のじゃじゃ馬にさせないでや前々回のanthemと、毎度変化球を入れてきている入場SE。今回も別角度からの変化球に俺も会場も盛り上がり、メンバーも出てきてないのにフロアは一気に詰まる。
そして、yuccoさん、儀間さんと順々に登場し最後に小池がツアーTの上にGジャンを身に纏い登場した。

1曲目に演奏したのは"OS!"。ブチ上がる曲だし、自分も思いっきり拳を上げて歌っていたが、前回のツアーの"暖かい都会から"のイントロのアレンジだったり、直近の企画や対バン、フェスなどの1曲目でよくやっていたというのもあり、意外性や予想外の曲がくると期待していただけに拍子抜けだなと思ってしまった節があった。

が、そんなこと、あまりにも浅はかすぎた。
ライブならではのアウトロをかましたあと、間髪入れずに始まったのは"ルサンチマン"だった。まだ始まって2曲目だが、「あ、今回のツアー、やばいかも」となんとなく察し、フロアの盛り上がりは100%になった。
 そして次の曲でその「やばいかも」の予感は大いに的中した。

"新しい風"

実は千葉に着いてからのあーだこーだの時間で様子見ついでに会場まで行っていたのだが、その時リハをしていて音漏れで聴こえてきたのがこの曲だった。いっしょにいた友達と「まさかねぇ」なんて、期待混じり冗談半分で話していたがそのまさか過ぎた。フロアは盛り上がっているなんて言葉じゃ足りないほどになった。
そして、新しい風をやったということは、次に来る曲はつまりそういうことであって、そのことに会場にいるほとんどの人が薄々勘づいたであろう。

「"朝焼け"が君の背中を押し」。

その瞬間、間違いなく千葉LOOKがぶっ壊れた。脳が曲を理解するより先に体が動き出していた。初めてロックを聴いたときの『頭をハンマーで殴られた感覚』そのものだった。
感傷に浸る間もなく、ぶっ壊れた勢いから続けざまに"utopia"へ。もう予想外が止まらない。感情はもはやジェットコースターというよりロケットみたいに高ぶり続けていた。意外にも久しぶりだったものの、聴き慣れた"k.a.i.k.a.n"で感情の整理ができたと思ったら、そんなのも束の間。"市の商人たち"で再び破壊された。いつもライブのときは最低限の荷物だけにしているが、その最低限の荷物すら邪魔になるほどで、曲が終わってすぐに荷物棚にかばんとジャージを置いてきた。
どうもその判断は正しかったようで、次に来たのは"奴隷の唄"だった。GW、ライブにもフェスにも行けず奴隷のようなバイト漬けだったので、ここまで休憩なしでももはやご褒美だった(?)。そんなご褒美はみんなにも届いたのか、次の曲は友達が一番好きだといっていた"もしもし?もしもさぁ"だった。普段人のこと飛ばそうとなんかしないのに、こればっかりは飛ばすしかなかった。

ライブに始まってからここまでノンストップ9曲。それもアップテンポな曲だけだったが、ここで少しクールダウン。とは言っても音は止まらず"青二才"へ。そしてここからdadadadysの曲が続く。クールダウンが一瞬で終わり、小池がハンドマイクからギターに持ち替え"(許)"、そしてdaのアルバムから"nantekotta"、"gesewa"、"harakiri samurai"のバチイケな3曲をメドレーでつなげると、クールダウンしていたフロアが完全に上がりきり、yuccoさんのバチバチドラムが鳴り響く"超々超絶絶好絶頂最高潮"。ダイブやモッシュが起こる盛り上がりとは違う大人な盛り上がりを見せた。

ここで小池が「ちょっと水飲み過ぎたからトイレ休憩するからその間繋いでいて」と言い残しトイレへ行き、その間を残りの4人が即興セッションでつなぐ。
トイレから帰って来ると、「この前スタジオで合わせたからやってみるか!」といってやり始めたのは、まさかの"ねぇねぇデイジー"。弾き語りではちょくちょくやっていたので、やっとバンドセットで聴けたし、何より「やってみるか!」の完成度じゃないくらいに仕上がりだった。

ここまでポップな曲、アップテンポな曲が続いたが、ここから少し真面目モード。ステージの照明が暗く青くなり、「みんなの行ったことのないとこへ」といって"遊泳地"、"(茜)"、そして"らぶりありてぃ"と続く。特にらぶりありてぃでは普段盛り上がるような曲ではないが、「この曲の良さがわかる奴としか関わりたくない。お前らのことだよ!」という小池からの言葉でフロアは最高潮。サビではフロアにマイクを向けお客さんと歌い上げた。

