【松露 萌え】



春日大社 ご本殿の特別参拝のあと裏手に出て歩き始めたところで右側の土手に白いものが見えた。



立ち止まり身を乗り出して見れば、マシュマロのように白く丸いものが苔むした緑の地面を割って顔をのぞかせている。

「あ、ここにも!」

「ここも!」

一つ、目にはいれば次が見えてくる。

「松露だ!」

まちがいない。スマホで「松露」を画像検索して照らし合わせる。

まるでパウンドケーキの天辺がオーヴンの中でパックリと割れたみたいに、緑色に苔むした土が割れて、その奥から、まぁるい白い顔が幾つも幾つも、のぞかせている。

「可愛い!」を連発しながら鼻息荒くスマホで連写した。

そう言えば、この日の空模様は二日ばかり雨が降り続いた後のむっとする暑さで「今日はキノコ日和だな」とボンヤリと頭に浮かべながら春日大社の参道を歩いていたことを思い出した。

こんな風に御目文字できるとは!(眼福)

松露に押し上げられて盛り上がった緑の苔土に触れたいという誘惑に負けて、指先でチョイチョイとつついてみたら、ちょっとやそっとでは動かないくらいに土は固かった。

こんなに固い土を、この小さな茸が全身で持ち上げているのか。白い松露は柔に見えて中々の力持ちであることに驚いた。



.. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. ..

後日談)
ショウロをあらためて検索してみれば毒をもった「ニセショウロ」というのもあるらしいです。見た目も似ていますので、ほんまもんの松露かどうかは不明です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?