Fragment #20060615
夜にたどりつくまでの距離を測りかねて
ぼくたちは道端に立ちどまり、行き交う影をただながめている
通り過ぎる人々は誰も皆足早で
まるでこの世界から立ち去ろうとでもしているかのよう
雨が降りだすのでもいい
風向きが変わるのでもいい
なにかが変わればなにもかも変わるはずだと
あてのない期待と共にたたずみながら
変わらないいまをやりすごすのは
動きだすきっかけをつかめないでいるから
夜にたどりついたところで
何がどうなるわけでもないのだけれど
何もしないでいるのとは
たぶんすこしだけ違う
人々が去ったら歩きだそうか
それとも次の人を待とうか
そんなことさえ決めかねたままで
待つこともなく待つ
何を待つのかもわからないまま
それも悪いことではないだろうとつぶやいたりしながら
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