トイレ休憩を挟みながらも音が止まることなくここまで19曲、時間にしておよそ1時間。こんなにやってまだ1時間しか経ってないことに驚きだが、とっくにライブ終盤に差し掛かっていて、気づけば残り3曲。ここで遊泳地を作るきっかけになった地元の友達から手紙をもらった話を話した。そして、次に演奏したのはその人が聴きたいと言っていた"ただいまおかえり"だった。これにはお客さんから「え、?」という心の声が漏れ出て聞こえた。
そんなシリアスな雰囲気をdadadadysバージョンにアップデートされた"光るまち"で一気に塗り替え、高ぶったフロアを"蜩"で全てぶち壊し、本編を締めくくった。

メンバーが全員捌けるとフロアから「ワンモア!」「小池ー!」とアンコールが。少しして再びメンバーが登場すると、小池が「アンコール3曲あって、1曲は新曲の嵐坊なんだけど、あと2曲は決めてません!」というと、フロアの前から後ろから聞き取れないほどの曲のリクエストの声が上がる。そして、その中で選ばれたのは"メアリー、無理しないで"だった。最後の蜩でもすでに酸欠レベルだったが、あのイントロを聴くとそんなことなんか忘れて、気づいたら前に突っ込んで声を出していた。
メアリーが終わると、聴いたことのないメロディーが流れ始める。新曲の"嵐坊"だ。アップテンポでポップ、(途中までなのか完成しているのかはわからないが)ショートチューンの曲で、まさしく“the dadadadys”のような曲で、どんな形として出るかはわからないが、音源として出るのが本当に楽しみだ。そして小池があの曲のイントロを演奏する。が、上手いこと弾けず、メンバーの力も借りてセッションで間を繋げた。そしてアンコールリクエストの最後に選ばれたのは、パワーソング"拝啓"。後から思えば、本編で拝啓や高層ビルなどを一曲もやらないライブなんてこれまでなかったと思う。そんな、パワーソングたちをやらずともここまで満足させた今日のライブ、改めておかしかった。まぁ、ライブ中はそんなことを気に留める暇なんか更々なかったが。

アンコールが終わってメンバーが捌けていったが、再びアンコールの声が上がり、しばらくするとメンバーが戻ってきた。するとまたアンコールのリクエストの声が上がる。そしてWアンコールに選ばれたのは"コーンポタージュ"。イントロが流れ始めるとフロアから「おととい初めて彼女ができました!」という嬉しい報告(?)があると、小池が「死ねー!俺なんかまだ見ぬ愛探してるのに!」と返し、フロアから笑いが起こる。そんな面白さも、ギターとベースのセッションから小池が歌い始め、yuccoさんのドラムが合わさり、金曜の夜、それもライブが終わりに向かっている雰囲気にぴったりだった。

2回のアンコールを含め26曲を演奏し、ワンマンとしてはもちろんツアー初日にしてはかなり満足かと思われたが、思いだしたかのように小池が戻ってきて、「最高にロックな曲やり忘れてた!」というとほかのメンバーも戻ってきて、最後に演奏したのは"ROSSOMAN"。フロアが盛り上がっているのはもちろんだが、それ以上にメンバーが一番盛り上がっていて、儀間さんも錬さんもステージにギターを置いていきダイブしてきた。

全てが終わりフロアの照明がつくと、周りから口々に聞こえる「やばいやばい」という声、頭を抱える人の姿が広がっていた。30分しかないフェスの持ち時間だろうが今日みたいなワンマンだろうが、毎回最高を更新し続けるバンドなんか今日日見ない中、その最高を更新どころかハードルを優に超えてくるのがthe dadadadysであり、毎度毎度「今回はやばい」と言っているが、今回に限っては本当にやばいライブ、伝説のライブだった。




冒頭に少し書いたが、今回のツアーが発表されたとき、Twitterや(粋)の会場でも「箱小さくね?」という声が(自分の見える範囲で)よく見られた。しかし、蓋を開けてみれば残りわずかになっている場所もあるものの、どの公演もソールドしていない。今日に至っては、『ツアー初日』『関東』『ワンマン』だったにも関わらず、当日券が出ているというのが実際問題だ。

ただ、今日のこのライブを、このセットリストを見てTwitterの様子も周りの様子も大きく変わった。「行かないとマズくない?」という人、行く本数を増やす人、譲りに出していたのをキャンセルした人、勧誘する人…
『対バンが〜、日程が〜、お金が〜』なんて言ってられない。

何が来てもおかしくないですよ
今回のツアー

チケット代とか交通費に何十万かける後悔よりも、行かなかったことの方が何百万倍も後悔しますよ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?