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インクルージョン:支援児って勝手に定型発達の子供たちから学ぶの?

こんにちは。

アメリカで幼児特別支援教員として働いています。その前は保育士として働いていたので、その日々の生活や幼児教育のことなどを綴ったブログを、アメブロの方で書いていたのですが、いつしか教育と関係ないことや、愚痴ばかりのブログになってしまったので、心機一転noteを始めてみようと思いました。

まず、私のポジションですが、正確にはTeacher ではなく、Specialist 枠に入ってきます。なので、私の教員免許は、『教員』免許なんですけど、Education Specialist となっています。これは小学校の支援クラスを教える先生も、中学高校を教える先生たちも同じなので、例え幼児特別支援であろうとも、一括りにされます。基本、普通クラスは教えられません。

常々思っていることがありまして、特別支援課の先生たちも、普通クラスに馴染んでおいた方がいいと思うのです。特に我々のような幼児を対象とする支援の場合、定型発達とはどんなものか?ということを知っておくべきだと思うのですが、何と知らない先生の多いこと!定型発達をある程度知っていたら、『ああ、この子はこの辺が遅れているな』とか、『ここはこういう風に指導した方が、定型の子たちとも上手くやっていけるかも』と考えることもできますが、知らない先生たちは何を基準にしているのか不明です。

ちなみに私の考えは、定型発達の子供たちのようにならなくてもいい、なる必要はない。です。ですが、定型発達をしている子供たちも人間です。嫌なことをされたら嫌ですし、一緒に遊びたいなんて思わなくなるのは普通のことです。

インクルージョンとかインクルーシブとか声高に叫ばれる時代ですが、最近の例では、重度自閉症クラスの先生が、一人の生徒が目覚ましい発達を遂げているということで、普通クラスの子たちと遊べる機会を設けました。が、その子供はまだ他の子たちに興味を示しておらず、新しい環境(違う教室)に気を取られ、アクティビティーの途中で立ち上がりその辺の物を掴んだり、他の子たちの順番を無視して欲しいものを掴んだり、阻止されたら叫んだり。。。という具合で、そのアクティビティーの進行をしていた私もぐったり疲れましたし、他の子たちも、その子のサポートをしていた担任の先生も正直びっくりしていました。

でもいいんです!その子はその子のペースで発達をしているので、別に今日明日定型の子たちに馴染めなくても。少しずつ、他の子たちに興味を示し、上手く遊べるようになってくれればいいなぁと思うのですが、担任の先生にもお願いしたいことがあります。他の子の順番の時に、いきなり掴みかかりに行くその子を阻止する様子を見てて、阻止はしても注意はしていない。絵カードも使わない。では一体何を教えるのか?私が持っていた絵カードをとっさに渡して使ってもらうも、使い慣れていないその子がいきなり『はい分かりました』と納得するはずもなく。

私たちはピアモデルという言葉をよく使います。ピアモデルとは、簡単に言うと、定型発達をしている子供たちが、発達に遅れのある子供のお手本になることです。定型発達をしているとされる同年代の子供たちと関わることによって、その子たちから言葉や行動を学ぶ。そして支援クラスの先生たちも、『もっとインクルージョンの機会がほしい』とか、『ピアモデルがほしい』と言われます。しかし、教えるのは私たち教員の仕事で、何でもかんでも定型の子供達に任せるのはどうかな?と思います。幼児なんですよ、あちらも。とある研究では、重度の障がいを持つ子供を普通クラスに入れたところ、言葉が増えたという結果が出ました。そして何と問題行動も増えたそうです。ピアモデルというものは、いいことだけじゃないんですね。定型の子供達は、『あ、これ以上いったらヤバい(叱られる!)』というラインを子供ながら理解しています。しかし、全ての支援児がそうできるかというと、そうとも限らない(だから支援が必要なんですけどね)。

定型とされる子供たちとの関わりは大切ですが、支援教員が付いて、ちゃんと指導する必要があると私は思っています。『インクルージョン増やせー!』と言っている先生たちに限って、外遊びの時間に子供たちと遊んでるの見たことない。。。という状況では、例え私たちの学校でインクルーシブな環境が増えたとしても、それほど効果は得られないように感じます。そもそも、支援児には自分から輪に入って行けないとか、どう他の子供達と接していいのか分からない子供が多いのですから。放っておいて勝手に定型の子供たちから学んでくれるのなら、私たちの仕事いらないですよね?


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