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師匠!できました!見てみて!って気持ち

ふと知り合いのアーティストさんの嘆き投稿を見ていた時に、
そういや色んなクリエイターさんからの投稿で
自分の作ったものと似たようなものを作られて
それを自分宛に「見てみて!」って送ってくるのって
いったいどういうハリガネ魂を持っているんだよ!
っていう嘆きを見かけるなぁ、なんて思ったのと、
自分も「これどうやって作るんだろう?」って思って
そのレシピを知りたくなったり、
試行錯誤してできたりした時に、
勝手にオリジナルの人を師匠と思い込み、
「できました!」って気持ちになるな。
なんてことを想像したので、
ここにまとめてみようと思いました。

私は生粋のクリエイターじゃないので、
自分のやっていることのレシピなんて持っておらず
その努力の成果に関することに鈍感なところがあります。
なので、素人心のまま「これどうやって作るんだろう」
「私も作ってみたい」と、いう気持ちになったりします。
その時点で作家さんの「いや、買ってよ!」という気持ちを
置き去りに自分の好奇心や完成した時の気持ち良さを
優先させてしまっていることに
無自覚になっているのだと思います。

”秘伝のレシピ”なんてものがある人たちは
そう簡単に「教えられないよ!」って気持ちになるし、
それがオリジナリティの源泉でもあるし、
そもそも権利として創作物は守られていますが、
現代はレシピを公開する風潮になったのも追い風となり、
「作りたい欲」に訴求した方がうまくいくと
舵きりしたクリエイターさんも多いのではないでしょうか。

創作物に権利があることというのは、
ある程度勉強をしたり、努力をしたりした人じゃないと
知りもしなければ、感じることもできないものなのではないでしょうか。

日本にはそもそもの土壌として、二次創作でオリジナルが引用され
さらに発展していくというシステムも手伝って
より「オリジナルの権利」というものが
どこからどこまでなのかが曖昧だということもあるのかもしれません。

ロゴ、パターン、色、構成要素、
それぞれにオリジナルが持っている著作者の権利があります。

でもそんな小難しいことはさておいて、
オリジナルを作った人の側に立って気持ちを考えてみましょう。
そのオリジナルを生み出すまでの長い時間。
それはその人が生まれてからこれまでの時間だったり、
コンセプトを思いついた時から研鑽し続けた時間だったり、
そういった苦労そのものがギュッと凝縮されてできた
ひとしずくが「著作物」となってこの世に生まれてきます。
そういったものを披露し、できればそれは褒め称えられるべきものが
その成果物に対して、「作ってみたい」=「私でもできそう」と
思われるのは恐ろしく悲しいことなのではないでしょうか。

二次創作をした側として
「師匠のあれ、かっこよかったのでやってみました!」
と言いたくなる気持ちも分かります。
いつだってその知的好奇心が火をつけられた先の誰かが
新しい創造物主となっていくのだから。

「学ぶ」の語源は「真似る」だから、
最初は誰だってオリジナリティなく始まるものです。
生まれてから今の今までまったく誰のことも模倣してない!
という傲慢な人がいるのなら、
その人の生活様式はおそらくめちゃくちゃだろうと思います。

真似ながら体得するものがあり、
そこから自分なりの解釈をみつけて差分でオリジナリティを出していく
そういうものが「学ぶ」という姿勢なのだと思います。

だから「真似る」まではやれば良いと思います。
だけど、それを師範として教えを請うた相手でない限り、
その元となった人に対して「私もやったった(ドヤァ」なんていう
ふざけた態度を取るのは不遜というものだと思います。

それは映画「ルームメイト」にもあるように
最初はオリジナル側にとっても、
自分の真似をしたいファンなのかな?という意味で
とても可愛らしく思えたとしても、
ドヤァをされた瞬間から、オリジナリティの乗っ取り、
つまり「お前をコロス」という宣告に
近いものを感じるのではないでしょうか。

自分の知的好奇心や作ってみたい欲は
人一人の努力全てを無駄にする可能性がある。

私自身も「これどうやって作るんだろう?」って思ってしまうし、
「どうやって作ったの?」と聞いてしまうことがあります。
それは単純な疑問だったり、素朴な好奇心であることも多いけれど、
言われた側は「こいつは私を侮っている」と思ったりするのではないでしょうか。
もちろん、「これだけ苦労して作ったの!」と公開する人もいるし、
それを聞いただけで目を回して恐れ入りました!
と感じてしまう人もたくさんいらっしゃるので、
全てがそうとは限りませんが、
少なくとも「これどうやって作ったの?」に関して
聞けたとしても、それと同じように作ってみて
「ねぇ!できた!」と言って褒められるとは限らないことだけは
覚えておきたいと思います。

子供ではないのだから、「みて!みて!できたよ!」という場合
親ではない人に「それは本当に見せて良いものか」ということを
今一度踏みとどまった方が良いと思います。

最悪の場合、著作権の侵害で訴えられるかもしれないですしね……。

模倣から始まって、自分なりのオリジナルができた時、
それを世界にお披露目すると、
たまにオリジナルとなった人が降臨してくることがあります。
その時初めて、「あなたのファンでここまで来られました」
となるのが理想かな。
オリジナルさんが好きで好きで仕方ないアピールは良いと思いますけどね。
片思いされる方というものも苦しいものです。
自分の気持ちだけを押し付けて気持ちよくなるなんて、
とても本当に好きな人に対する態度とも思えないので
そういった感情のセーブの仕方なども覚えると良いのかもしれません。

私も自戒のつもりで書いてみたので、
真似したくなる人の気持ちも分かるよ、というものでした。
こういったものをTwitterとかで書くと炎上しちゃうからね……。
加害者側の心理分析を冷静にできない人って多いから。

反省を込めて筆を置きます。おわり

※画像はとくに意味がありません。いろんなイメージをごちゃまぜにした
 バカな写真を昔撮ったので、ボツにするには惜しいと出したまでです。

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