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玉葱図 倣セザンヌ

鍋島の「やつし」とセザンヌの「芽出し玉葱図」

 野菜のような野卑ともいえる画題は「やつし」の文化背景を持つ日本ではことさら好まれ、俳画や鍋島意匠にも多く見られます。その影響だけでなく、上の角皿はセザンヌの静物画「芽出し玉葱図」を見ています。

金彩・釉裏紅・釉裏五彩

金彩

 金彩は、一度高い温度で焼き上げた磁器の上に、750度くらいで溶けるうわぐすりを混ぜて金粉を焼き付けます。箔を付着させる方法もあります。
 金彩は、電子レンジで磁器の素地との間にめくれを起こしますますので、電子レンジにかけることはできません。

1990年製作

釉裏紅・釉裏五彩

銅を含む絵の具で描いて、赤を出す方法です。銅は高温で揮発しやすく、少しの窯の雰囲気や温度差、冷却の差でも色調が変わります。しかしその不安定さが逆に釉裏紅の独特の味わいです。
 釉裏五彩(ゆうりごさい)は、染め付け釉裏紅の、藍と赤の他 に、緑や黄色、茶色っぽい鉄の色が使ってあります。三彩、五彩という言い方は昔からあって、五種類以上の色を使っても五彩といいます。
 私たちは、うわぐすりの中にとけ込んだ、清澄で落ちついた深い色調に惹かれて、この技法を続けています。

上絵の具 (洋絵の具と和絵の具)

 上絵の具には洋絵の具和絵の具があって、洋絵の具は塗料のように溶剤に顔料の粉が混ざった状態です。和絵の具はふつう色のついたガラスですから、よく見ると透明感があります。和絵の具でも赤や黄色は透明な絵の具ができなかったので、しかたなく不透明なものを使っていますが、できるかぎり透明に見せようという努力があります。

1991~1992年製作
1992~1993年製作(左の長角皿では玉葱部分は釉裏紅、四角隅に上絵の具の鉄赤絵を使用)

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