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バイクツーリング 群馬 榛名 その14


榛名山にバイクで行きたい。


その理由はいくつかあるけれど
どれが一番?って聞かれたら
この直線だと答える気がする。


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島国の日本。
走れるところは限られている。

中でも峠道が好きで
地図の道がくねくねしていたら
家にいたって
ワクワクしてくるわたしだけど

直線で知っているのはここだけだ。


日本中探したら
きっともっと
たくさん直線はあるんだろう。


ここは、かなり下る直線だけど
坂道の直線もたくさんあるのかな?


好きだなぁ。


目の前の道を眺めていたら
無性に走りたくなってきた。


バイクで走ったら
どんな感じなんだろうか。



後ろから
車が来ないことを確認し

ワクワクしながら
バイクを発進させる。


スピードを上げたら
下りで浮くんだろうか。

そんなことも考えたけど
まずは直線を堪能したくて
味わうように走る。

五感全てを総動員する。

眩しいくらいの日の光
空の青と雲の白
様々な緑色をなす周りの山々
風を切る音
バイクの排気音
身体中から感じるバイクの振動
地面の凹凸

五感を総動員したって
直線はあっという間だ。


最後にお楽しみの場所がある。

走るとメロディが聴こえる。
道にそんな細工がしてある。

『ここから』と書かれた看板を過ぎる。
今度は全ての感覚を聴覚に集中する。


? あれっ?


終わりを示す看板を過ぎても
何も聴こえてこなかった。


なぜだ?


昔はちゃんと聴こえていたのに。


道が古くなったからか
バイクでは聴こえないからか
理由はわからないけど

本当は聞こえるはずの音は聴こえず
ロードノイズだけが一定に響いていた。



下るとすぐ、右手に道がある。
そこから車やバイクが出てくる。

ここからでも行けるけど
敢えて真っ直ぐアプローチする。

正面はやはり
この先だと思うからだ。


道が少しカーブする。
回り込むように右に大きな弧を描くと
平らな直線になる。

並木のつもりなのか
等間隔に木が立っている。

少し、路面が悪い。

砂が浮いている感じだけど
直線だから気にならない。


対向車が左折していく交差点が見えた。


あそこだ!


前の車に並んで
右ウィンカーを出し
左折車が途切れたら曲がる。


榛名湖畔。

目的地だ。



左手には榛名湖が見える。

正面には榛名山。


榛名湖は、穏やかに水をたたえて
陽の光のもと、周りの景色を写し込んでいる。

榛名山は、小さな富士山といった体で
もこもこした木々をまとって
なだらかにふもとまで稜線を伸ばしている。


ちょうどお昼時だからか?
たくさんの人がいた。

初め、左手の
湖畔沿いの並木の合間の砂利道に
バイクを停めた。

ヘルメットを脱ぎ
タンクの上に置く。

グローブを外して
写真を撮った。


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あっ!人力車。
街灯が可愛い。


着いたんだなぁ。


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感慨にふけるかと思ったけど
そうでもない。

心の中は淡々としている。


感極まって泣くのかなと思ったけど
そんなこともなかった。



バイクのスタンドが
砂利の中にめり込んでいきそうで
先の駐車場に停めることにした。

本当は、人の少ないところで
感傷に浸りたかったのだが
ここでは危なくて
バイクから離れられない。

ヘルメットをまた被り
スムーズにタイヤが回らない砂利道で
一生懸命バイクを押しながらバックして
先に進んだ。



道なりに奥まで進むと
右手に大きな駐車場
正面に小さめの駐車場があった。

突き当たりには建物がある。


ひと通り一周するが
駐輪場が見当たらない。

こんなにバイクがたくさん来てるのに。
みんなどこに停めているのか。


駐車場はどこも満車で
マスツーリングで来た人たちは
まとめて自動車用の駐車場に
堂々と停めていた。


ここでも
一人で来ているバイク乗りは
あまりいないようで
停めるところがわからない。

仕方なく
大きな駐車場の端っこに
バイクを停めた。


念のために
タイヤにロックをかける。

それでも心配で
横の柵に寄りかかり
バイクの近くでひと息つく。


後ろを向くと、榛名山。

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正面を見上げると、真夏のような青空。

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でも、人が多くて
のんびりとしていられない。


いつも、人なんていないのに。


バイクから離れることに
不安を感じる。


心を落ち着けるために
何か食べることにする。

コンビニで買ったおにぎりを
ウエストポーチから出す。


周りのビニールをはがしながら
ぼんやりと前方を眺めていたら
気づくと、馬がいた。

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おにぎりをかじりながら
様子を見守る。

馬に乗れるようだ。


いいな!


乗ってみたいと思う自分に驚いた。
バイクという鉄の馬に乗っているのに。


おにぎりを食べ終わる。
少し、心が落ち着く。
人は途切れない。


次は、湖畔に行ってみようか。


勇気を出してバイクを離れ
右手にある榛名湖に向かった。







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