見出し画像

ソフトバンクが「1兆円赤字」から「3兆円黒字」に転じた理由

みなさん、こんにちは。

流行り病の中、トヨタやソフトバンクなど黒字経営をしている会社は多くあります。今回はソフトバンクを例に考えてみたいと思います。

ソフトバンクグループが日本企業としては過去最大となる3兆円の純利益を上げました。同社は2020年3月期に創業以来最大となる1兆円の赤字を計上したばかりだが、1年も経たずして最高益に転じました。これは同社が事実上、投資会社に変貌したことが最大の要因です。しかも、この話はソフトバンクグループだけとどまるものではない。全世界的に産業構造の劇的な変化が進んでいるのです。

同社はかつては出版やソフト流通、携帯電話の通信サービスなどを手がける事業会社だったが、近年は10兆円ファンド(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)を組成するなど、投資会社に変貌しつつあります。投資会社の業績というのは、一般的な事業会社とは異なり投資した会社の時価総額に大きく左右されます。

成長途上のベンチャービジネスなど一部の例外を除き、一般的な大手事業会社では、業績悪化後のリストラなど特殊要因がない限り、いきなり利益が10倍になるといったことはまず起きないが、投資会社の場合、投資先企業の評価額が上がると、こうした事態が容易に発生します。

昨年の年末以降、ポストコロナ社会への期待感から、GAFA(米グーグル、米アップル、米フェイスブック、米アマゾン・ドット・コム)と呼ばれる巨大IT企業を中心に、先端企業の株価が急上昇しています。これに伴って同社の投資先企業である配車アプリのウーバーや滴滴(ディディ)など次世代型IT企業の評価額が大幅に上昇し、一気に3兆円もの利益を計上する結果となりました。

いずれにせよ、これは評価益、評価損という財務上の利益や損失に過ぎず、実際に同額のキャッシュが入ってきたり、流出した結果ではないです。投資ビジネスというのは最終的に損益を確定しない限り、こうした財務上の利益で評価され続けることになるのです。

つまり、このような時代においては、新しい技術の見極めと製品開発、そして資金調達を同時並行で進めなければライバルに勝つことはできないのです。米国ではIT化が急速に進んだ1990年代以降、製品化されていない段階の先端技術を見つけ出し、起業家の育成も行いつつ巨額資金を提供するベンチャーキャピタルファンドと呼ばれる仕組みが急速に整ってきました。

ベンチャーキャピタルファンドを運用するキャピタリストは、先端技術を開発するエンジニアと同レベルの知見が必要となるので、こうした分野における製造業と金融業の垣根は限りなく低い。ソフトバンクグループはこうした先端的な企業にしか投資をしていないので、現場では製造業なのか金融業なのかという区分はなくなっています。

つまり、新しい技術への投資とビジネスへの実装が同時並行で進む社会においては利益の概念も変わらざるを得ないのです。

従来型社会では、今、いくらの利益を上げているのかということが重要でしたが、イノベーション型社会においては将来、得られる利益の期待値が重要な意味を持つようになります。

将来性は目に見えないものだが、自分の会社が伸びていたら少なくとも見抜く力は養えます。何を作るか、何を扱うかではなく、将来の企業価値を先読みし、先行投資し共存共栄のスピードが、明暗を分けるのだなと感じます。

※以下参照








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?