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9/28 富士山ツーリング その3


昔の2ストは軽かったんだなぁ。


傷がついているハンドルと
ブレーキレバーをかがんでのぞく。


準備をしながらしみじみ思う。

脱いでいたジャケットを着て
ウェストポーチをつけ
リュックを背負う。

ヘルメットをかぶり
グローブをつける。


行こう。気をつけながら。


セルスイッチを押し
バイクのエンジンをかけた。

暖気をするかどうか悩む。

音が響くので、やっぱりいられなくなり
シフトを下げた。

クラッチをつなぎ、スタート。
すぐに坂道を下る。


前に、ここでエンジンが止まったから…


アクセルを開け気味にして
一旦止まり、左右を見る。

車はいない。

アクセルを開け、クラッチをつなぎ
バイクをスタートさせた。



いつもの住宅街。
最近は明るくなる頃には出発していたので
周りに人が歩いているのが不思議な感じ。

車の数も多い。
すぐに右にそれた。

今日は東名高速に乗る。
行きはなるべく下道で行くようにしている。

安く済むし、この下道を通る時に
「ようし!出かけるぞー!」
っていう気になるから。


口元を通り抜ける風は
少し涼しいくらい。
 
タートルネックだから
首元は寒くない。へっちゃらだ。

空は青い。
澄み渡っている。



バイクを倒してしまったこと。
自分では起こせなかったことを思い出す。


出先では倒さないようにしよう。
山の中では特に。
助けを求められないかもしれないから。


昔のバイクは軽かったんだなぁ。


もう一度、昔乗っていたバイクを思い出す。

今は売っていない
2ストロークエンジンのバイク。

加速が好きで乗っていたけれど
軽かったのもよかったところなのか。

対して、今のこのバイク。

車体が重くて持ち上がらなかったのか
自分の力が弱くなったのか。


起こせないバイクに乗るって
どうなんだろう。

自分で始末のつけられないことをするって
どうなんだろう。


そろそろ潮時で
乗るのを止めた方がいいのかな。

もうバイクを降りた方がいいんだろうか。



信号で停まる。
車の後ろにつく。

青になり、流れに合わせて加速する。

車線に悩む。
どの車線が一番進むか考えながら走る。


頭の中は悩みながらも
常に状況判断をしている。

でも、周りの景色が頭に入って来ない。
いい空。いい風なのに。

悩んでいる分
頭の回路を取られていて
周りの景色まで意識がいかない感じ。


一方で、バイクに傷はついたけれど
傷がついたことで吹っ切れた自分もいた。


止めるなら
バイクを降りる前に
サーキットで走りたいな。


この後に及んで
サーキットを走りたいと思う自分に
笑ってしまう。

笑った瞬間
空の青が青く感じられた。


もう傷ついちゃったから
サーキットでこけても
ショック受けないよね。


傷がない時は慎重に扱うのに
一度傷をつけてしまうと
扱いが雑になる、あるあるなのか。笑


傷がついたことで
自分のバイクだと強く感じる。

不思議だ。
傷含めてこのバイク。みたいな。


少し前にエンジンがかからず
四苦八苦した後も
完全無欠じゃないんだなぁと
とても親近感が湧いた。

そんなふうに
自分のバイクを自分のものとして
少しずつ感じていくんだろうか。



バイパスに入る。
加速したら気持ちがよかった。

スッキリする。

アクセルを開けて
真ん中車線に移ってみた。

バイクは一台もいない。
前後左右みんな車の中、一人走る。

車内を想像する。
鉄の固まりに覆われている車内。
対して、全身に風を受けている自分。


バイクの醍醐味は
全身に風を感じられるところ

この楽しさを
あと何回味わえるんだろう。


そう思うと
今の一瞬がとても大切に思えてきた。


今日を楽しもう。
怖がって、体に力を入れないように。

力を抜いて。
心も解きほぐそう。



インター入り口のカーブを
バイクを寝かせて

ワクワクと曲がりながら
横浜町田インターに入っていった。






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