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お客様のお時間をいただくこと。

高校を卒業してから、大好きだった服のお仕事に携わりたくて、アパレル会社に就職。

当時18歳の私は、ワクワクした気持ちを抑えきれなかったような気がします。
しかし、私が配属されたのは、メンズ!!
しかも、スーツ中心とした年齢層高めの大人のイタリアンカジュアルだったのです笑
(もちろんカッコいいブランドですよ。)

当時、しっかりしたマニュアルなんかもなく、何の知識もない18歳の私は、先輩や上司の接客を見て、

お客様との最初の切り口や、どんなことを話しているのか、お客様がこの服を欲しい!と思っていただくために、どんなストーリーで接客しているのかを毎日盗み聞きしていました。

当時の上司は、口酸っぱくして言ってたのが、

「俺たちは、自動販売機じゃない。

誰でも売れる服を売っているんじゃない。」

と、お客様にお買い物の時間を有意義に過ごしていただくことはもちろん、
アプローチの仕方、服というものを見て色々な角度から見る方法、何よりも販売員としての誇りを持たせてくれました。

そして、自分のファンを増やしなさいと。

今で言う、モノを売るんじゃない、コトを売れと、20何年も前からおっしゃってました。

もちろん服を販売しているので、知識が必要なことは前提ですが、お客様のお仕事やライフワークなども知る必要があります。

それをお客様に根掘り葉掘り聞くんじゃなくて、会話の中から掴み、服の販売へと繋げていくことが大事。

しかし、たくさんの販売員さんがいる中で、服もブランドも自分も選んでいただく。

販売員は服を着こなしてお客様の見本となる。
私にはそれができない笑
着れないから説得力もない笑
大人のカジュアルを売るなんて、説得力なさすぎると、
あれだけワクワクして入ったアパレル。
売れないよ、私にはできるわけない…。
いきなりコンプレックスの塊になり、この先どうしようかと思いました。
でも本当は悔しい…。
誰よりも服を売りたい!!
来る日も来る日もお畳みとホコリ取りと掃除の毎日。

私は上司に相談をしました。
「色んな話しするといいんじゃない?」

私は、まずは「服を売る」行為をやめようと思いました。
いきなり販売するのではなく、

ますばお客様と仲良くしよう!

18歳の若さを生かして、いつも絶やさず笑顔、毎日元気な声で挨拶を続けました。

ある日、一人の男性がご来店されました。
服屋にいらっしゃっているのだから、服を買いに来ているわけですが、私は、「何をお探しですか?」と聞くわけでもなく、お客様と会話を始めました。

お客様がどこに住んでいるのか、自分の出身地の話しや全く関係のないことを笑

当時の上司は、何だか嬉しそうでした。
「服を売らずに、出身地の話しするもんで、びっくりしたわ!」と。

その日はお客様は何もご購入せず帰られましたが、

後日そのお客様が買いに来て下さったのです!

とても嬉しかった!

その会話がきっかけで、ネクタイをお買い上げされ(ネクタイが欲しかったことはこの時気づく笑)

ことあるごとに服を買いに来てくれ、次はトップス1枚だったのが、次はボトムス、それが全身コーディネートに、さらには、スーツがいるようになったからと、何度もご来店されました。
お客様とのやり取りもスムーズ。
まるで友達のよう笑
接客の時間は大爆笑!
お客様も大爆笑。

今期は、これとこれを合わせた方が絶対にかっこいい!と私のご提案にも耳を傾けてくれました。
メンズにいる私しかできない「女性目線」も大いに役立ってくれました。

もちろん背景には、かっこいい大人のブランドがありますが、
いきなり服を販売されたくないお客様もいるわけですし、たまたま私が世間話をしたことによって、心を開いてくれたと思いますが、私はこの出来事がきっかけとなり、

まずはお客様を知ること

を学びました。

そして、マニュアルや作られただけの言葉で接客するのではなく、お客様を知り、自分の言葉で販売していく。
これが、自動販売機じゃない販売員として仕事か〜!

これが服じゃなくても同じことだと思います。
売ろうとしているから、売れない。

お客様と販売員である前にお互い人間です。
やっぱり心と心を通じあい、お客様に寄り添う。

この12年間のアパレル時代があって、(もちろん大失敗も大失態もたくさんありましたが。)
当時の上司と出会えことによって、

お客様からいただくお時間をこちらがどれだけ大切に使えるか

と、考えるようになり、24年たった今でも追求していくことなのだと思っています。

もしかして、お客様の人生にとって、そんなにたいしたことでもないかもしれない。
でもその時間でこちらを選んでいただけたのならば、精一杯楽しい時間を提供できる努力はしたいですよね。
自分達にとっても大事な時間になるはずです。

その延長がソムリエを目指したことにも通じております。

舞台は違えど同じこと。

そのためには、

常に自分の心もしっかり整えておくこと。

それは、いつでも「心の底から笑顔」にいられるために。

今の私の肩書「えがお仙女」にも通じております。
サービス・接客業の皆様、基本中の基本、元気と笑顔ですよ。

本日も貴重なお時間に、読んでいただきまして、ありがとうございました。

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