スイス・アーミーマンを見た
監督・脚本 ダニエルズ
(ダニエル・シャイナート、ダニエル・クアン)
主演 ポール・ダノ ダニエル・ラドクリフ
パッケージを見て、なんかすごいなと思って見ました。
絶対に予告編とかみないほうがいい。何も知識を入れずみたほうがいい。わたしは予告編観なかったよ。で、観終わった後に予告編みたけど、絶対見ない方がいいと思った。
なので、観てない人はラッキー(笑)
以下、ネタばれありの私の超超主観的な感想です。観てない人は観てから見てください。(ややこいな 笑)
観た人は、あーーそうそう、とかそれ違うぜ!
とか思いながら読んでください。
あらすじをめちゃくちゃかいつまんで言うと、
オナラにはじまりオナラに終わる……
いけてない男のハンクが万能死体のメニーと共にサバイバルして生き抜くっていうコメディ青春映画、、、かと思いきや、重いよ。
なんか訴えてくるものあるよーーー。
最後のシーンがもういろいろと凝縮されててすごいんだよな。森から抜け出た時に、自分のことを、おびえて醜い役立たずと卑下するハンク。
そんなハンクを励ますメニー。
「みんな少しは醜い、人はみんな醜い」
だけど
「一人がそれでも平気だと言えば、みんな歌って踊りおならをする。さみしくなくなる」
って、なんか刺さったよ。
人前でオナラしたらダメなのってなんでなんだろう。みんな絶対してるのにね。
常にかっこつけて生きている自分。本当は子供のように笑ったり泣いたり、踊ったり歌ったりしたいのに、人前でそれをしたら「変なやつ」って思われるから我慢してる。
でも、「ええやんそれでも。誰に何を思われても平気やん。」ってそう思えたら新しい世界開けるよな。そう、メニーは言ってる気がした。
そうやってハンクをはげますメニーだけど、サラの子供に見つかって子供に怖がられないように自分の特技を披露するメニー。口から水を出したり、勃起してみたり。
彼なりのせいいっぱいのおもてなし。なのに「気持ち悪い」と子供に泣かれて、「僕はやっぱり気持ち悪い。ダメだ」と心が死んで、メニーは動かなくなってしまう。結局、そうやって強がって平気な振りしても、誰かの一言で深く傷ついて動けなくなってしまう。
うーーー、わかるーーーー!!!
そんで、そっからのハンクがかっこ悪いんだよな。メニーになりすまして、別の自分になろうとするんだ。
死体を確認しに来た父親の目を避けて、サラの写真をスマホの待ち受けにしてたことがサラにばれて気味悪がられて。だから、死体のメニーを奪って、楽しく過ごしていた森に逃げていく。現実社会から逃げていく。
その途中で、サラに、父親に、警官たちに、自分たちが森で「ごっこ遊び」をしていたのがバレてしまう。狂人を見るような目つきで見られるハンク。
ここで、映画を見てる自分も、今まで見てたのは全部ハンクの妄想だったのか?!と思ってしまう。
でも、でも、最後にメニーがおならするんだよ。そして、爽やかに海を渡って行くんだよ。ここで、少し救われた気になりました。
ハンクを白い目で見るサラ。
これは、大衆の中にいるわたし達。
本当の自分を抑圧しながら生きるハンク。
これも社会に生きる私たち。
心に思ったまま行動するメニー。
これは願望を具現化した私たち。
登場人物はみんな、それぞれの私たちなんじゃないかなって思いました。
自分の人生、人の目を気にせず生きたい!って鬱々と考えてた自分にはなんだかとてもぴったりな映画でした。
人前でオナラするのはまだ躊躇するけど、楽しかったら踊ってみようかな、って思ったよ。
10点満点中8点
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