帯に短し襷に長すぎ、のDAW - Use the right tool for the job #3
Use the right tool for the job、第三回はデジタルオーディオワークステーションの話を。なんでもかんでも短く略すのは日本人の悪い癖、と三浦友和さんはRCサクセション「サマータイムブルース」の中で苦言を呈してますが、さすがに長すぎるので以下DAWで。この略しかたはどうかと個人的には思うのですが。
さて、ガジェット楽器で作った曲の場合単体できちんと完結させてあれば録って出しで問題ないと思うのですが、どうも個人的にはそのままだと音が硬いんじゃないかという気がしまして、ちょっとリバーブをかけたくなったのがDAWとのかかわりのそもそものはじまりでした。大昔、MIDIシーケンサーと呼ばれていたころの情報はすこしはかじったことがあるものの、DS-10を使いはじめたころはよくわかっていない状態。元ルースターズの三原重夫さんがかかわっていたのでSONARのことを把握していたくらい。とはいえリバーブをちょっとかけたいくらいでそんなに投資をするふんぎりはつきません。当時はこんなに長いこと音楽制作をするとは思っていませんでしたし。
そんな中でいろいろ調べて最初に使ったのはREAPERというソフト。
http://www.reaper.fm/download-old.php?ver=0x
バージョン1.0になる前のものはフリーで利用できるので、そちらに安易に乗りました。Linuxでの動作が保障されていたりプロジェクトファイルが基本テキストだったりした点も心を動かされた理由。フリーで使える版は素朴なWindowsアプリケーションの外観でしたが、いまあらためて最新版のスクリーンショットを見たところ隔世の感ありです。
しばらくはこれとフリーのVSTプラグインであるDX Reverb Lightの組みあわせで公開用データを作ってました。
http://www.anwida.com/product.asp?pid=7
ガジェット楽器で音楽を作るだけならたぶんこのままでよかったのですが、第二回で書いたとおりProcessingで作成した動画と音声を組みあわせる用途のソフトウェアを新たに導入する際、DAWにもそういった機能を持つものがあることを知ったため、オーディオインターフェースの購入とあわせてCakewalk SONAR X1 LEを導入することに。
http://www.roland.co.jp/products/jp/SONAR_X1_LE/
あとで知ったのですが、同様にハードウェアにバンドルされることの多いSteinbergのCubase LEでも同様の機能はあるのですね。このときCUBASEをバンドルしたオーディオインターフェースを購入していたららどうなっていたやら。
せっかく導入したのでSONAR X1 LEで作品を作ったりもしてみました。たとえば次。
作ってみて気づいたのは、いわゆるソフトシンセの機能がそれほど充実していない点。音色のバリエーションがそんなにないんですよね。バンドルソフトなので無理もありませんが、主眼は録音とその加工にあると見ました。
肝心の動画機能はと言いますと、編集機能は一切なし、参照する動画データと音声を最初からくっつけるだけという割り切った仕様。まあ私の用途ではおおむねこれで問題はありませんでしたが、開始位置と終了位置の指定くらいはできてほしかったかなあ。
あとテンポに同期するディレイが含まれていたのと、選択範囲を簡単にループにできるグルーブクリップ機能が個人的には重宝しました。
SONAR自体はその後X3までバージョンアップされたりローランドからティアック(正確にはギブソン)に委譲されたりして紆余曲折を経てますが、有償版にバージョンアップする強い動機がなかったためあいかわらずX1 LEを使い続けています。制作の中心もKORG M01DになってPCでいろいろやることもほとんどありませんし。
ただそうなると今度はこんなに高機能で複雑でなくてもいいのになあ、という気分が頭をもたげるんですよねえ。動画編集にはその後別のソフトを導入しましたし、マトリックスビューとか、おもしろい機能だとは思いますが、個人的にはちょっと使いどころが見つかりませんし。一方でこれだけ使ったんだから感謝の印としてアップグレードしてもいいんじゃないかという気もあったりして、しかしそろそろ次のバージョンが出るのではないかと思ったり、いろいろ考えたりしなくもないのですが、ということは移行する強い動機がないということなので、まだしばらくはSONAR X1 LEを使い続けるような気がします。
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