見出し画像

Fragment #20060615

夜にたどりつくまでの距離を測りかねて
ぼくたちは道端に立ちどまり、行き交う影をただながめている
通り過ぎる人々は誰も皆足早で
まるでこの世界から立ち去ろうとでもしているかのよう

雨が降りだすのでもいい
風向きが変わるのでもいい
なにかが変わればなにもかも変わるはずだと
あてのない期待と共にたたずみながら
変わらないいまをやりすごすのは
動きだすきっかけをつかめないでいるから

夜にたどりついたところで
何がどうなるわけでもないのだけれど

何もしないでいるのとは
たぶんすこしだけ違う

人々が去ったら歩きだそうか
それとも次の人を待とうか
そんなことさえ決めかねたままで
待つこともなく待つ
何を待つのかもわからないまま

それも悪いことではないだろうとつぶやいたりしながら
- - - - -
全文公開テキスト(投げ銭可)
コンテンツリスト - https://note.mu/sad_juno/n/n194c273ee81a

ここから先は

23字

¥ 100