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ヴァージンVSにたどり着くまで 22


鮎川誠さんのご冥福をお祈りいたします
                                                          合掌
 
~1972年秋 「田舎芝居 結成前夜」~
 
8月の「幻野祭」を最後にウエストロード・ブルースバンドを辞めた私は、秋になって京都に下宿することになりました。
もちろん本格的に音楽活動をするためですが、家には通学が大変なのでという理由を押し通したような気がします。しかし同じ大学に通っていた兄はずっと自宅から通学していましたので、通えないわけがありません。
えらいスンマセンでした。
 
下宿は百万遍から東大路を北上した左京区田中樋ノ口町にあった、「洛水アパート」。
3畳一間で4千500円~5千円でした。
もちろん風呂などありませんし、トイレは共同のドップン式、水道は窓の外にあり、そのうち冬が来た時には夜になると大家さんが「水道の栓開けといて~」とふれて回ります。そうしないと凍り付いて破裂する。
洗濯機もなく、コインランドリーも当時京都には出現していなかったので、寒くなってから手でゴシゴシ洗濯すると、手が千切れるほど冷たくなり参りました。
お風呂屋さんも一番近い「高原湯」は混んでいてシャワーも少なかったので、百万遍にあった、「東山湯」まで行くことが多かったです、電気風呂もあったし。この東山湯の若旦那の四郎さんは京都ロック界の影の仕掛人と言われた人物で、ずいぶんお世話になりました。
また食事は学生相手の定食屋さんが沢山ありましたが、お金が無くなってくると肉が入っていないシチューとか作っていました。
思えば実家は天国でしたね、お風呂はあるし、トイレは水洗だし、ご飯も作ってくれるし、洗濯もしてもらえる、冬はガンガンに暖かいし、夏はビンビンに涼しい。
親に感謝!!いまさら遅いか・・・
 
で、この洛水アパートに引っ越してきたときの最初の訪問者が坂本純というフォークシンガーでした。
たぶん越してきて1~2日ぐらい後にドアがノックされ、開けてみるとヒゲ生やした長髪(そのころはみんな長髪だった)の男性がいて、「ギターの音が聞こえたので来てみた」とのことです。
自分の部屋に来いというので一部屋か二部屋離れたところの純ちゃんの部屋に行きました。
行ってみると6弦と12弦のアコギがあり、彼は6弦を手に取り、
「夢はいつか破れると、言ってた君を残し/僕は今日こそ出かけよう/はるかサンフランシスコまで~~」(確かこんな歌詞だった)と歌いだし、12弦でリフを弾いてくれと言います。
当時彼は三条だったか四条だったか河原町の「ジロー」というお店で歌っているということでした。
越してきていきなり本格的やな~、とのんびり思っていました。
 
この洛水アパートにはもう一人、我々にとって重要な人物が住んでいました。
京大工学部に在籍していた四国出身の宮武法善、通称「ゼンちゃん」です。
ゼンとはたぶん洛水アパートに引っ越してくる前に、ダムハウスで何回も会っていたと思います。
お客として来ていたゼンは納豆定食とか食べ終わると、ちゃんと食器を重ねてカウンターまで持ってきてくれる律儀なお客でした。
洛水アパートというと、純ちゃん、ゼンと、途中からゼンの部屋に一時期居候していた「都落ち」のケンちゃんです。(三畳一間に2人住むという、禅宗の修行僧に近い)
 
秋になり、龍谷大学の学園祭に出演してほしいとの有難い依頼。
ウエストロードを辞めた時、これからブルースやらラグタイムやらを日本語で歌っていきたいと、あっちこっちで触れ回ったおかげでしょう。
でも、ろくにレパートリーもなかったのに大胆な話です。若さゆえで許してもらいましょう。
この学園祭でフォークシンガーの豊田勇造さんと一緒になり、例の「大文字」の話を聞いた次第です。
また私と同じ大学に来ていた高校の同級生の石山君が来てくれて、帰りに出町柳でしこたま飲みました。
その店には伊丹の銘酒「老松」があったからね、私たち「伊丹高校」だったので「老松」を飲まないわけにはいかない。
京福電鉄叡山線も終電が過ぎていたので、私は線路を歩いて帰ろうと思い(今はこんなことできません、捕まります)歩きだしてほどなく、線路を横切って流れていたドブ川に足を突っ込み泥だらけ。
ギターは線路上のケースの中で、「グオーン」とか鳴ってました。
これからの人生を暗示する出来事なのに、この時はまだ気が付いていなかった!!
 
さて、ここでも宣伝させて頂きましょう
■ヴァージンVS、初のライブ盤が、2か月連続で! 36年ぶり公式リリース
「モンテクリスト・ファンクラブ上巻」 4月5日発売予定
「モンテクリスト・ファンクラブ下巻」 5月3日発売予定
下記のサイトから予約してね!!
https://diskunion.net/portal/ct/news/article/1/111617
 
■2月25日(土)
神田SHOJIMARUでGreen Onions(ex.ヴァージンVS)のライブがあります。
旧知の一色君に声を掛けて頂きました。
ここで、今後のヴァージンVSについて、もう少し詳しくお話しできるかもしれません。
でも、できないかもしれない・・・
どっちやねん!!
 
「THIS IS THE BeShowBe SHOW」
ISSIKI AT ALL (一色進/大田譲/澄田健/小関純匡)
Green Onions (ex.ヴァージンVS)
@神田THE SHOJIMARU
https://t.co/G44DinmmYQ

開場18:30/開演19:00
前売3500円/当日4000円(+1drink)


皆様、応援よろしくお願い申し上げます。
 

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